つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2006年3月1日 予算委員会

2006.3.1

議事録

安達政府参考人

お答え申し上げます。

委員御指摘の、昨年二月にお答えいたしました約一万一千百七十トンという数値は、平成十六年九月末現在の全国の原子力発電所に貯蔵されている使用済み燃料の量として電気事業者から聴取したものでございます。当該使用済み燃料の貯蔵量は、平成十七年九月末現在で約一万一千五百七十トンとなっているということでございます。また、年間の使用済み燃料の発生見通しは、約九百トンから千トンということでございます。

辻元分科員

見通しは変わっていないということで、そうしますと、間もなくウランを使ったアクティブ試験が開始されるというように聞いておりますけれども、この六ケ所の再処理施設によって、目指す方向で再処理されていくと、プルトニウムがどんどんふえていくんじゃないかという懸念を持っておるわけです。

具体的には、発生するプルトニウム、これは確認もしたんですけれども、六ケ所では年間八百トンの使用済み燃料が処理されるというように聞いていますが、これで正しいかどうか。

そして、そうしますと、約八トンのプルトニウムが生産され続けることになるわけですね。八トンというと、いろいろな計算の仕方がありますけれども、原爆でいったら約千個分ぐらいになるという指摘もされております。フル稼働しても使用済み燃料そのものの二百トンがオーバーフローするということも、前の委員会でも指摘されておりました。そして、仮に四十年間ということで稼働をまず計算するというようなことも答弁されているんですけれども、四十年間稼働したとすると、プルトニウムを三百二十トン回収することになる、今の見通しですと。

そうすると、今もプルトニウムが余剰という指摘も受けている中でこの再処理工場をスタートするということは、これだけの処理をし続けるということになりますから、さらにプルトニウムの残量を大幅にふやしていくことになるのではないかと考えているわけですが、いかがでしょうか。

安達政府参考人

お答え申し上げます。

今御指摘の、日本原燃株式会社の六ケ所再処理工場が定格稼働した際には、核分裂性プルトニウムでございますけれども、年間約四トン強の発生が見込まれているということでございます。

一方、電気事業者は、二〇一〇年度までに累計十六基から十八基の原子炉において順次プルサーマルを実施することとしておりまして、これによりまして、合計で年間約五・五トンから約六・五トンの核分裂性プルトニウムの利用が見込まれるということでございます。海外に保有しているプルトニウムを合わせて、着実に利用されていくものと承知してございます。

辻元分科員

そのプルサーマル計画がうまくいくかどうかという見通しについて、非常に悲観的な見通しもあるわけですね。「もんじゅ」についても、これは費用対効果から考えても非常に厳しいという指摘もあることは、皆さん御承知のとおりなんです。

そういう国内でのさまざまな意見がある中で、私は、国内的に考えても、この六ケ所をスタートする方向にかじを大きく切っていくというのはリスクが高いというふうにまず思っているわけです。その中で、先ほどから国際的な指摘、これは本当にこの数年、この十年ぐらいで環境が変わってきている核不拡散の問題の観点からいっても、リスクが高いという局面に今日本は立たされていると思います。

その中で、もう一点、六ケ所のIAEAの保障措置について聞きたいと思うんですが、特に注目されるのは、IAEAが査察などしても、各国が保有しているプルトニウムがほかに転用されていないかというところが一番焦点になるわけですね。勝手にどこかに隠しているのと違うか、勝手にどこかに使っているのと違うかと。

日本の場合は、IAEAによる、特に申告された物質の非転用の保障措置ということについては、どのようにIAEAとの間で議論されてきている、または取り決めされてきているんでしょうか。

中根政府参考人

お答え申し上げます。

我が国は、一九七七年にIAEAとの間で包括的保障措置を締結し、それ以降三十年近くにわたりまして、国内のすべての核物質についてIAEAの保障措置を誠実に実施してきております。また、一九九九年には、原子力発電を行う国としては世界で初めて、IAEAの保障措置をさらに強化するためのいわゆる追加議定書というものを締結しております。以後、包括的保障措置協定及びこの包括的保障措置協定を追加する追加議定書上の義務を誠実に履行することで、国内の原子力活動の透明性をさらに担保するために努力してきております。

こうした努力の結果といたしまして、IAEAは、二〇〇四年六月、我が国のすべての核物質が平和目的に利用されているとの結論を出しており、二〇〇五年六月にも改めて同様の結論が出されております。この結論が大規模な原子力活動を行う国に出されましたのは、我が国が初めてでございます。

二〇〇四年九月以降は、この結論が出された国に対してのみ適用されます統合保障措置というものが実施されております。

辻元分科員

それは存じ上げているんです。核不拡散という観点からの国際的環境が変わってきたという中で、非転用、ほかに転用していないということをさらに厳格にする必要があるのではないかと私は考えるわけです。

東海の再処理施設で二〇〇三年に、これは文科省が発表されたと思うんですけれども、七七年操業開始から二〇〇二年九月末までの間に累計二百六キロのプルトニウムが計算上行方不明になっているという発表もされたことがあるかと思います。最終的には五十九キロという結論を出されたようなんですけれども、いろいろな理由で、まさか転用しているとは思いませんよ、だれも、国内では、と言われておりますけれども、こういうことも既に過去の歴史にあるわけなんですね。

六ケ所の場合を考えると、百分の一と考えて八キロです。この八キロについて、転用がないということをきっちり、有意量が八キロですから、ちゃんと証明できるのかどうかというところ、これは、日本は信用されているからいいんだではちょっと済まない状況にもう既に現在はなってきていると思うんですね。

さらに厳格にこうだからということを示せない限り、踏み切ると、他国が、じゃ、日本と同じように、他国にはでけへんわというふうに言う人もいるんですけれども、そんなことは他国がどう主張するか、イランも既に平和利用だと主張しているわけですから、うちはやりますよと主張した場合に、前例になってしまう。

この点について、どれだけ厳格にIAEAの査察といいますか、非転用についての実証がなされると考えているんでしょうか。