つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

イラク日報「不存在」は辻元清美への回答、と防衛省が答弁――出てきたのはやはり「教訓資料」だった!

2018.4.4

国会ブログ

またも、「存在しない」と言われていたイラク派遣の日報が陸上自衛隊の研究本部から発見されました。「教訓業務各種資料」というファイルに保管された電子データからわかったということです。
そして、イラク日報を「不開示」としたのは、2017年2月16日の私の資料要求に対する回答だったと、希望の党・今井委員の質問に防衛省が答弁しました。

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2018年4月3日 衆議院財務金融委員会
〇山本防衛副大臣 防衛省として承知している範囲で、例えば、昨年二月の辻元清美議員からのイラクでの陸自、空自の活動に関する日報を求める資料要求に対して、当省より、イラクの日報は不存在と回答いたしました。
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なぜこれが問題か。
まずは、私がこのとき要求したのは、まさに「日報は自衛隊の『教訓』に使われているはずだから、そこを探すべきではないか」という指摘だったこと。
そして、私が「不存在」と説明を受けた日に、防衛省は重要な「隠ぺい」判断を行ったからです。南スーダンのPKO日報が陸自にあることがわかったのが2月15日、見つかったPKO日報を対外的に公表しない方針を決めたのが16日だったのです。

当時の経緯は以下の通り。

昨年の通常国会で、私は、予算委員会の最前線で南スーダン日報問題を取り上げ、稲田防衛大臣を追及していました。

翌日に予算委員会での質問を控えていた2017年2月16日、私は防衛省を自室に呼んで、イラク日報の有無について報告を受けました。

 

なぜ私がこの日報の保管についてこだわったのか。

それは、危険と隣り合わせの自衛隊の任務では、日々の細かい活動記録=日報で得た教訓のひとつひとつを積み重ねていくことが非常に大切であり、教訓の積み重ねが、隊員のリスクを減らすことにつながるからなのです。

イラク派遣時に初代隊長であった番匠幸一郎さんが綴った「イラク復興支援活動行動史」の中でも、「日々の記録はその後の後輩達の活動の宝だ」と書き記しています。
(※「イラク復興支援活動行動史」での番匠幸一郎氏による巻頭言「ロバか、ライオンか。」(PDF))

自衛隊の中には「国際活動教育隊」という隊員の教育訓練を専門とする部隊があり、日報等の提供を受け、分析・評価し、そこから得た教訓を蓄積しています。

2017日2月17日の予算委員会質問で使用した資料パネル

このフロー図からわかるように、日報は「主要教訓資料」となっています。

しかし防衛省の説明によればイラクの日報は「破棄した」ということでした。

私は「教訓を作る際に、日報は必要なのではないか。本当に保管していないのか」と問いました。それに対する防衛省の説明は「日報は1日程度で破棄していく」というもの。
驚いた私が「それでは中長期のスパンで日報を分析をしようと思ってもできないではないか」とただしましたが、やはり運用上は1日で破棄、ということでした。

2月17日の予算委員会で、私はこのように質問しました。

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○辻元委員
そうすると、自衛隊員の安全を守るためには、この間、教訓という話がありました。

私、すごくいい活動を自衛隊はされていると思います。
これは国際活動等の教訓と反映ということで、静岡県に施設をつくって、そこでいろいろな、次にPKOなどに行く人たちに対して、今までの教訓は何かという教育をしているわけなんですね。

これは、自分の命だけではなく、次に行く人たちの命を守るために、隊員の命を守るために。

見てください。資料をお配りしています。

その中に「国際活動教育隊の教訓業務の流れ」、この左の端に教訓業務、要するに教育をする、その主要教訓資料源、派遣部隊の日報等とあるわけです。

そして、この上に「上級・関係部隊等からのPKO等の教訓レポート、派遣部隊日報等の提供受け、」ということになっているわけです。

日報は活用されているじゃないですか。

そして、これは、日報はやはり大事だ、だからとっておこうということで、それを介して、あるんじゃないですか。

そして、こういう教訓の教育に使っているということじゃないでしょうか。いかがですか。

○稲田国務大臣

(略)国際活動教育隊においては、日報は、そのような事象の有無を確認した後は不要となるため、文書として保管はしていないところでございます。

○辻元委員
私は、頑張って教訓のこの業務を充実させた方がいいと思いますよ。
では、この教訓業務の資料をつくるために日報をぱあっと見て、一日か二日で破棄すると言っていますから、それでばあっと破棄されるんですか。

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この質疑の数日後、2月20日は、同じくこの日報問題を鋭く追及してきた後藤祐一議員が、このイラク日報について質問し、廃棄したという答弁を引き出しました。

今回このイラク日報が発見されたところは、陸自研究本部の「教訓業務各種資料」というファイルの中。電子データとして保管されてました。
私が「教訓に使ってなかったのか」と繰り返し指摘していた通りです。
しかも、先述のフロー図では、私が探索するよう指摘した「国際活動教育隊」は、なんども研究本部とやりとりをすることになっています。

本当に、「国際活動教育隊」にはなかったのか?
私が説明をもとめた2月16日は、破棄したと説明したPKO日報が陸自内にあることがわかり(15日)、防衛次官が対外的に公表しない方針を決めた日です。
私に「破棄した」とした説明は、この「隠ぺい」判断と本当に関係がなかったのでしょうか?

そしてなぜ今になって報告書が見つかったのでしょうか。

発見された文書が陸上幕僚監部総務課に報告されたのが、今年の1月12日。
そこから小野寺大臣に報告されたのは3月31日。
なぜ、発見から大臣への報告まで2ヶ月半もかかったのでしょう。

ひょっとすると予算委員会でこの問題を取り上げられたくなかったからなのではないか、という指摘も出ています。

そもそもこのイラク日報が「防衛省のPCから発見された日付」はいつだったのか、と昨日の野党合同ヒアリングで問うたところ、防衛省からは「調査中」という回答でした。

明日もまた野党合同ヒアリングを行い、引き続きこの問題を追及していきます。

【※2018年4月4日 20:00 追記】
このブログを公開したちょうど1時間後、
「昨年3月27日、陸上自衛隊がイラク日報があることを把握しながら、当時の稲田朋美防衛相ら政務三役、統合幕僚監部らに報告していなかった」というニュースが速報で流れました。

イラク日報、昨年3月把握も報告せず 防衛相が公表(朝日新聞DIGITAL)