つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2014年10月3日 予算委員会

2014.10.3

議事録

私は、午前中の集団的自衛権の行使についての総理の御答弁で、ちょっと疑問が残りますので、その点から質問をしたいと思います。

 午前中、小野寺委員の質問に対して、総理は、集団的自衛権の行使容認の必要性をこうおっしゃいました。このパネルですね。覚えていらっしゃると思いますが。皆さんは資料です。
 近隣諸国でもし紛争が起こったときに、基本的には、そこにいる外国人は一旦日本に退避してきて、そこから、日本人は日本に、そしてほかの人々は自分の母国に帰っていくというのが基本的なオペレーションになっているわけです、それは基本的には米軍が担うという形の中です、日本にも協力が求められているというところであります、協力の中で模擬演習等が行われているわけでありますというように御答弁をされました。
 疑問がありますので、この点についてお聞きをいたします。
 まず、江渡防衛大臣、ここで、米軍から、総理が言うところの近隣諸国で紛争などがあったとき、そこにいる日本人、米輸送艦等で救助してもらうということがあり、それに対して、自衛隊がそのような米輸送艦などを防護するようにという要請が来ているんですか。総理がそうおっしゃっていますけれども、大臣、いかがですか。
 いかがですか。安保法制担当ですよね。総理がそう朝答弁をされたから、法制担当大臣なら御存じじゃないでしょうかね。アメリカから要請が来ていると。そうであるならば、ちょっと待ってください。(安倍内閣総理大臣「さっきの私の答弁ですから」と呼ぶ)
 では、総理に。どういう形で、いつ要請が来ているのか、お答えください。

○安倍内閣総理大臣

 これは、正確に申し上げますと、ガイドラインの中で協力することになっているということでありまして、具体的にこれと言うことはまだ今の段階では我々はできないわけでありますから、協力することになっているということでございます。

○辻元委員

 では、ガイドラインの審議のときに、私はこの周辺事態法の特別委員会の委員でした。そのとき、このことが問題になっているんですよ。日本人の退避についてどうするんだ、石破さんなら覚えているかもしれませんが。
 今、私もガイドラインを読み返しました。確かに、総理がおっしゃるように、非戦闘員を退避するための活動というのはございます。
 これは、ガイドラインの二、「周辺事態への対応」の(1)の(ハ)というところにあります。このための活動の大枠のタイトルは、「日米両国政府が各々主体的に行う活動における協力」になっているわけですよ。日米両国政府がおのおの主体的に行うんです、それぞれの国の自国民の保護についてはというタイトルになっているわけですよ。
 私は、総理、何回もこのことをおっしゃっていますので、おかしいなとずっと思っていたんです。なぜかといえば、そのガイドラインのときに議論になっているんですよ。
 これは、周辺事態法、一九九九年三月十八日の衆議院の委員会で中谷委員がこう言っています。中谷元さんです。安保通ですね。
 当初、ガイドラインにも米軍による邦人の救出を入れて、米国が実施する項目というようなことでお願いをしておったのですが、最終的にはアメリカから断られました。自分のことは自分でやりなさいということで、当然のことだと思います。
 こういう議論を、私、自分がその委員におりましたので、していましたよ。断られたんじゃないですか。

○安倍内閣総理大臣

 正確に言うと、米軍はやります。しかし、それを義務化するということについては、それは義務にされるのは困るということでありまして、当然、米国は協力をするということであります。

○辻元委員

 それでは、今まで湾岸戦争とかイラク戦争とかアフガニスタンの戦争がありました。このときに、米軍が、日本人の退避を、輸送艦などに乗せてもらって、いっぱい事例があって、だから自衛隊に防護してほしいとか来るならわかるんですが、外務大臣にお聞きしますが、今までのアフガニスタン、イラクやベトナムやさまざまな戦争で、アメリカの輸送艦によって日本人が救助された、救出された案件はありますか。

