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「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会提言」に関する質問主意書

2016.12.12

質問主意書

「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会提言」に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

平成二十八年十二月十二日

提出者  辻元清美

衆議院議長  大島理森殿

「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会提言」に関する質問主意書

「ニッポン一億総活躍プラン」(平成二十八年六月二日閣議決定)にもとづき、政府は、「希望出生率一・八」の実現のため、少子高齢化が深刻化する中、若者の希望する結婚が、それぞれ希望する年齢で叶えられる環境を整備すること、及び、結婚の段階における支援を充実させること等を行うこととしている。

「ニッポン一億総活躍プラン」によれば、具体的な施策として、企業・団体等による結婚支援の取組のモデルを創出することが掲げられ、優良事例の収集・分析、発信、経済団体等を通じた取組の働きかけ、優良企業・団体の表彰、取組の機運醸成を通じ、取組を拡大することが、この先約十年で実施するとされている。
取組にあたって、国として「地域少子化対策重点推進交付金」を充当する予定であり、平成二十八年度については当初予算で五億円、第二次補正予算で四十億円に増額されている。

こうした計画のもと、企業・団体等の自主的な取組の内容・手法や、社会全体の機運の醸成の在り方、国・自治体の支援策等について検討を行うため、加藤内閣府特命担当大臣(少子化対策)主宰で、「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会」(以下「検討会」という。)が開催されており、佐藤博樹座長(中央大学大学院戦略経営研究科教授)を含む十二名の委員で構成されている。十二月七日までに四回の検討会を終え、年内に行われる予定の次回検討会後に提言という形にとりまとめると聞いている。
本政策の方向性と検討会の提言骨子(案)について疑義があるため、以下質問する。

一 「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会提言骨子」(案)(以下「骨子」(案)という)は、安倍内閣の進める「ニッポン一億総活躍プラン」に掲げられた希望出生率一・八を実現するための施策であると考えてよいか。
その際、「骨子」(案)は少子化対策に当たることになると考えるが、相違ないか。少子化対策に当たるとすれば、高齢者やLGBT(性的少数者)などが除外される場合もあり得ると考えられるが、政府の見解を示されたい。
また、少子化対策に当たらないとすれば、何を目的とした施策であるのか。

二 人事院は、国家公務員を対象とした人事院規則一〇―一〇(セクシュアル・ハラスメントの防止等)(平成十年十一月十三日制定)を定めている。
これに基づいて作られている人事院の解説サイトにおける「これってセクシュアル・ハラスメント?意識度チェック」には、二十一番に「女性職員には、早く結婚した方がいいと必ずアドバイスするようにしている」、二十六番に「子供のいない職員がいたので、心配になり、早く作った方がいいとアドバイスした」との項目があり、これらは「すべてセクハラの観点から問題が「ある」に該当します」との解説が掲載されている。
「骨子」(案)に掲げられた「婚活メンター」による結婚支援は、この「アドバイス」に当たらないのか、政府の見解を示されたい。もしくは、国家公務員に対してはセクシュアル・ハラスメントに該当するが、民間労働者に対してはセクシュアル・ハラスメントに該当しないから、企業によるこうした支援は問題ないと考えるのか。

三 厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議提言」(二〇一二年三月十五日)によれば、「職場のパワーハラスメント」とは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいうとされている。
そして、その「職場での優位性」については、「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識、経験などの様々な優位性が含まれ、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものもパワーハラスメントに該当するとされている。
「骨子」(案)には、「上司からの発言は、部下は業務命令として受け取りかねない状況も生じうる」との留意点が記載されている。もっともな指摘であるが、裏を返せば、部下が業務命令として受け取らない状況もあるという書きぶりである。しかし、上司と部下は、「企業内で」人間関係を構築しているのであり、上司からの発言が、業務と全く離れ、職場内の優位性が一切ない状況で「発言」するということはおおよそ考えられないが、「部下が業務命令として受け取らない」どのような状況が考えられるのか、具体的に示されたい。
それがもしもあり得るとするならば、企業外で長期間趣味等による交流がある、企業で上司となる前から知り合いであった等の極めて限定的な範囲になると考えられるが、これまでに検討されたケースを具体的に示されたい。
併せて、上司でなくとも、「年長者」、勤続が長い「先輩」、場合によっては同僚や後輩であっても、職場内の優位性があり、その発言に強制力が発生し、ハラスメントになり得る場合があると考えるが、いかがか。
また、骨子(案)にある、婚活メンター(サポーター)は既婚従業員とのことだが、既婚従業員は、多くの場合「年長者」あるいは「先輩」に該当することになると考えられる。少なくとも、これら「上司」「年長者」「先輩」等の職場内の優位性を持つ者が婚活メンター(サポーター)として活動することは「職場のパワーハラスメント」に該当し、アドバイスを行うことができないという理解でよいか。

四 「骨子」(案)には、「ハラスメントと捉えられるリスクは、結婚支援以外の事例でも同様であり、平素の部下に対するマネジメントの中で、信頼関係を構築する必要がある」との記載があるが、ハラスメントは信頼関係を構築していれば、起き得ないとの認識に立つものか。信頼関係のある中でもセクシュアル・ハラスメントは起こりうるものと考えるが、いかがか。

