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2005年5月11日

日本の教育には問題ないのでしょうか

中国で反日デモが続いて、総領事館や日本料理店が襲われる光景を見て、たいそうびっくりしました。びっくりしましたけれど、これまで何度もピースボートで中国へ行って中国の人たちが日本との戦争のことをいまも強く意識しているのを知っていましたから、それほど唐突な出来事とは思いませんでした。

私がほんとうにびっくりしたのは、日本のマスコミの反応です。新聞もTVも週刊誌も、私の見た限り、そのほとんどが反日デモの原因が中国の反日教育だけにあるかのような報道になっていました。中国の教育が悪いからこんな事態が引き起こされた、江沢民政権以来の反日教育が日中関係を悪化させた。そういう論調が圧倒的に多くて、いったいどうなっちゃったんだろう、という感じ。

中国で使われている教科書には史実に間違いがある。天安門事件や日本から中国のODAについての記述がない。そんな指摘も同時に報道されています。たしかにそれは事実です。

しかし、それでは日本の教育には問題がないのでしょうか。中国側が指摘する日本人の歴史認識問題には根拠がないのでしょうか。それを取り上げた報道があまりにも少なかった。

私はこれからの日本と中国の関係を良くしていくためには、小泉さんが靖国神社参拝を止めればすむことではなく、日本の教育を変えることが必要だと思います。ドイツの首相が「平和のため」と称して毎年ヒトラーの墓(ほんとは墓がないそうですが)に参拝していては近隣諸国が納得しないのと同じで、靖国神社公式参拝は中止すべきです。

教育を変えるというのは、教科書問題に限ったことではありません。扶桑社の教科書を検定不合格にすればすむことではないのです(私は教科書検定そのものを廃止すべきだと思っています。G7参加国で日本のような検定制度を持った国は他にありません)。私自身もそうだったように、今の子どもたちも日中戦争などの現代史をきちんと教えられていません。受験に出ないからというのが主な理由ですが、そういうことを子どもに教えたくないという見えない力が働いているようにも見えます。

中国の教育に注文をつけるなら、日本の教育にも考えが及ばなければならないのは当然ではないでしょうか。日本がアメリカや中国と戦争した事実すら知らない子どもが増えている事態こそ一大事です。

私も、ピースボートを出すまでは、戦争についてよく認識していなかったと思います。私が、大学生の時、「教科書問題」が起こりました。その時も、アジア各地でデモが起こり、私は、大きな衝撃を受け、現代史を勉強することの重要性に気付きました。

「アジアの戦争体験者の話を直接、聞きに行きたい」

「アジアの若者と意見交換し交流したい」

そんな思いが、きっかけになり今から22年前にピースボートが誕生しました。『過去の戦争を見つめ、未来の平和を創る』『みんなが主役で船を出す』を合言葉に、船を出し続けています。

今回の中国での反日デモの様子やそれを巡る日本の政治家やメディアの対応を見ながら、「はたして、この20年間、アジアとの関係は良くなったのだろうか?」と暗澹たる気持ちに襲われました。

小泉政権のアジア軽視の外交で、国と国の関係は悪化しています。しかし、明るい動きもあります。

ピースボートは、今夏51回目の船を東アジアに出します。コースは、東京~プサン~仁川~丹東~上海~那覇~長崎です。ピースボートと韓国のNGOとの共催企画です。22年前に私たちがピースボートを始めた時は、韓国と中国は国交がありませんでしたし、韓国の民主化も進んでいませんでした。日韓共催で船を出すなんてことは、考えられませんでした。市民同士の交流は、着実に進んでいます。

私は、中国や北朝鮮やアメリカの人たちにも参加を呼びかけて、洋上・市民「六者協議」を企画してみてはどうかと思っています。


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辻元清美ブログ


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