○岸田国務大臣

 海外における邦人の退避の事例につきまして、邦人が独自に退避した例もございますので、全て網羅的に把握しているわけではありませんが、政府としましては、お尋ねのような、過去の戦争時に米輸送艦によって邦人が輸送された事例、これはあったとは承知しておりません。
 要は、米国が参戦している戦争において米輸送艦によって邦人が輸送された例は承知はしておりませんが、ただ、過去の事例、例えば一九九八年のエチオピア・エリトリア国境紛争、あるいは二〇〇〇年のソロモン諸島における武力衝突、あるいは二〇〇六年のレバノン・イスラエル情勢の悪化、こういった際に、米軍機ですとか、英国ですとか豪州等の軍艦船で邦人が輸送された例はあると承知しております。

○辻元委員

 今外務大臣がおっしゃったけれども、ちょっと認識違いですね。
 要するに、戦争に参加している国の輸送艦に救われるかどうかということなんです。どこかの内戦とか、それとは違うんです。なぜかというと、近隣諸国というのは朝鮮有事のことをおっしゃっていますけれども、アメリカが戦争に参画しているということは、相手国から見たら敵国の艦船になるわけです。
 それはどういうことかといいますと、アメリカは、世界じゅうで割合、戦争している国なんです。はっきりルールを決めております。そのルールが次の資料です。
 これは、アメリカの国務省と国防総省で、世界じゅうに向けて、アメリカはこうしますよというルールを決めております。
 この線を引いてあるところをちょっと読みますけれども、「国務省は、外国政府と、同国民の退避について正式の協定を締結することを控えている。」事前に約束はしませんよと。石破さんはうんとおっしゃっていますけれども、ということです。
 そして、ではアメリカはどうするかと言っているかといえば、その下なんですね。各国にどういうことを要請しているか。これは外務省にあらかじめ言ってありますので、どういうことをしようとしているんですか、お答えください。

○岸田国務大臣

 御質問の趣旨ですが、御指摘のあった箇所、これはどういう意味かという御質問でよろしいんでしょうか。(辻元委員「はい」と呼ぶ)
 お尋ねのこの日本語訳ですが、本年六月の衆議院外務委員会におきましても外務省冨田北米局長から答弁があったとおりですが、あくまでも仮訳として申し上げるならば、全ての外国政府は、自国民の避難についての計画を立て、また米国政府の手段に依存しないことが求められる、こういった訳になります。
 ただ、一つつけ加えさせていただきますが、同じ文書、その少し上の部分でありますが、米国政府は、人道的観点から、余地がある場合に、ただし費用の弁済を受けることを基本として、外国国民に対して避難支援を行うことを検討するであろう、こういった記述もあることも指摘しておきたいと存じます。

○辻元委員

 今、ここに「カナダ及び英国を含む」と書いてありますよね。これはどういうことかというと、カナダやイギリスは、アメリカと一緒に戦争に参画していることもよくあるわけです。アメリカは、いろいろな国と同盟を結んでいるんですよ。ですから、そうなってきますと、日本とだけ、日本人の退避は手伝いますよ、では、ほかの国の退避は手伝わないのか、韓国はどうするんだ、フィリピンはどうするんだ、オーストラリアはどうするんだとなるわけですよ。
 私は、NGOで、実際に湾岸戦争のときに湾岸の近くを客船で走っておりました。現状はどうかというと、むしろ、アメリカの政府から、アメリカから各国の客船などに避難民を乗せてくれという要請が来るんですよ、現場では。
 どういうことかというと、この国だけ乗せますよと約束もしないし、避難民が押し寄せてきているときに、あなたは日本人、何人が来るかわからない。では、全部現地で避難民を人道的に乗せるかというと、なぜ乗せないか。避難民の中にテロリストとか、それから敵国の国民がまじっていたら困るから。これはアメリカだけではなくて、常識的に、紛争時、その戦争当事国の船は民間人を乗せません。これが常識ですよ。総理、そう思いませんか。

