つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

News

2014年4月9日 経済産業委員会

2014.4.9

議事録

辻元委員

この附則は、当時、支援するに当たって、事故を起こしても、結局国がさまざまな支援をする、お金も出すということで、余り損をしないと言ったら言葉は語弊がございますけれども、関係してきた者がしっかりリスクを負わなくても何とか国がしてくれるんじゃないかというふうになったらモラルハザードを起こすという議論が多々ございました。

今回、廃炉というのは非常に長い御支援をするということになります。それに当たりまして、私も、先ほどちょっと話が出ましたが、JALの再建のとき事務局長で一番頭を痛めたのはここだったんです。しかし、ここはきっちりやらないと国民の皆さんに御理解を得られないということで、かなりしんどい作業を積み重ねた経験がございます。

そこで、この見直しの検討の中に電事法の見直しも入るのかどうか。これはどういうことかといいますと、東電の破綻処理の議論のときに、電気事業法第三十七条の規定で、会社財産に対して事故被害者の損害賠償権が社債に劣後するとされているということで、結局、事故の賠償よりも社債が先だというところで、破綻させると、社債が先でその後賠償なので、これがネックになるんだという話が多々出ておりました。

今回、これは、原発は事故を起こさないというときの法体系だと私は思います。これだけ大きな事故を起こして、そして国を挙げて、国民を挙げて支援しなければならないということがはっきりした後の電気事業者とステークホルダーのあり方として、私は、事故を起こした場合は損害賠償が何よりも優先するという方向への見直しの検討もやはりすべきではないか。そういう検討も同時にしていますよということがあって初めて、廃炉も支援しましょう、これからのさまざまなことも支援しましょうと。

今すぐ結論が出せなくても、そういうことも含めて検討していくということについてはいかがでしょうか。全くできないということであればちょっと話にならないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣

先ほど来の議論の中の原賠機構法の附則六条第一項、第二項の見直しでありますけれども、政府参考人の方からも答弁申し上げておりますように、賠償というのは現在進行形であります。この状況も見ながら進めなければならない。

そして、支援機構法を制定したときに、これを制定するんだから国民負担はできるだけ少なく、こういうお話でありましたけれども、その前に、御案内のとおり、原賠法の第十六条におきまして、国は「原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行うものとする。」、こういう規定がございまして、この規定を具体化するために機構法ができた、こういう時系列であるということはぜひ御理解いただきたい、そう思っております。

そして、電力債に係ります一般担保の取り扱いにつきましては、電力システム改革の一環としてきちんと取り組みをしたいと考えておりまして、この一般担保は何のためにということでありますけれども、基本を申し上げますと、電力事業というのは大きな設備投資等を伴うわけであります。それに必要な資金というのをいかに確保するか、こういう観点から一般担保というものがつけられてきたということであります。

当然、福島第一に限定をした問題というよりも、電力事業としてのそういった資金調達のあり方は、今後、発送電分離等を行う中でどういうふうにしていけばいいのか、また自由化等々が進む中でどういう形にしていけばいいのか、こういう観点から検討されるべき課題である、そのように考えております。

辻元委員

今、大きな設備投資が必要、それは私もわかります。事故を起こさなければいいんです。事故を起こした際に、国民も含めて支援をしなければいけないということがわかってきたので、どのように見直していくかという観点での御議論をぜひお願いしたいと思います。

それと同時に、大きな設備投資は続くと思いますけれども、やはり小規模、中規模の地域分散型のエネルギー供給体制にも移行せざるを得ない時代に入ってくると私は思いますので、そういう観点からも、電事法そのものも、事故を起こした際にどちらが劣後するのかということについてはぜひ御検討いただいた方が、長期にわたっての御支援、国民の理解が得やすくなると思います。

附則は、もう一つ、六条一項がございます。この中で、原賠法についても触れられています。原賠法の「改正等の抜本的な見直しをはじめとする必要な措置を講ずる」と入っております。これも、見直しが必要だと思うんです。

というのは、今まで事故を想定しない中での電力供給また原子力の取り扱いについての法体系だったと思うんです。しかし、大きな事故を経験したことを踏まえて、今までの体系そのものをやはり事故を想定したものに変えていくということ、そしてそれを私たちの今の経験から生かしてトータルに見直していくということが、この機構というものを非常に円滑に運営していく上でも国民の理解なしには進められないわけですから、この六条一項の附則についても、私は、原賠法の見直し、特に原賠法の第八条、原子力事業者に対して、これはずっと議論がされてきましたけれども、一サイト当たり一千二百億円の賠償措置の確保が命じられております。今回の事故で明らかになったのは、桁違いの賠償費用だけではなく、廃炉についても、民間の試算だと、十五兆円ぐらい要るんじゃないかという試算まで数字が出ております。国は、一兆一千五百十億円とかいう試算ですね。

ですから、附則でも原賠法の抜本的な見直し、そして必要な措置を講ずるということで、議論の過程でも多々指摘されてきたこの八条の問題も含めて、この二年間で、原賠法については、どのような見直しの議論が行われ、どのような措置が必要であるかという指摘が出ているか、教えてください。

冨岡大臣政務官

辻元委員の質問にお答えしたいと思います。

委員御指摘のように、国がしっかりと前面に出て被害者の救済をしたい、また制度見直し等も必要に応じてやるということは省としても考えているところでございます。

しかしながら、これまでも、原子力損害賠償紛争解決、ADRセンターの整備や、時効特例法の制定などの所要の措置を行ってきたほか、福島第一原発の廃炉・汚染水対策をより着実に進められるよう技術支援等を行うために、現在、原子力損害賠償支援機構法改正案を審議していただいているところであります。

原子力損害賠償制度等のさらなる見直しについては、今後、閣議決定するエネルギー基本計画における原子力の位置づけ等も勘案しつつ、現在進行中の福島の賠償等の実情を踏まえながら、総合的に検討を進めてまいりたいと思っております。

辻元委員

私が質問いたしましたのは、これから検討していきたいという話ではなく、この二年余り、附則で検討しろと出ているわけですから、具体的に、先ほど私が指摘した点も含めて検討されたのかどうか、そして何を検討してきたのかということをお聞きしたいんです。

冨岡大臣政務官

先ほどお答えしましたように、それなりに対応をしてきております。したがいまして、現在のところ、抜本的な改革あるいは抜本的な見直し等は考えておりません。