つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2014年6月6日 国家安全保障に関する特別委員会

2014.6.6

議事録

辻元委員

そうしますと、この事例集の事例九で、公海上で武力攻撃、ミサイル攻撃や魚雷の攻撃を受けている米艦の自衛隊による防護とあるわけです。自衛隊が米艦の防護をするというのは、何も周りをうろうろしに行く話ではないと思います。

今、魚雷という話が出ましたが、例えば、米軍が魚雷攻撃を受けかけている、また受けている、それを察知した場合に、防護というのは、この場合は自衛隊の艦船になりますが、その潜水艦を撃沈するという可能性は否定できないと思いますが、いかがでしょうか。そこまでやらないと防護にならないですよ。どうですか。

小野寺国務大臣

米艦の防護というお話がありますが、まず一つは、今の集団的自衛権の議論というのは、現在与党の中で協議をされておりますので、一般論として、どのような対応ができるかということであります。

我が国による実力の行使についての法的根拠は、個別具体的な状況に即して判断する必要がありますが、これまでの国会答弁等においては、我が国に対する武力攻撃がいまだ発生していない状況下において、我が国が個別的自衛権に基づき武力を行使して、例えば今御指摘のありました米艦を防護することが憲法上許される事例としましては、我が国の領域内に存在する米艦に武力攻撃がある場合、それともう一つ、我が国を防衛するために出動して公海上にある米艦に対する攻撃が我が国に対する武力攻撃に該当すると認められる場合、この場合に限られるというふうに思っております。

辻元委員

ちょっとかみ合っていないんですが、事例を挙げていらっしゃるので、その防護ができなくていいのかという提起なんですね。

私がなぜこれを言っているかといいますと、幾つもの事例が出ました、その一つ一つを点検していきますと、集団的自衛権を容認して、武力攻撃をした後の事態がどうなるかというところが全く議論されていないように思うわけですね。

防護と書いてあるから、何か守るんだったらいいのかしらと思って、しかし、実際の中身は、魚雷攻撃などに応戦するということです。よく北朝鮮の話が出ますが、もしも、米艦を防護していて潜水艦を撃沈してしまった。相手の国から見たら、日本は直接攻撃を受けていないのに潜水艦を撃沈したということになるわけです。では報復しようかとなります。そこで出てくるのが、報復攻撃の最悪の事態というのは、私は原発だと思います。

先ほど申し上げましたように、安倍総理は、北朝鮮のミサイルは日本の大部分を射程に入れています、東京も大阪も皆さんの町も例外ではありませんと言っているわけですね。これは今までもさんざん議論をしてきました、国会の中でも。今までの議論を一部紹介しますと、これは昨年、防衛省の見解、原子力発電所の近傍にPAC3を配備するといったような計画は現在持ち合わせてはおりませんとか、これは二年前、PAC3とイージス艦の整備によって、ノドンミサイルに対して日本国民を全て守れるわけではございませんと。そして、当時の、かつての原子力保安院ですけれども、弾道ミサイルなどに関して、原発の設計面で完全な対策を講じることは不可能と答弁しているわけなんですよ。

そうすると、防護ができなくていいのかという定義が、実は、ちょっとだけよで防護に行った、しかし、戦場というのは何が起こるかわからないわけです。その中で、一発の魚雷で、総理みずからが、東京も大阪もあなたの町もと。そして今、今までの政府の答弁を引きましたように、福島第一原発を初め、日本の海岸線には五十数基の原発があります、これが集中的に一発、報復攻撃を受けたら、全面戦争どころか日本は壊滅するんです。

私が申し上げているのは、大げさなことを言っているわけではありません。集団的自衛権を議論するときには、そこまで、その先まで想定して議論をされるべきだと私は思いますが、そういう報復がある可能性がある、これは当たり前です。実際に、北朝鮮は労働新聞などで、日本は原発がある、そこを狙えば一発だみたいな不届きなことを言っているわけですね。

ですから、そういう状況の中で、大臣、そういう最悪の事態、安倍総理が、起こってもらいたくない論理には目を背けてはいけないと言っているわけですから、そこまで想定して議論をされているのかどうか、議論をしようとしているのかどうか。いかがですか。

小野寺国務大臣

辻元委員のさまざまな御意見は今承っておったんですが、恐らくその前提となるのは、今北朝鮮の例を出されましたので、その例に対してお答えするという形でありますが、昨年、日本が北朝鮮に対して挑発的な行為を行っていないにもかかわらず、北朝鮮が日本に対して具体的な地名を挙げてミサイルのさまざまな攻撃をあたかも示唆するような威嚇的な発言を行い、そしてまたその能力の向上をしているということ、これは、集団的自衛権の議論をするしないにかかわらず、北朝鮮が行っている内容であります。

当然、これに対して私ども防衛当局はしっかりとした対応をしなければいけない、その思いに立って、さまざまなミサイル防衛システムを、今、国民の理解をいただいて構築させていただいております。

今の議論は、恐らく、集団的自衛権の議論以前の、北朝鮮に対する脅威の認識ということを御示唆された内容ではないかと思っております。

辻元委員

安全保障の要諦は、挑発に乗らないということだと思うんです。

この集団的自衛権、今までの集団的自衛権と性質が違うんです、今議論されているのは。

どういうことかといいますと、今までは、かつてアメリカが南ベトナム政府に対して行使したとか、それからアフガニスタンの場合にNATO軍が行ったとか。アメリカはベトナムに行っても、ベトナムがアメリカを攻めてくるということはまずないんですよ。

ところが、今議論されているのは、安倍総理が前提にしているのは、日本の近傍で起きた紛争なんです。正当化させてしまったら、相手の国の報復というのが容易なんですよ。これが今までの集団的自衛権の行使と違うところなんですね。しかも、戦闘で殺されるのは自衛隊員であり、かつ国民。結局、イタチごっこになっちゃうわけですね。

朝鮮戦争のときも、このときはミサイルはなかったですけれども、日本に攻撃はなかったんですよね。これは日本は参戦していません。

私は、戦争にちょっとだけよというのはないと思うんですよ。今、限定容認論、ちょっとだけよ、ちょっと行ったら全面に発展する。だから日本は、それで過去の戦争でひどい目に遭ったので、その反省のもとに、一線を越えるか越えないか決めたわけです。

この一線にはドアがあるんです。このドアには鍵がかかっているんです。その一線というのは、攻められたときだけですよという一線なんですよ。ですから、一線を越えるかどうかであって、限定的に、ちょっと米艦の防護だったらいいという話ではない。性質が違うと思います。

法制局長官にお聞きしたいと思います。

なので、法制局では歴代の長官が、数量的概念ではないという御答弁をされてきたんだと思います。

法制局は、集団的自衛権について、必要最小限度の範囲を超えるという説明をしている局面がございますが、それは第一要件、我が国に対する武力攻撃が発生したことを満たしていないという趣旨で申し上げているものでございまして、お尋ねの意味での数量的概念として申し上げているものではございませんと。鍵というのは、我が国に対する武力攻撃が発生していることなんです。

法制局長官、この見解は変わっていませんね。

横畠政府特別補佐人

お尋ねの必要最小限度の範囲という趣旨につきましては、御指摘のとおり、自衛権行使の第一要件を満たしているか否かということであり、その意味で、数量的な概念ではない旨考えております。