○安倍内閣総理大臣

 先ほど外務大臣がお答えさせていただきましたが、国防総省と国務省との覚書について一部だけを御紹介されたわけでありますが、この覚書には、実際、我々は、非戦闘員退避活動が必要となった国々から自国民を退避させる場合に、支援を求めるほとんど全ての政府を繰り返し支援してきたと書いているわけであります。
 また、実際上も、邦人の事例ではありませんが、一九九一年のフィリピンのピナツボ火山噴火に際して、米軍の揚陸艦が民間人を含む避難民の輸送を行ったことや、二〇一一年のリビア、これは紛争地域ですよ、情勢悪化に際して、在留邦人が米軍が手配したチャーター船とスペイン軍が派遣した輸送機により退避したことがあります。
 米艦艇による在外邦人等の輸送は現実に起こり得る課題でありまして、先ほどアフガン等の事例を出されましたが、実際には、例えば近隣諸国の場合には、そこにいる在留邦人は相当の数に上るわけであります。そして、そこに民間の米国人もたくさんいるわけでありますが、民間の米国人が日本に一時退避するのに日本人を乗せないということは、なかなかこれはあり得ないんですよ、誰が考えたって。
 その中で、まさにガイドラインにおいて、日米が協力して非戦闘員の退避に係る訓練、演習を実施してきているところでありまして、その際、我々の自衛隊が防護できるということになれば、さらに、これは一体的なオペレーションとして、最初からまさにこの退避オペレーションの作成自体からかかわることもできるということではないかと思います。

○辻元委員

 今、アメリカ人を乗せるときに日本人を乗せないというのはおかしい、だから乗せてくれると言っていますが、アメリカではどうなっているか。
 今、アメリカ人がパスポートを取るときにどういう注意書きがあるか。これはホームページに載っていますけれども、その中に、アメリカ国民に対しても、ある国へ旅行して危険情報が出たときに、アメリカ市民の救出はアメリカ軍が支援してくれると期待してはなりません。これはアメリカ人がパスポートを取るときの条件になっています。そして、アメリカ軍のヘリコプターや米国政府の輸送機が護衛つきで救出してくれると期待するのは、ハリウッドのシナリオに影響され過ぎていて、現実的ではありません。アメリカ人に対しても、これはインターネットで見てください、注意書き。要するに、総理は現場を知らない。
 それから、これは国防総省の方の文書です。同じように、他国は全部自分でやってほしいと。アメリカは、あらゆる文書でそのようにオープンにしているわけです。
 私、総理、訓練しているとおっしゃいましたね、訓練。これも調べましたよ。そうしたら、タイで、米軍とそれからタイや日本の訓練が一個あるんです、コブラゴールドという。しかし、これは避難する人たちを米軍が救う話ではなくて、日本人は日本が救う、そしてアメリカはアメリカを救うという前提でやっている訓練なんですね。石破さん、うんと言っていますけれども。
 それでは、防衛大臣にお聞きしますが、これ以外に訓練があるとおっしゃるのならば、その訓練名と日時をちゃんとオープンにするようにと私は言っておりますが、防衛大臣にお聞きします。いかがですか。

○大島委員長

 総理が、ぜひこれは重要な問題なのでお答えさせます。

○安倍内閣総理大臣

 では、一問だけ、前半の、後半のところについては防衛大臣からお答えしますが、先ほどの国務省のお話。
 米軍に、そういうところに勝手に行ったって、アメリカはランボーが救出するみたいなことはないよ、これは当たり前なんですね。紛争地域には勝手に行かないでくれと言って、これを税金を使って、あるいは軍の、軍人の危険を冒して助けには行かせないよ、これは当たり前の話であります。
 しかし、それと、紛争が起こったときにエバキュエーションを軍がやる、これは全く別の話で、当たり前の話でありますよ。紛争が起こったときには、米軍は自国民の救出に全力を挙げるのは当然のことであって、国務省が出しているのは、そうやって無責任に、勝手に行かないでくださいよ、みずから危険に陥ったとしても、それはいつも助けるとは限りませんよということをホームページで示している、当たり前のことではないか。
 この後については、防衛大臣から答弁させます。

○江渡国務大臣

 お答えさせていただきたいと思います。
 自衛隊と米軍は、さまざまな事態を想定した訓練を必要に応じて実施しておりまして、在外邦人を含む非戦闘員の退避についても、日米共同訓練等において、訓練項目の一つとしてこれまで訓練を繰り返し行ってまいりました。
 このような訓練のうち、在外邦人等の輸送に特化したものとしては、過去五年間に行われたものを申し上げれば、米・タイ主催の、先ほど先生が御紹介いたしました多国間共同訓練、コブラゴールドが挙げられるところでございます。また、このコブラゴールド以外にも、各種事態における対処を目的とした訓練において、文民が取り残されているとの状況を想定した、その退避のための活動を含め、日米間で演習等をしているところでございます。
 また、これらの訓練は、訓練自体が特定の国・地域を対象としたものではないにせよ、いわゆる朝鮮半島有事が仮に生起した場合の在外邦人の退避にも資するものということで考えて訓練等を行っておりますけれども、何せこういう訓練なものですから、運用状況のこと、あるいは米国等との、相手のあることでございますので、表に出ているこのコブラゴールド以外は、ここではお答えさせていただくのを差し控えさせていただきたいと思います。

