つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2006年4月20日 日本国憲法調査特別委員会

2006.4.20

議事録

山参考人

日本雑誌協会が今までどういう声明を出してきたかということでお答えにかえたいと思います。

個人情報保護法が制定されるときに、個人情報保護法というのは、先ほど言いましたように、メディア規制という観点から見れば、特に出版社、雑誌にとっては取材の弊害になるということで三度ほど声明文を出すと同時に、緊急冊子を出したり、あるいは意見広告を出したりして、一丸となって日本雑誌協会は反対してまいりました。

また、人権擁護法案も、差別、虐待、公権力からの差別、こういうものと同列に報道による人権侵害というのが提起されておりまして、差別や虐待と報道による取材における人権侵害というのを同列に並べて、当時、文言の中に、ストーカー規制法というのがございまして、このストーカー規制法と同じ文言が雑誌によってなされているということで、実はストーカー規制法を読んでいたらほとんど同じ文言が出てきまして、待ち伏せとか、たび重なるファクスとか電話とか、取材の当たり前の行動なんですけれどもね、張り込みを待ち伏せとか書かれまして。何か、要するに取材活動そのものもストーカーと同じ行為だというようなことで規制されるということになっておりまして、これはとんでもない話だなということで、反対の意見表明書を二回ほど出しております。

それから、青少年有害社会環境対策基本法も、有害という概念、あるいは不健全という概念が不明確なまま歩き出しているんじゃないかということで、これも意見書を出しております。

その他は、裁判員法に対しても出しておりますし、先般来、犯罪被害者救済法に関しても、一部の部分でおかしいじゃないかということで意見書を出したりしております。

だから、今つくられているメディア規制法と言われるものに関しては、雑誌協会としては、我々は問題点をこう考えるという意見書を何回か出しております。

そういう流れからいいますと、ますます、こういう活動は今までそんなに活発ではなかったのに、二〇〇二年ぐらいからはたびたび緊急招集して、今、個人情報・人権問題特別委員会というのを雑誌協会の中につくりまして、その特別委員会が活発に機能するような事態になっております。それが現実の空気の証左じゃないかと思っております。

以上です。

辻元委員

それと関連すると思うんですけれども、一つきょうお話しいただいた中に、戦前の翼賛体制という中での表現の自由の制限、封殺という言葉も出てきたように思うんですけれども、という御発言がありました。私は、今の時代、先ほどイラク戦争に対する報道の規制のような事例も挙げられたと思うんですけれども、戦前に全部戻るとは思わないんですけれども、何か国家がいろいろなところに介入するとか、それから、やはりこれは憲法の改正議論と関係してくると思うんです。

一つは、この改正議論の中で、どうしても九条が焦点になりますけれども、武力というものとどうつき合うかというところで、それに影響されて言論の自由や基本的人権の制限ということが出てきますので、ですから、そういう方向に私たちは反対をしているわけなんですけれども、今のメディアの状況からいって、何かナショナリズムをあおったり、そういう風潮を高めていくような懸念を指摘する人たちもいるんですけれども、そういうことは一切お感じになっていないでしょうか。いかがでしょうか。

山参考人

これは、日本雑誌協会の一員としての答えはちょっと……。そういう話を具体的に、取材活動及び表現活動における問題点というのはたびたび話はするんですけれども、ナショナリズムの問題あるいは九条に関する具体的な討論というのは、これは各誌それぞれ違いがございますので、これに対して統一的な話とかそういうことはしておりません、はっきり言って。それぞれの雑誌、個人としての見解は持っておりますけれども、日本雑誌協会の特別委員会では、今のお尋ねのことに関しては、具体的には、統一見解を持っていたり、話し合いで合意に達したりしたことはございません。

辻元委員

それは先ほどからのお話で、いろいろな主張をする雑誌があって、これは健全なことだと思うんですね。ただ、先ほどから戦前の話が出ていましたけれども、やはり二度と同じような過ちを繰り返さないという点で、現場で働いていらっしゃるのでそういう空気みたいなものを、私なんかはちょっと感じるわけなんですね、最近何か世の中ちょっと変な方向行っているのと違うというような発言もよくちまたでも聞くわけで、雑誌をつくる現場というのは敏感に感じていらっしゃると思いましたので、今のことを質問したんです。

ちょっとそれとも関連してなんですけれども、もしも自主規制ということが入った場合にどういう影響が出るのか。これはない方がいいというふうに私たちは考えております。ただ、一部入れた方がいいんじゃないかという意見もありますので、かなり萎縮してしまう可能性が出るのかどうか、率直な御意見を伺いたいと思います。

山参考人

この自主規制に関しますと、もし実施されるということになりますと、萎縮というよりは、我々としては雑誌が成り立たない。この憲法に関して言うと、記事がつくれないんじゃないかと思います。というのは、規制をかけられてまで編集をするかどうかとなりますと、これは各編集長の判断になるでしょうけれども、かなり制約を受けると思います。

ですから、もし言論の自由に関するこの規制があった場合には、逆に言うと、これは憲法違反、今の憲法に対する違反なんじゃないかということで、むしろ、私はちょっと今わかりませんけれども、もし実施されたとなると、とんでもない形での反論か何かの行動に出る可能性もなきにしもあらずだと思いますし、各誌はそれを全然無視してやる雑誌もあるかもしれませんね。処罰の対象にもしなっていれば、では、処罰の対象になって、訴訟の場でやろうじゃないかみたいなことになるかもしれませんし、何か非常にとんでもない形で反応が起こってくるかもしれません。

今のところ仮説ですので何とも言えませんけれども、やはり、この自主規制というのは言論に対してはとんでもない措置だと思っております。

辻元委員

今の御発言は現場の声として大変重い声ではないかなというように思いました。

そういう中で、もう一点、きょうの御発言の中で、選挙の折に、先ほど自民党に呼ばれてという話がありましたけれども、そういうように政党を、例えば、その案件の場合ですと、偏った報道じゃないかというような趣旨で参議院選挙の後に自民党に呼ばれたというふうな話がありましたが、どういうことを言われるんですか。ぜひ聞いてみたいなと思いまして。それはやはり自主規制とか規制とか、表現の自由の問題と非常にかかわっていますし、すべての政党にかかわることですから、御参考のためにお聞きしたいんですけれども。