つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2008年11月27日 安全保障委員会

2008.11.27

議事録

浜田国務大臣

その点に関しては、私、お言葉を返すようで大変恐縮なんですが、我々、任務遂行のために、自衛隊員、自衛官は一生懸命努力をしているところでありますので、そういった影響がないというふうに私自身は思っております。

その中においてすべてを調査してということは、果たして物理的に可能かどうかも含め、逆に言えば、我々の目的というものをもう一回考え直す必要があるのかな。

我々はあくまでも日本の安全保障をしっかりと守る、これが我々の任務であり、それをなし遂げることが我々の仕事であるということをさらに我々はしっかりと考えることが極めて重要。

そして、そういった歴史認識等に関しては、当然我々は、前から申し上げておりますように、思想、信条というのは、これは持っても構わない、ましてやその意見を発表するのも構わないと言っているわけであります。

ただ、我々、この政府の見解というものが極めて重要である以上、これをしっかりと守って、与えられた範囲内でいかにこの国を守っていくかということが我々の任務ということをさらにしっかりすることが私は重要だと思っていますし、今の状況を、いろいろなことを私ども確認させていただいておりますけれども、その中ではそういった兆候は見られないということだけは申し上げておきたいと思います。

辻元委員

私、ちょっと甘いんじゃないかと思うんですね。

もしも自衛隊という実力組織に対して、同じような考え方に共鳴するような人をねらい撃ち的にある団体などが目をつけてと言ったら変ですけれども、その団体などの活動を広めたり、同じような考え方を持つ人たちを自衛隊の中に広めていこうというような接触が、これは金銭のやりとりなどだけではなくて、あるというのは非常に危険だし、問題だと思っているわけですよ。ですから、そういうある特定の団体からの働きかけや、それと関連して今回のことが起こっているようなことがないかどうかも含めて調べてほしいと言っているわけです。今の御答弁は趣旨が違うと思います。この点が一点。

それからもう一つあわせて質問をして、まとめて御答弁いただきたいんですけれども、私は心配しているわけですよ。そんなことはあってはならぬことですよね。

もう一つ、この田母神時代と言いますが、統合幕僚学校長であったときに、この統合幕僚学校に上がってくるには、その下に幹部学校の指揮幕僚課程というのがあるということなんですね。では、どういうように選抜されて統合幕僚学校に最後、幹部が上がってくるのかというのを調べてみましたら、実は、その時代の一次試験のテーマが、一次試験は論文なんです、愛国心だったんですよ、この年は。それで、この年に五百七十二名が一次試験を受けて、九十五名が選抜されてきているわけです。そして、二次試験を受けて、さらに統合幕僚学校へ行くわけです。振り落としていくわけですね、言ってみれば。

この愛国心の論文などについて、当時、この主任試験官、一等空佐の方が所感を文書にして、選考を終えてということで書いていらっしゃるわけです。その中にこういうくだりがあるんですね。「当事者意識」というところに「ごく一部の受験者において、自身が戦後のいわゆる自虐史観教育の影響から抜けきらず、その考え方を是とした者がいたのは極めて残念であった。」と。

これ、意味はわかりますよね。こういう基準で選考していたということは、言ってみれば自虐史観の人を選ばないということになるわけですね。そうすると、今大臣おっしゃった、先ほど私、自虐史観のことを答弁いただきましたけれども、村山談話などに反するというか、そういう考え方だと。そうすると、政府の見解で村山談話に沿っての見解を書いた人はどんどん落とされて、田母神さんみたいな考え方の人がこの選考では残ってきたんじゃないかというぐらい疑われるわけですよ。

これはちゃんとこの主任試験官の方が、もう一回読みますよ、「自虐史観教育の影響から抜けきらず、その考え方を是とした者がいたのは極めて残念であった。」と試験官が述べているわけですよ。こういう事実があったかどうか。これも結局、先ほど申し上げました田母神という人個人の問題なのか。特に田母神時代、この人はトップにいたわけです、どういう教育がなされてきたのか。

そしてさらに、二次試験の選考、主任試験官の方はこうおっしゃっています。一等空佐の方ですね。「防衛問題(専守防衛、攻勢作戦、武器輸出三原則等)は高等教育を授かった受験者ほどその弊害としてか、従来の枠組みの中での発想しか見られず、将来の国防組織を担う者としての意気込みを感じることが少なかった。」と。これは従来の枠組みで発想したらだめなんですかね。

田母神さんの論文でもう一つ問題になっているのは、集団的自衛権の行使や武器使用、そして憲法を変えろと。二次試験の選考された主任試験官の一等空佐の方がこういう基準で審査されていると出ているわけですよ。大臣、御存じでしたか。私は、別に自衛隊員の方をみんな疑っているわけじゃないんですよ。それはわかるでしょう。どうなっていたのか明らかにすべきだと言っているわけです。これは御存じでしたか。

御存じじゃなかったら、幹部が上がっていく教育の試験のあり方や、どういう基準でどんどん上がっていく幹部候補生を選んできているのか、これは全部、田母神時代については検証する。

そして、もう一点申し上げたいのは、検証するだけじゃなくて、報告書を出してほしいんです。例えば、今まで防衛省の不祥事がありました。その不祥事のたびに不祥事検証委員会というものを省内に立ち上げ、報告書を出して、国会及び国民に報告してきたわけですね。今回の事態もそういうことをするに匹敵する。田母神さん一人やめさせて終わりと違いますよ。