○辻元委員

 私は、七月一日に閣議決定したときに、安倍総理が、冒頭、この例を挙げて必要性を訴えられたんですね、この例を挙げて。それ以外具体的なことは言っていないんですよ。だから問題にしているわけです。
 今、コブラゴールド以外の訓練はお答えできないとおっしゃいましたね。
 私は、防衛省の記者クラブも含めて、メディアの人に聞きました。日米の訓練があったら、これは隠すことではないので、必ずこの訓練はこういう形で何をやっているかというのを情報公開しているということを聞きました。
 それで、委員長、今私が申し上げましたコブラゴールドというのは、これは、実際やっているのは確認した。でも、それぞれの国がやっているわけですね。私が以前、総理が記者会見をする前に、どんな訓練をやっていますかと言ったら、それしか防衛省からお答えはなかったんです。
 総理が記者会見でこの例の訓練があると言ってから、防衛省に問い合わせたら、その後、ちょっと官邸との調整がありますから待ってくださいだったんですよ。
 ですから、委員長、訓練があるということですので、これは、総理はいつもこのパネルを背にして集団的自衛権の行使の必要性をおっしゃって、きょうも、訓練までやっているとおっしゃったわけですから、そうであるならば、国民の関心は非常に高いわけですから、この訓練の名前とそれから日時と、コブラゴールドは、私、今手元にあります、日時を全部入れて持ってきていますので、資料を防衛省に出すように。じゃないと、これは、これだけがひとり歩きしちゃっているんですよ。
 実際に紛争地を考えた際に、先ほど小野寺さんが飛行機のこともおっしゃいました、軍の飛行機。ところが、現場に行きますとどうなっているかというと、例えばバグダッドの空港、民間のパイロットの方が何回も着陸しているからよく知っているんですよ。民間の飛行機と軍の飛行機があったら、大体、避難民は民間の飛行機に乗ります。なぜかというと、軍の飛行機というのは民間の飛行機よりも攻撃のターゲットになるんですよ。それはみんな知っています、NGOで現場に行っている人間も。
 ですから、そういう現場を私は知った上で、これは、総理の、集団的自衛権の行使を国民に感情的に訴えて何とか持っていこうというふうな声もたくさん聞こえてきていますので、ですから、委員長に申し上げたいのは、その訓練の名前を出していただいて、はっきりさせた方がいいと思いますよ。お願いします。

○大島委員長

 辻元さん、その前に、総理がぜひお答えをしたいと。その上で、あなたの提起に対する委員長としてのお答えを申します。

○安倍内閣総理大臣

 後で防衛大臣からも答弁しますが、整理をさせていただきたいんです。
 私がパネルとして挙げたのは、まさにこの行為が、今までの法制局的には、法制局においては、集団的自衛権の行使になるからこれができないと。これができないのは事実であります。
 それはそれとして、他方では、そのニーズがあるかどうかということについては、朝鮮半島で実際こういうことがあれば、日本が防衛ができるようになれば、護衛ができるようになれば、まさにそれはしっかりとニーズとして発生するわけであります。
 今まではそれができないわけでありますから、できない中における、民間人のエバキュエーションについての協力についてガイドラインで決めているわけでありますが、先ほど、今までやった個々の、コブラゴールドは発表しておりますが、それ以外の模擬演習等々においては、個々の事例については、これは対象国との関係もあり、それは対外的に出せないということであります。

