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2006年4月11日
天下りと補助金による癒着を断ち、「官から市民へ」の流れを――行改特別委員会で質問
4月11日、行政改革に関する特別委員会で「公益法人のあるべき姿」について質問をした。
「官から民へ」――小泉内閣のキャッチフレーズとなった言葉だが、どんな社会をめざすのかが十分に議論されていないことが問題だ。本来、議論をつくさなければならないのは「公(パブリック)」のとらえ方だと思う。
私はNPO法をつくる過程で、日本では「公益」と「国益」の概念の違いや、「公益」と「非営利」をどうきりわけるか、という議論が不十分なまま制度設計されてきたことが、自発的な社会活動が育ちにくかった原因ではないかと痛感してきた。そこでまず、安倍官房長官に質問。
「公益と国益の違いをどう考えますか」
それに対し安倍官房長官は「国益は公益の中に含まれることもある。一般に国家であったり、社会であったり、不特定多数の利益と考えている。もちろん国家の利益イコール公益ではない」と答弁。
私は、先日出席した国際シンポジウムでドイツの研究者が分析していた「市民社会団体の4つの役割」を紹介した。それは「先駆け、補完者、パイプ役、対抗者」というもの。
「これまで日本には、NGOなどが政府の方針と反している場合は反政府というレッテルを貼るような風潮があったのではないでしょうか。私たち政治の場でそういう風潮があると自由闊達な社会活動は広がっていきません。政府の批判者であるということも大事な公益活動の中に入るのでは」と続けて問いかけた。

安倍官房長官は、「国家というのは、いわゆる政府とイコールではないという意味の国家であって、例えば、国民、地域、社会、総体としての国家という意味で申し上げた」とした上で、いわゆる「官」が公益のすべてを担っていく、許可を与えていくという考え方を根本的に変えていこうとするのが今度の改正である、という見解を示し、
「かつてイラクのクルド地区においても、政府として支援できない段階においてNGOが支援していたことが、現在のクルドの人たちや大統領との関係においても大きな財産であったということも事実」として、「大体辻元委員のおっしゃった通りではないだろうか」と発言。
私はさらに、「今回の改革の中で、所管官庁の恣意的な判断が入らないようにするのは大きなポイントです。しかし最近、ジェンダーという言葉などをめぐっても、関連する言葉を使いかねない講師をやめるように一部の行政が持っていった、ととられかねない現象が起きています」と上野千鶴子さんが国分寺市の「人権講座」で講師を拒否された事件を例に挙げ、法案の趣旨と反して一つの基準を決めて従わせようという動きが広がっているのでは、という懸念を示した。
安倍官房長官は、「例えば政府が、行政上においてこういう範囲内においてこれは解釈すべきであるということは、当然これはあるだろう」としつつ、いわゆる公益団体との関係においては、国が全部許可するという制度を変えていく根本的な変化になっていくだろう、という認識を示した。

続いて私は、中馬弘毅規制改革・行政改革担当大臣に今回の法案の中身について確認した。
「認定委員会の事務局はどこが担うのでしょうか」
「内閣府に置きます。委員会の委員が独立性・中立性を保ちつつ、専門的な知見にも欠けることなく適切に判断できるよう、体制を整備することが必要」と中馬大臣。
私は事務局を政府から切り離した第三者機関にすべきと主張。また補助金や業務委託についても改革が必要だ、と主張。委託元である各省庁が決定するのであれば、委託先を決める際のプロセスの不透明さは変わらず、当然「癒着」は断てないと考えるからだ。さらに公益法人の大きな問題点として、「天下り」について言及。中馬大臣の委員会答弁「主務官庁が・・・・・・天下りの先にもつかっているといったようなことまでも、今回はこれがもうなくなるわけでございまして」という部分を引用し、この根拠は法律のどこにあるのかをただした。
「法律に書かれていなくても、主務官庁の出先という形のこれまでの関係はなくなる。そう意味で天下りはなくなる」と中馬大臣は答弁したが、私はやっぱりそんなに甘くはないと思う。
この一年間に退職した国家公務員1206人のうち438人が公益法人に天下っている。実に36%という比率は例年と比べ決して低くはない。これほど天下りが騒がれているのに、まったく減っていないのだ。きちっと法案に明記して担保しなければ、改革は有名無実化する可能性が大きい。
予算面からみても、「天下りを受け入れている公益法人」とNPO法人を比較した場合に、あまりに大きな差があってひずみが生じている。天下り役人がいる場合、うち「有給役員がいない公益法人」は2.4%(公益法人全体では40%)、「年収1000万~2000万円の役員がいる公益法人」は80.2%(公益法人全体では29.7%)と「天下り効果」がはっきり数字に出ている。これに対して60%強のNPO法人が、年間予算500万円未満で運営されているのが実態だ。
私はここで谷垣禎一財務大臣に質問した。一つは税制をどうするか、もう一つは天下りについての率直な意見を聞きたかったのだ。

「税制については、今度の法律の中でも寄付金税制についていっそう充実を図るという趣旨を示した。天下りの問題は難しい。日本では公務員、民間の大企業ともにもたれあいの関係があるのは事実。そこにメスを入れるのは簡単ではないが、官庁が下請け機関のような法人を排除していくという流れの上で、第三者機関が公益性を設定していくというのは大きな意味がある」と谷垣大臣が発言。さらに、公務員が定年後にみずみずしく生きるためには、天下るのではなくいろんな公益活動に積極的に係わって、経験や能力を活かしてもらうことも合わせて考える必要がある、と考えを示された。
私は、天下りの問題についてはあまりに非常識なことがこの委員会でも出ている、常識に戻すべき――そう訴えて発言を終えた。
天下りと補助金による官民の癒着をどう改革できるのか。公益法人改革はこの点にかかっているが、今回の法案では不充分であることが明らかになった。
私は以前から、「官から民へ」ではなく「官から市民へ」の構造改革を推進すべきと訴えている。その意味で、行政改革の一部として審議されている現在の公益法人改革論議に異論がある。NPOに対する税制優遇制度など、自由な市民活動のあり方や、それを促進する方向での改革案が出されるべきではなかったのか。
例えばNPOは「認証制度」といって、原則は書類が正しく書かれていれば設立できる。つまり行政が「公益性がある」とお墨付きを与えたわけではなく、これが従来の公益法人の考え方と大きく異なるところ。ではNPOの公益性は何が担保するのかといえば、個々の団体の「情報公開」と「説明責任」であり、公益性の有無を判断するのは成熟した市民社会である――これがNPO法における原則的な理念となっている。
NPO法ができたことで、日本における「公」の概念は大きく前進したはずだ。再び「公」が国家や行政と同一視されないような、私たち市民が「公」を取り戻せるような、そんな議論を続けていきたいと考えている。
