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2005年3月25日

参加とリスクの素敵な関係

3月22日火曜日、地元の友人たちがたちあげる会社の設立記念パーティーに出席しました。

会社の名前は「高槻まちづくり株式会社」――通称「まち株」。地元の市民団体や企業などと連携して、地元のよさを生かした事業を行い、収益を住民自治のためのまちづくり資金にしたり、市民団体の支援などに当てるのだ。「企画を出したら放り投げて終わりということでなく、カタチになるまでよりそって事業を作っていきます」(「まち株」スタッフ)という、いわゆるコンサルティング会社やイベント会社とはぜんぜん違うスタイルで「まちの起業支援」を目指している。

設立の中心となったのは、「JKカフェ」をはじめ、高槻を中心にジャズバーをいくつも経営する青年実業家・北川潤一郎くんたち。そこにボランティアが企画運営して毎年10万人以上の観客を集める高槻最大級の市民イベント「高槻ジャズストリート」のメンバーたちも関わって、今回の起業となった。

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軸となる事業の一つに、高槻市域の淀川右岸に広がる鵜殿のヨシ原保全を目的にした「名刺作り事業」がある。ヨシなどの水生植物は水辺環境の保全や水質浄化、二酸化炭素の減少など、生態系上で大切な役割を果たしてきたことが知られている。しかし、相次ぐ護岸工事や生態系の変化が原因で鵜殿のヨシ群落はどんどん減少、オオタカやヒバリ、ギンヤンマやスズムシといった多くの生き物の住処が危機にさらされていた。現在国土交通省による大掛かりな保全事業がようやく始まっているが、この背景には30年近くも草の根で調査を続けてきた市民の活躍がある。

今回「まち株」は、「ヨシ紙」を利用した名刺のデザイン・制作を通して民間同士の連携を行う。事業の担当者は、中国の山岳地域をメインフィールドに、アジアの少数民族の暮らしなどを追っている写真家の明博史くん。彼の勧めでヨシ紙を手にとってみたところ、やわらかくてホッとする手触りがうれしい。さっそく注文(ご希望の方はこちらまで:ake@0726.info)。

環境保全は、子どもや中高年の世代が地域に参加するための手がかりとしては、とっても有効なツールだと思う。

例えば茨城県・霞ヶ浦のNPO「アサザ基金」は、市民の幅広い参加により環境保全と公共事業を両立させた例として、全国から視察に来るNPO・自治体が後をたたない。護岸工事などで水質が悪化し植物の多様性が失われた霞ヶ浦を、地元の市民がアサザを始めとした水生植物を植えて再生させた。

成功の理由は、「誰もが得をする仕組み」をつくったこと。流域の9割以上の小学校が参加して、総合学習の時間を利用してビオトープでアサザを育て、お年寄りと一緒に環境調査を行う。当初はアサザが波に流され固定されずに苦しんだそうだが、地元の間伐材を使ったいかだを浮かべることで、解消することができた。それによって毎年30ha以上の森林の保全が可能となると同時に、林業などで年間5,000人の雇用を生み出したという。

まさに困難がヒントになって、新しい地域循環のしくみを作っていったのだ。現在では住民、地元の小学校、大学、企業、漁協、生協、河川流域の地方公共団体、国などの多様な主体が協働し、延べ8万名を超える人が参加している。

コーディネートを行っているのは地元の人たち。いままで行政ではできなかったことが彼らにできた理由はなんだろうか。それは、古い産業しかなく、観光の目玉になるようなスポットもないと思われていた地元に、本当はさまざまな資源(人の思いだったり、自然だったり、歴史だったり・・・)があることを知っていたからだと思う。それを組み合わせて、お金という誰にでも分かりやすい資源に変えていくのは知恵次第。

地元の「資源」を発見することから、企業・NPO・行政同士が連携した新しいネットワークが生まれる。しかしそれを実現させるには、人を説得し、まきこんでいくためのエネルギーが必要だ。パーティー会場を走り回る若者たちはそんなエネルギーにあふれていた。彼らはみな、「自分の企画を通すために、自分たちが出資している」のだという。やりたいことをやるために、まず自分がリスクを負う――ものごとを実現するための原則はいつの時代も変わらない、いたってシンプルなものだと思う。リスクは参加を促すのだ。

yoshi03.jpg鵜殿のヨシ原も、「ヨシ里親制度」なんていうのが出来ていったら面白い。「この名刺、私の育てた『ヨシ』で作っているんです」なんて紹介できたら、多少コストがかかってもそちらのほうが面白い。自分のヨシ原だと思えば、調査だった「ボランティア気分」でなく参加するだろうな。だって名刺の品質管理は重要だもの。で、自分がいけない場合は地元のお年寄りに管理の委託料を払って、携帯写真でヨシの発育を定期的に知らせてもらって・・・あ、でも河川は国交省の管理なのかしら。うーん。

でも、こんなことを考えるきっかけを与えてくれた「まち株」のみんなに感謝。彼らのエネルギーに刺激を受けた夜だった。

(写真撮影:明 博史)


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