○辻元委員

 では、総理、このケースは非常にレアケースだと。
 あるかもしれないけれども、普通、希少なケースであるということは、要するに、今問題になっているのは、これは防衛省でもそうですけれども、総理が訓練までやっていると言うから、委員長、訓練を出すように資料請求いたしますので、私は、ぜひ委員長にお取り計らいをお願いしたいと思います。隠すことないじゃないですか。(発言する者あり)ですよね。堂々と、国民を助けるために、これだけ総理は背中にパネルを背負って記者会見して、これが理由だと言っているわけだから、どんな訓練をどうしているかと、国民は安心するんじゃないですか。
 委員長、お願いいたします。資料請求をお願いいたします。

○大島委員長

 防衛大臣江渡大臣。(辻元委員「なぜ言えないんですか」と呼ぶ)
 答えると言っているから、まず答えてから。

○江渡国務大臣

 お答えさせていただきたいと思います。
 実際、こういうような自衛隊と米軍あるいはほかの国々との共同訓練というのは、どうしても相手のことがあることですし、また自衛隊の運用上のこともありまして、全てがオープンにできるというわけではございません。
 ただ、その中において、ほかにも例えば、これは平成十六年の日米共同統合演習におきましては、在外邦人輸送の訓練、これが三回目で、行われたことでありまして、この訓練は二〇〇〇年以来で三回目でございまして、これはもう報道等に載ったものですから、今ここでお話もさせていただきますけれども。
 ただ、委員に頭の中に入れておいていただきたいのは、どうしても、こういうものを先ほど委員はオープンにした方が国民の方々の御理解が進むという、その話はそのことで私も御理解させていただきたいと思いますけれども、やはりこういう訓練というもの、あるいは演習というもの、相手もあることであります。ですからこそ、日本の、我が国の自衛隊の運用上の観点、そして相手の国との関係、こういうものも含めて、公表できるものとできないものがあるということも御理解いただければありがたいなと思っております。
 後でこれはちゃんと差し上げます。

○辻元委員

 私は、先ほど申し上げましたように、総理が訓練もしていますと七月十五日の委員会でおっしゃる前に、防衛省に確認したんですよ。そうしたら、コブラゴールドという、日本は日本、アメリカはアメリカの訓練しかありませんというお答えでしたので、私は、国民を安心させるためにも、委員長、この訓練をどうしているのか。これだけこれを理由におっしゃってきたわけですから。
 それともう一つ。総理はきょう、アメリカからの、自衛隊がこれを守る要請を受けたという答弁をしていますので、議事録を精査していただいて、いつアメリカから要請が来たかをぜひ資料請求したいと思います。
 次に行きます。

○大島委員長

 私が答えていないけれども、いいんですか。お座りなさい。

○辻元委員

 はい、わかりました。

○大島委員長

 私、委員長席でこうして聞いていまして、総理や防衛大臣の答弁で私自身はなるほどなと思う点はありますが、せっかくの委員のお話でございますから、理事会で検討します。

○辻元委員

 委員長、私は委員長には敬意を払っておりますけれども、議員が質問をして資料請求しているわけですから、一々感想はお述べにならない方が委員長として名委員長になれると思います。
 次に、歴史認識についてです。
 まず、今、日中、日韓の首脳会談というのが非常に注目されておりますが、その中で、河野談話のことがきょうも出ました。これは、政権が引き継ぐというだけではなくて、各閣僚が足並みそろえて引き継ぐというふうにしてもらわないと困ると思います、不協和音が出ては。
 これは全閣僚の問題だと思いますので、何人か、今までちょっと違ったことをおっしゃっていた方にお聞きをしたいと思います。
 まず、高市大臣、積極的に発言をされてきました。私もいろいろ読ませていただいて、例えば、「正論」にかつてこういうことをお書きになっています。村山談話を指して、この不見識な見解をこのまま放置するならば、犯罪国家の国民として子孫を縛り続けることになる。
 今でもこの御認識ですか。

○高市国務大臣

 私は、憲法第六十六条の精神にのっとりまして、閣僚は一致して国会に対して責任を負うものだと思っております。
 この場は、私の個人的な思想、見解を述べる場ではないと考えております。

○辻元委員

 そうしましたら、閣僚として村山談話と河野談話は継承する、これはよろしいですか。

○高市国務大臣

 まず、河野談話につきましては、官房長官談話でございます。これは、菅官房長官がこれから引き継がれるか、またそうでないか、官房長官の御決定に私は閣僚として従わせていただきます。
 村山談話につきましては、既にこれは閣議決定されたものでございます。過去に閣議決定をされたものでございます。政権として引き継ぐということを伺っておりますので、内閣という機関の一員といたしまして、その方針に従います。

