つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2014年6月11日 外務委員会

2014.6.11

議事録

辻元委員

実は、私、このときの協議に関係した外務省関係者にヒアリングをしたことがあるんです。断られたとはっきり言っているんですね。アメリカは、軍による自国民以外の外国人の退避への協力は一貫してネガティブなんですよ。

ちょっと資料を見ていただきたいと思います。二ページ目です。これは、外国にいる米国市民及び指定外国人の保護と退避に関する国務省と国防総省との間の合意メモというものです。これは早稲田大学の水島朝穂教授が明らかにしたものなんですが、これを見ていただきますと、その次のページ、翻訳をしていますが、一番に書いてあるように、国務省は、外国政府と、同国民の退避について正式の協定を締結することを控えている、そして、次のページの三番、その理由なんですが、それは、軍が援助して行われる退避の時期とか期間及び場所を決定する米国政府の能力が制限されている、これによって米国の軍と市民はより大きな危険にさらされる可能性があるから、事前に他国民の避難を約束することは控える、しないと書いてあるんですね。

それでは、どうしようとしているのか、この文書では外国政府に対してどのように要請することになっているのか。あらかじめその部分を外務省に指定していますので、その部分をお答えください。

冨田政府参考人

お答えをいたします。

先生御指摘の部分は、先生の方からお配りになった資料の二というところだというふうに思いますけれども、日本語の仮訳ということで申し上げますと、以下の内容になると思います。カナダ及び英国を含む全ての外国政府は、自国民の避難についての計画を立て、また米国政府の手段に依存しないことが求められる。

以上でございます。

辻元委員

というのがアメリカの本心なんですよ。

これは、四年前の米国統合参謀本部の非戦闘員退避作戦でも、ここではもっと踏み込んで、民間航空機などによって実施されるべきだとまで書いてあるわけですね。

内閣官房副長官にお聞きしたいと思います。

この事例を出されましたよ。いろいろ事例を出されましたけれども、つまり、安倍総理はこれを記者会見で冒頭に挙げて、何回も発言されています。

米国政府の基本方針は、外国人の退避は事前に約束はできない、協定は結ばない、アメリカを当てにしないでほしいというような、だからガイドラインのときも断られていて、今も方針は変わっていないはずですよ。これは外務省に確認しています。

現実は、安倍総理が言うように、アメリカから、日本人を輸送してもらう米輸送艦の防護の要請が事前に来るどころか、アメリカ側は、米輸送艦による日本人の救出は事前には約束できない、自分でやってくださいと。そもそも想定していないと思いますよ。

内閣官房は、このような事実を一つずつ踏まえてこの事例を出したんですか。いかがですか。

加藤内閣官房副長官

基本的には、我が国の国民を守るのは我が国政府がまずやるというのは当然のことであるというふうに思います。

その上で、今の御指摘を含めて、アメリカ側はアメリカ側の方針というのはそのとおりだと思いますけれども、ただ、いろいろな有事を考えたときに、起こり得べき事態、そういう中から、その事例も含めて十五事例を出させていただいた、そういうことでございます。

辻元委員

最後に、岸田外務大臣にお聞きします。

私は、これを見て一番びっくりしたのは米国政府ではないかと思いますよ。私は、湾岸戦争のとき、湾岸の近所を客船で走っていたことがあるんです。そのときも、アメリカ人を救助してくれ、サウジアラビアのジッダに集結させるから、そこに行って救ってくれと言われて、私は行ったことがあるんです。そのアメリカ人たちは前のタンカーに救助されたんですけれども。

アメリカ政府及び軍は、紛争になったら、周りの客船やタンカーにアメリカ人を乗せてくれ乗せてくれとがんがん言ってくるんですよ。これは、船関係者ならみんな知っています。そういう経験も踏まえて、非常に違和感を持ったんですね。

最後に聞きますが、これは、はっきり申し上げて、私は失笑しました。総理大臣がこんなことを大げさに、一番最初に言う、事実も踏まえずに。対外的にも、日本政府はこの程度の認識かと思われますよ。これは取り消された方がいいと思うし、問題だと思いませんか。最後にお聞きします。

岸田国務大臣

今や海外で生活する日本人は百五十万人と言われています。また、年間一千八百万人の日本人が海外に出かけていく時代です。こういった時代にあって、総理の挙げられた例は、国民にとりまして大変身近な、切実な問題提起ではなかったかと思います。

そして、実際のところ、過去の例を調べますと、二〇一一年二月、リビアにおける情勢悪化を受け、現地から邦人が米国政府のチャーター船により輸送された例がある。あるいは、二〇〇〇年六月に、情勢が悪化したソロモン諸島から、豪州軍艦により邦人が輸送された例がある。また、二〇〇六年七月に、レバノンから、英国の軍艦船により邦人が輸送された例がある。こういった過去の例を見ましても、こうした例は全くあり得ないものではないと認識をいたします。

やはり、あらゆる事態を想定して、すきのない体制を考えていく、こういった問題意識は大変重要なのではないかと私も認識をしております。