ですから、今私が指摘した点への検証、調査、報告、及び全体像の調査、報告、報告書を出していただけるかどうか、これは大臣の御決意にかかっています。そこでうにゃうにゃ言う答弁していたら、何やとなると思いますよ。いかがですか。

浜田国務大臣

基本的に、私は、まず田母神さんの件については、極めて不適切であったから切ったという思いがいっぱいあるわけでございまして、その意味では、それがすべて自衛官と同じように見られるというのはおかしな話であります。そもそも、自衛官というのはバランス、右から左までというお話がありましたし、バランスよくいろいろなことをしっかりと自分の中に吸収して、国のために宣誓をしてこの自衛隊に入ったということをしっかりと認識することが極めて重要であって、バランス感覚があるからこそやっていけるというふうに私は思っています。ですから、バランス感覚のない人間は自衛隊を去っていただいたということがまず重要なことであります。

今後、我々がやらなければならないことは、そういったバランス感覚を持たせるためにも、右から左まで、いろいろな意見、いろいろな考え方というものをしっかりと勉強させることによって、何がよくて何が悪いのか、そして自分の任務を遂行するために何が必要なのかをしっかりと学ばせることが重要だと私は思っています。

ですから、先生のおっしゃるように、明らかにするべきところは明らかにし、しかしながら、私自身とすれば、それが果たして余りにも大したことのない人間だったかもしれないことを大きくしてしまうことの方が問題である部分もあるわけでありますので、その点に関しては極めて慎重に対処してまいりたい、このように思っておるところであります。

辻元委員

今大臣が立派におっしゃったことを立証するために、きちんと検証していただきたいということなんです。言ってみれば、今私がちょっと調べても、こういう選考基準だったのかしらと思うようなことが目に飛び込んでくるわけですね。

鵬友をいっぱいきょう持ってきましたけれども、この鵬友の中にも、田母神さんと同じような主張を展開されている。先ほど、沖縄の集団自決の話は赤嶺委員が指摘されました。それ以外にも、主に空将の方が、「学校で使用する歴史教科書は驚くほど自虐的である。」とか、また、もう一人の方は、「「日本の若者が日本に誇りを持てないのは反日的な近代史教育が関係していると思います」。」とか、出てきているんですよ。

ですから、一体どういうことがどういう形で行われているのかをきちんと調査して公表するということは、自衛隊の信頼を取り戻すため、大臣が今おっしゃったことを立証するために非常に必要なことだと思います。

それ以外にも、ここに「使命の自覚」という海上幕僚監部が出していると言われている、内部の教育の参考資料があります。この中にも同じような発言があるわけですね。「戦いに敗れた日本人は、すでに述べたように、敗戦をきっかけに、愛国心を禁句とし、賤民意識のもとに、何事につけても、自らを卑下すると同時に、自国の存在理由を主張し、自国の良さを語ること、自分の国を世界の繁栄に向けて建設して行くことに、全く消心し、」とかいうくだりがあるんですよ。これは海上幕僚監部が出しているものです。

私は心配しているわけです。間違ったことは間違ったでちゃんと反省して、そしてきちんと国を再建していこうという、その中で自衛隊はシビリアンコントロールでやっていくんだということであるわけです。しかし、こういうようなことがあちこちに出てくるわけです。

最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、実は幕僚長がこういう発言をされています。大臣と同じように講義のことを聞かれたんですね。

幕僚長は、講義の内容は多様であり、許容される範囲を逸脱したというふうには言い切れない、うんと偏っているとは判断しておりませんと。そして、記者が、えっ、それは多くの自衛隊の幹部の方が共有されているバランス感覚ですかと再質問しているわけです。ちょっと驚かれたのかもしれません。これは大臣の答弁とはちょっと違いますよね。これは二十日です。さらに、それに対して、私はそう思っております、一部ですが学生等に聞いた所見を総合しますと、それほど偏ったというふうに私は思っておりません、これは幕僚長の会見での発言です。

そうなってくると、そういうさっきの振り分けみたいなので選考されているとするならば、賤民意識とかそういうので教育がもしもされているとするならば、そういう学生に聞いても、いや、偏っているとは思わないと言うでしょう。

そして、幕僚長がこういう御認識であるとすれば、大臣と見解が違うと思います。そうなってくると、私は断定しているわけじゃないです、自衛隊の中での国家観や歴史観というのは、自衛隊の常識は田母神さんに近い常識になっているんじゃないか、一般や国際社会とかけ離れていく可能性があるんじゃないかと思われても仕方がないわけですよ。この幕僚長の発言について、どう思われますか。大臣とは違う。

もう一度申し上げます。ちゃんと調査報告書を出した方がいい。内部、そして第三者を入れた方がいいですけれども、きちっと検証をする組織を立ち上げた方がいいというように思いますが、いかがですか。

浜田国務大臣

統合幕僚長の会見の件は、それは今回の田母神さんの選んだメンバーのことを言ったのではなくて、カリキュラム全体を見たときにはというただし書きがついておりまして、その点については記者さんたちも理解をしていただいたというふうに思っています。

それと、今調査のお話がありました。我々とすれば、じっくりと時間をかけてこれを調査したいというふうにも思いますし、報告に関しても、まだ、委員会を立ち上げるかどうかも含めて、これから考えたいと思います。

辻元委員

終わります。

私も、田母神さんに直接いろいろお聞きしたいと思いますので、委員長、先ほどと同じように参考人として呼んでいただきたいということを要望して、質問を終わります。