○辻元委員

 かつて高市さんが英霊慰霊顕彰勉強会というところで、今から思えば、なぜ歴代自民党政権が村山談話を踏襲してしまい、閣僚全員ががんじがらめにされてきたのかとあほらしくなってしまいます、私が一番無念に思っているのは、安倍内閣までもが村山談話を踏襲したことですとおっしゃっているので、私はお聞きしたわけです。
 もう一度お聞きしますが、このときはこうおっしゃっていましたが、踏襲するということですね。

○高市国務大臣

 現在私は内閣の一員でございます。一政治家としての信念、思想、これまでの主張はございますけれども、内閣のメンバーが、国民の代表であります国会に対しまして、みんながばらばら、めいめいに好きなことを言い出しては、それは内閣として機能しないと考えております。私は、内閣の方針に従わせていただきます。それが国民の皆様への責任だと思っております。

○辻元委員

 私とほぼ同じときに当選をしましたが、高市さんも随分お変わりになったなと、今お聞きしながら思いました。
 さて、そこで、河野談話についてお聞きをいたします。
 河野談話について、安倍政権も河野談話を継承するという答弁をされ、そして、検討チームの報告書をお出しになっておりますね。これについて質問したいんですが、総理が今ちょっと行かれたので、総理のお帰りを待ちたいと思います。総理の発言も関係をしてきますので、ちょっとだけとめてもらえますかね。

○大島委員長

 菅官房長官にまずは答えてもらいましょう、一体ですから。

○辻元委員

 それでは、もう一回総理に問いますので、菅さんにお願いをしたいと思います。
 この報告書で、吉田清治氏の証言が河野談話の内容に影響を及ぼしたことはないという理解でいいですか。

○菅国務大臣

 河野談話の作成過程の中で、政府は吉田清治氏から聞き取り調査は行っております。その結果、同氏の証言は、客観的事実と照らしてつじつまが合わなかった、他の証言者の証言と比較して信用性が低かったところから河野談話に反映されなかった、こういうことであります。

○辻元委員

 総理がお帰りになりました。
 どうぞおかけください。今、河野談話ですので、総理がいないとちょっと始まらないので。
 今、御答弁で、総理、総理が検討会を依頼して、その中で、この吉田清治氏の証言が河野談話の内容に影響を及ぼしたことはないという理解でよいかという質問に対しまして、菅官房長官から、それはないという御答弁でしたが、総理も同じ認識ですね。

○安倍内閣総理大臣

 この検討会は、官房長官のもとで官房長官が責任を持って開いたものでありまして、今、官房長官が答弁したとおりだと思います。

○辻元委員

 次に、この河野談話は、今問題に、いろいろ言われております十六人の元慰安婦の聞き取り調査が根拠になったのではなく、官房長官、よく聞いてくださいね、関係省庁における関連文書、米国国立公文書館の文書や、それから軍関係者や慰安所経営者等各方面への聞き取り調査、それから証言集の分析などで出た結果であって、十六人の元慰安婦の聞き取りが根拠になったものではないということでよろしいですか。

○菅国務大臣

 この十六人の元慰安婦からの聞き取り調査でありますけれども、六月二十日に公表した政府の河野談話作成過程等に関する検討チーム、その報告書のとおり、河野談話の原案は、元慰安婦からの聞き取り調査の終了前に、それまでに日本政府が行った関連文書の調査結果等に基づいて既に作成をされていた、そのように確認をされております。

○辻元委員

 総理も同じ認識で、十六人の元慰安婦の方の証言が河野談話に影響を及ぼしていないということでよろしいですね。

○安倍内閣総理大臣

 通常であれば、十六人の聞き取り調査をしたのだから、河野談話をつくるために聞き取り調査をしたとみんな思っていたわけでありますが、調査をした結果、もう既にそれは日韓で協議をしていたということでありまして、十六人の証言を入れる前に、証言をする前に決まっていたということであったということでございます。