五 検討会の中では、LGBTの人びとへの配慮が議論されていると認識しているが、企業内でカミングアウトをしていない/できないLGBTに対して、どのように配慮しながら支援を行うことができると考えているのか、政府の見解を示されたい。
カミングアウトをしていない/できないLGBTが精神的苦痛をこうむり、訴訟となった際に、政府は当該企業に対して、どのような責任を取ることができると考えているのか、政府の見解を示されたい。

六 二〇一四年六月十八日、東京都議会において、自由民主党の鈴木章浩東京都議会議員から、塩村文夏都議会議員に対し「自分が早く結婚したらいいじゃないか」「産めないのか」と言ったいわゆる「セクハラ野次」がなされ、結果として鈴木章浩議員は謝罪会見を行い、会派を離脱したと承知しているが、この件を政府は承知しているか。
また、本件については、ウォール・ストリート・ジャーナルやロイター通信をはじめとする欧米メディアにおいて、「性差別主義者」であると報じられた事実を承知しているか。さらに、本件については、当時の森まさこ少子化担当大臣が「事実だとしたら、絶対にあってはならない、許されないことだ」と発言していることや、同じく当時の田村憲久厚生労働大臣が「議員(本人)も、報道を見た人も心が傷つく言葉。断じて許されない」と述べるなど、政府・与党関係者からも非難の声が上がったことを認識しているか。今回検討会で検討している事項と、この閣僚からの発言は整合性が取れると考えているか伺うとともに、取れているとすればその理由を明らかにされたい。

七 「骨子」(案)の二ページに記載されている、「既婚従業員が独身従業員の結婚に向けた活動を支援する婚活メンター(婚活サポーター)や外部相談員の設置」における外部相談員が前問の都議会の野次発言のようなセクハラに相当する発言を行う可能性について、政府はどのような検討を行っているのか。内容を明らかにされたい。
もし、そのような事態が起きる可能性はないという認識に政府が立つのであれば、セクハラに相当する発言を相談員が独断で行った際の処分などはどのようなものとなるか。
また、外部相談員を設置する事業を政府が助成していた場合、そのような問題が起こりうる事業として、他の事業も含めた事業及び予算措置を直ちに終了させる可能性について検討はされているのか。

八 「骨子」(案)には、「表彰制度」や「企業等の自主的な取組がさらに進むような仕組みの必要性について、『例えば子育て支援等のくるみん制度等も参考に』検討するべき」とあるが、そのような表彰・認定制度において、どのような項目が表彰・認定の指標となるのか。
仮に成婚率にするとすれば、「検討会」で議論されているように、同性カップルもその指標の数値に参入するということでよいか。
その際、同性カップルの成婚率とはどのような基準で算出することとするのか、政府の見解を明らかにされたい。
また、同性カップルの成婚率を参入させるとすれば、当該カップルにLGBTであるとのカミングアウトを強制することとなるが、それはハラスメントに当たらないとの認識か。

九 平成二十八年度地域少子化対策重点推進交付金交付要綱を確認すると、交付対象は都道府県事業および市町村事業となっており補助率は定額十分の十とある。都道府県事業では上限額が一億五千万円であり、市町村事業においては政令指定都市・中核市・特別区一市区につき四五〇〇万円、それ以外の市町村二二五〇万円とある。また、「平成二十八年度地域少子化対策重点推進事業実施要領(平成二十八年度第二次補正予算)」(以下「実施要領」という)では、報告書提出の義務が記載されており、「少子化対策全体の重要業績評価指標(KPI)及び定量的成果目標」とともに参考指標欄には「婚姻数、婚姻率、出生数、出生率等」を記載する箇所があり、毎年記載となっている。
参考指標ということは、婚姻率や出生率の増加を必ずしも評価の対象としているわけではないのか。少子化対策というならば、これらを、効果を測る絶対的な指標にすべきだと考えるが、そうしない理由はなぜか、政府の見解を明らかにされたい。

十 また、実施要領では、「都道府県及び市町村は、計画策定に当たって、経済団体、自治会連合会等住民を代表する者など、幅広い関係者の意見に配慮するものとする」とある。企業における取組の場合は、労働者団体も「幅広い関係者」の中に当然含まれると理解しているが、そのような理解でよいか。政府の見解を明らかにされたい。

十一 実施要領では、企業・団体・学校等による取組への支援については、検討会の提言を踏まえたうえで定めるとある。また、民間への委託が可能とある。
すると、自らの将来的な利益のために検討会の委員が発言し、提言が決定されることは問題があると考えるが、委員の所属母体団体が事業を受託することは可能なのか。政府の見解を明らかにされたい。

十二 検討会は、学識者、経営者団体、自治体、関係団体等のメンバーで構成されているが、この結婚支援の取組の当事者となる肝心の労働者の代表が入っていない理由は何か。政府の見解を明らかにされたい。

右質問する。