近藤小委員長
ちょっと、今井さん、全部答えていただけますか。その後、渡辺参考人からお答えいただきます。
今井参考人
では、辻元さん、広報協議会の話でしたよね。
広報協議会については、現在、自民・公明案は衆参で十人、それから民主案もそうですね。基本的にはそのときの勢力に、全く正比例じゃないですけれども、正比例だったら出せない党派も出てくるわけですから、そういうことも考慮された上で選ばれていると思います。
私は、これは日本の国民投票に至る手続の規定からいったら、こういうルールでいたし方ないのではないかというふうに考えています。なぜかというと、残念ながらというか、国民からのイニシアチブは認められていません、イタリアのように、あるいはスイスのように。国会議員が各院三分の二の賛同を得て発議するということになっていますから、あくまで議会の中でしかそういうことができないんだったら、広報協議会についてもそういう割り振りになってもしようがないかなというふうに思います。
ただし、完全比例は反対ですけれども、これを見たら完全比例じゃないですよね。社民も必ず一以上、共産も一以上あてがわれると。辻元さんや恐らく笠井さんもそうだと思いますけれども、しかしその中で常に改正の発議をした側に多数はあるじゃないかということを心配されていると思うんですが、そういうことを若干牽制するためにも、日弁連の方から提案があったみたいに、院外の諮問委員みたいなものを何か選出されたらいかがか、そういう機関も設けられてはいかがか。つまり、多数の横暴になっているじゃないかということにブレーキをかけるために、院外のそういった識者の機関を設定することも考えていただけたらなというふうに考えております。
以上です。
〔小委員長退席、愛知小委員長代理着席〕
辻元小委員
社民党の辻元清美です。
三点、簡潔にお伺いしたいと思うんです。
一つは、日弁連のどちらかの方にお願いします、期間の問題なんですね。先ほど二年という案も出ました。日弁連はどのようにお考えかということです。
といいますのは、六十日というのは二カ月で、百八十日は六カ月なんですけれども、例えば今教育基本法の、どうするかという議論がある。二カ月なんかすぐ過ぎるんですよね。一般的に、公共空間で今の教育基本法の問題がどれだけ認知されているかというと、ほとんどの人がよう内容知らぬなと。私は議員立法でNPO法というのをつくりましたけれども、これは法案を提出してから一年ぐらい国会でも継続、継続でやりました。一年ぐらいやると、やっといろいろな人たちが、そういうことが議論されているということが少しわかってくる。最低六十日なんということになってしまうと、二カ月というと、すぐ過ぎますので、これはとんでもないなと私は思っていますが、日弁連はどれぐらいとお考えでしょうか。
二つ目は、基本的な原則として、現状の国会の議席がどうこうというのではなくて原則として、憲法を変えるための九十六条の解釈ということで、三分の二というのは発議に必要な要件であって、発議された後まで、これは三分の二の解釈というのは多数の専制を許さない、横暴を許さないという解釈で、二分の一でもできないことを三分の二と決めているのであって、三分の二で発議された後はすべて平等に扱うべきではないかという原則があるんじゃないか、私はそういうふうに解釈しているんですけれども、日弁連の方々は日ごろ専門家ですので、この解釈ですね。
というのは、なぜかというと、この三分の二に引っ張られて、国会の議席だとか多数で発議したからということをあらゆるところで、何となくそれに引っ張られるということを私は危惧していますので。発議までと発議後の取り扱いというのは原則が違うんじゃないかということについて、日弁連の両先生のうち、お二人でも結構です、どのようにお考えか。
これと関連して、山田参考人が似て非なるものという発言をされました、政党の発信と社会の中の認識は似て非なるものだという発言を途中でされているんですけれども、これと関連しているような気がしますので、そのことについてお答えいただきたいことと、もう一点、先ほどから広報協議会は何するところかと。印刷物をつくるだけではなくて、説明会の開催等も入っているわけですね。ですから、なぜここでの委員の数も含めて賛否平等の取り扱いにこだわるかといいますと、どこで、何カ所説明会をするかとかもそこで決めるとなると、単に印刷物を一回出して終わりじゃないわけですね。どういう形で説明会を持つか、どういう方に来ていただくようにするのかというようなこともありますので。私はまだ広報協議会、この議席配分には納得していないわけです。
それと、今の中で、改正案の中身についての解説とか要旨ということが入っているわけですけれども、印刷物に私は現行憲法も載せるべきだと思っているわけです。現行憲法について一般の人たちがよく知っているかというと、そうでもないというところもありますので。対照表をつけて、現行憲法の経緯とか解説。もしも改憲案の解説をするならば、現行憲法についても同じものが必要ではないかと思っていますが、日弁連の方はここはどういう御意見でしょうか。
以上です。
吉岡参考人
端的に期間のことだけ申し上げますと、私ども、本年八月二十二日付の意見書に書きましたが、最低でも一年という期間が必要だろうということで意見をまとめております。ただし、これについてはいろいろと会内では意見がありました。ただ、例えば、ここに書きましたように、公共施設を借りて何らかの勉強会なり集会を開くだけでも数カ月かかるであろうとか、いろいろなことを考えました上で、やはり国民が十分な判断をするためには十分な期間が必要だろうということで今の期間の御意見を述べております。
菅沼参考人
その後の問題で、一つは九十六条の解釈として発議前と発議後は違うのではないかと。
発議前は確かに三分の二という拘束があるけれども、それは発議後は違うのではないかという御意見で、日弁連が九十六条の解釈を別に肯定的に言うわけではないですけれども、今辻元先生おっしゃっていることを前提としているから、いろいろな場面で賛成意見と反対意見を対等にとか同じ人数でということを申し上げているわけで、この意見の前提には、当然、三分の二に引きずられないという前提のもとで意見を申し上げているつもりです。
それからもう一点、現行憲法については、ここでどういう、やり方まで議論するべきかどうかあれですけれども、法律案の場合も現行と改正案の対照表とか、それはもちろん、わかりやすくするためにもそういう必要性はあるのではないかと思います。
以上です。
山田(健)参考人
前者の問題につきましては、既に日弁連の方からの回答と私の考え方は基本的に一緒であります。一つだけつけ加えて言うならば、国民投票で問われるのは政党の意思であってはいけないということであります。その点だけそう確認させていただければというふうに思います。
それから、後者の方であえて一つだけ言いますと、例えば、憲法改正案の広報協議会は広告枠の割り当てを業務として考えております。すなわち、回数や日時や寸法をどうするかという問題でありますが、ここはどうしても恣意性が入ってしまう可能性が高い分野であります。
例えば、放送時間をどうするのか。極端な話、現在の政見放送みたいに並べてずっとやればいいじゃないかという考え方もあるかもしれません。多分、それが枝野さんが考えていらっしゃる現在の広報の仕方であろうかというふうに思いますが。ただ、もしそうだとしても、その順番であるとか、あるいは放送時間枠を早朝にするのかゴールデンタイムにするのか、当然ながらそこにはさまざまな形で恣意性が入ってくる。その可能性が捨て切れない部分が広報協議会の考え方であります。
逆に言うと、それが全くないんだというのであれば、そもそも私の最初の考え方がそうでありますけれども、この広報協議会については、より事務的な、あるいは簡単な、まさに公報に徹して、それは何も国会がみずからしなくてもいいのではないかという話になってくるのではないか。国会というのは国会議員がという意味ですが、しなくてもいいのではないかという考え方があるのではないかと思っています。