○辻元委員

 次に、この作成過程で事前の韓国側とのやりとりがあったことで河野談話の内容がゆがめられたことはないという理解で、官房長官、いいですか。

○菅国務大臣

 六月二十日に公表した政府の河野談話作成過程等に関する検討チームの報告書に明らかにされているとおり、当時の日韓両国政府は、河野談話を発表することによってこの問題に一つの区切りをつけて未来志向の関係を築くことを目指し、綿密な調整、意見交換を行ってきたということ、そして、政府は、一連の調査を通じて得られたと言われるいわゆる強制連行は確認できないという認識に立って、それまでに行った調査を踏まえた事実関係をゆがめることのない範囲で、韓国政府の意向、要望について、受けられるものは受け入れ、受けられないものは拒否する姿勢で、河野談話の文言をめぐる韓国側との調整に臨んできたということです。

○辻元委員

 官房長官、ということは、やりとりは、直接、河野談話の内容を、日本政府の意向をゆがめたわけではないということですね。

○菅国務大臣

 この検討チームの報告から推測しますと、日韓両国において、まさにこの問題に一区切りをつけて未来志向の関係を築こうという中のぎりぎりのすり合わせの結果の文書であったというふうに考えられると思います。

○辻元委員

 もう一問お聞きします。下村文科大臣に。
 教科書の問題ですね。河野談話は、検定基準上の、閣議決定等により示された政府の統一見解に該当するんでしょうか。

○下村国務大臣

 これは、辻元委員の質問主意書、答弁、河野官房長官談話を受け継いでいる旨を閣議決定しているということでございまして、この談話の内容は、検定基準上の、閣議決定等により示された政府の統一的見解に該当するということであります。

○辻元委員

 総理にお伺いしたいんですが、総理はかつて、この問題、何回も国会で発言をされ、また、決算委員会でこういう発言をされているんですね。この河野談話について、ほとんどの根拠は、この吉田清治なる人物の本あるいは証言によっているということであります、その根拠が既に崩れているにもかかわらず、官房長官談話は生き、そしてさらに教科書に載ってしまった、これは大きな問題である。
 要するに、河野談話は吉田清治なる人の証言が根拠で既に崩れているけれども、官房長官談話は生きているというのは問題だというように御指摘をなさっているんです。
 今回、総理みずからが調査された結果、この吉田清治なる人物の証言、河野談話に何か影響を及ぼしているわけではないということですから、この当時の総理の御認識は間違いというか、違っていたということになりますが、いかがでしょうか。

○安倍内閣総理大臣

 まず、そのときの発言は、私、まだ、質問通告がございませんから、わからないのでお答えをしようがございませんが、しかし、河野談話について、そこでは、強制性については事実上認めていない、こちら側は。韓国側とのやりとりの中でそうなのでありますが。河野洋平官房長官がいわば記者会見の中でそれを事実上お認めになったということであります。そして、それとの、河野官房長官談話と河野官房長官のお答えが合わさって、いわばイメージがつくり上げられているのは事実であります。
 それに吉田証言がどのようにかかわっていたかはわかりませんが……(辻元委員「わかりませんというのは、何で」と呼ぶ)いや、吉田証言が河野官房長官のお答えにどのようにかかわっていたかはわかりませんが、吉田証言自体が強制連行の大きな根拠になっていたのは事実ではないか、このように思うわけであります。

○辻元委員

 もう一回申し上げますけれども、正式の国会の場で総理は、この吉田証言を根拠にしている河野談話、これは問題だという趣旨の発言をされているので、総理みずからが吉田証言と河野談話は関係ないと、かなり活発に総理はあちこちで発言されているわけですよ。ですから、関係がなかったということは、これをお取り消しになる、この認識は違っていたということかと聞いているんですよ。
 これは、韓国も含めて、世界じゅう見ていますよ。はっきりおっしゃった方がいいですよ、今まで間違っていたということを。河野談話は吉田証言が根拠で崩れていると既に国会でおっしゃっているわけですよ。いかがでしょうか。
 私は、朝日新聞の間違いは認めろとおっしゃった、それは正しいと思います。そうすると、御自分の認識違い、今回の検証で明らかになったじゃないですか。認められたらどうですか。

○安倍内閣総理大臣

 私、まだその発言自体を精査はしておりません。
 いずれにせよ、今申し上げましたように、河野談話、プラス、いわばそのときの長官の記者会見における発言により、強制連行というイメージが世界に流布されたわけであります。
 つまり、その中において、河野談話自体が、事実上、いわば強制連行を認めたものとして認識されているのは事実でありますが、文書自体はそうではない。いわば、河野談話それ自体について今回検証したわけでありますし、我々は、河野談話については継承するというふうに申し上げているところでございます。

○辻元委員

 先ほど高市さんにもお聞きしましたけれども、今まで総理がおっしゃってきたことと、今回検証したことで、みずから総理がおっしゃってきたことを否定されたんです、あの検証というのは。よく認識された方がいいと思います。
 ですから、私はお認めになっているからこれ以上言いませんけれども、その点ははっきりと国際的に示された方がいいですよ。いろいろなことをおっしゃる、それが日中、日韓のとげになっていますから。
 最後に、もう一つ、女性が輝く話もお聞きしたいと思います。
 先ほどから前原さんの質問で、経済状況のことで、実質賃金か名目賃金かという話がありました。実質的に実質賃金が下がっているだけじゃなく、非正規雇用の人は名目賃金も下がっているんですよ。
 女性は非正規全体の七割なんですね。かつ、中小企業の方が非正規の率は大企業より倍多いんです。ということは、実際に、今、女性が輝くと言っているけれども、実態は、これは後で山井さんがやりますけれども、派遣法の改正などで女性は格差が広がって、トリクルダウン、女性版トリクルダウンじゃないけれども、非正規にどんどんしわ寄せが行っているという現状があります。
 ですから、私は、先ほど前原さんの質疑で、アベノミクスという船に乗せて女性が輝くとやろうとしても、アベノミクスそのものの船がもう逆回転し始めていると思います、経済政策として。その中に、女性が輝くと言っても、非正規の賃金が下がっている、女性は今苦しくなっているんですよ。どう思いますか、総理。

○安倍内閣総理大臣

 これは全く辻元議員とは意見を異にいたします。
 非正規について、名目賃金が下がっている、このようにおっしゃったわけでありますが、非正規については、いわば非正規につく方々がふえた、そして同時に、いわばパートタイムの中で短時間の非正規の方々がふえたんですよ。それによって、どうしても、これは賃金が少ないですから、働く人はふえたんですが、結果として、まずは短時間からということで、企業側もまだデフレマインドがこびりついていますから、こびりついたデフレマインドの中で、まずは非正規、かつまたパートの、短い人たちから雇うものでありますから、その賃金は低い。そうしますと、ならして平均すると下がっていくということになります。
 しかし、先ほど来申し上げておりますように、有効求人倍率は、これは一・一、二十二年ぶりの高水準になっているのは事実です。いわば、労働市場がタイトになっていけば当然人手不足になっていきますから、人手不足になっていけば、これはもう少し条件をよくしなければ人が雇えないようになっていくという中において、だんだん非正規から正規へという流れも事実起こっているわけであります。
 そして、その非正規から正規への流れをしっかりとしたものにしていきたいし、非正規から正規に移りたいという方々が、先ほど前原委員が指摘されたように六割近くいるわけでありますから、こういう方々のキャリアアップを支援していきたいし、企業にも促していきたい、このように考えているところでございます。

○辻元委員

 それは物すごく甘いと思います。
 今、女性にしわ寄せが来ているんです。アベノミクスをやり始めてから、では、実際に非正規の人たちの賃金が下がっていることを、これは名目賃金ですよ、非正規の七割ですよ、女性は。ですから、先ほどの、アベノミクスという経済政策そのものの上でやっても弱い人たちにしわ寄せが行く、それが女性なんですよ。
 実際に総理はヒラリー・クリントンさんと会ったとか、それから、何かセレブの人たちとばっかりという感じです。確かに、指導的立場の人たちを三〇%にするのはいいですよ。しかし、実際に格差が広がる中で、物すごく、例えば非正規の人たちは、実際に、妊娠したら、それを告げただけで会社をやめさせられるという人もたくさんいるわけです。そこに全く光を当てていないと思います。
 ですから、これは引き続きやりますけれども、女性が輝くといっても、一部の人たちだけ輝くしかないということを申し上げて、終わります。