つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2008年12月16日 安全保障委員会

2008.12.16

議事録

中曽根国務大臣

去る十三日に福岡で行われました日中韓首脳会議におきましては、今委員からお話ありましたように、この三カ国が総合的な防災体制の整備について協力を強化していくということで合意がされたわけでございますが、さらにこの防災協力を具体的に進めていくために、防災担当の閣僚級による定期的な会合を立ち上げるということについても合意をされまして、第一回の会合を我が国で開催するということが決まったわけでございます。

防災の分野ではこれまでも、例えば、韓国との間では実務者レベルでの対話を定期的に実施しておりますし、また、中国との間におきましても、四川大地震の復興視察団を受け入れて、復興に向けた取り組みなどで協力をしてきておるわけでございますが、今後は、今まで韓国、中国と個々にやっておりましたけれども、それをもとに、三カ国での具体的な防災協力のやり方について、今申し上げましたけれども第一回会合を日本で開くことになりましたので、今後の協力の仕方について話し合うことになろうと思います。

特に我が国は、我が国のいろいろな過去の災害時での経験等もまたございますので、そういうものを生かしていくということが大事だと思います。

辻元委員

私は、ある理想と言ったらおかしいんですけれども、東アジアの近隣諸国と共通の、各国から人材と資金を出した共通の、防災に特化した災害救助隊みたいな多国籍のものができればいいなと実は考えていたことがあるんですね。

それはどういうことかといいますと、日中韓が中心になりまして、ロシア、そしてモンゴル、そして北朝鮮もこれからは前に進んでもらわなければ困るわけです、民主化して、今の体制を変えていただいて、その中で北朝鮮も入ってくるというような形でそれぞれが、いろいろな国々の共通の部隊になりますと、どこであっても、例えば四川大地震があった、残念ながら過去の経過もあって、自衛隊の皆さんはなかなか行きにくかったという経緯もあります。これが、共通の人材と資金を出した東アジア共通の災害救助隊であれば、どこでも行ける。

私は、体制が違う国にも入れるというようにしながら、そして世界から要請が来れば、東アジアからどこでも飛んでいきますというような世界一の、そういう共同の災害救助隊を東アジアでつくったらどうかと。私は、そういうことを積み重ねていくことが安全保障だと思うんです。安全保障というのは、複合的、風邪薬でいえば総合薬で、軍事的なことだけではないと思うんですね。

そういう意味で、そういう展望も含めて、ぜひ前に進んでいただきたいと思いますが、今私が申し上げた提案はいかがでしょうか。

中曽根国務大臣

地域の防災協力についてはいろいろなやり方が考えられると思いますし、いろいろな制約もまた一方であろうかと思います。委員の今のお考えも一つの方法だと思います。そういうものも十分参考にさせていただきたいと思っております。

辻元委員

私は、今、東アジアの緊張、緊張といってもあるのかないのか人によって見解が違いますけれども、総合的に東アジアはピースであり、そして、これから経済的にもここは牽引力になる地域だと思いますので、その信頼構築の一つとして非常に重要だと思いますので、御提案申し上げました。

三つ目の提案は、紛争の予防、解決です。

先ほどからアフガニスタンの話が出ております。外務大臣、ことしのノーベル平和賞、十日に授賞式がありました。平和賞だけはノルウェーでやっているわけですけれども、どなたか御存じですか。

中曽根国務大臣

私、お名前ははっきりと覚えておりませんが、フィンランドの元大統領が受賞したと思います。

辻元委員

アハティサーリ。アハティサーリというのは覚えにくいですけれども、前フィンランド大統領です。

この方は、インドネシアのアチェを初め、世界の紛争の仲介役を果たしてこられたということでノーベル平和賞をおとりになりました。以前は、対人地雷の全面禁止条約をNGOが牽引して、そのNGOとそれからジョディ・ウィリアムズさんという方がとった歴史もありますけれども、私は、確実に、冷戦が終わり、そして、このイラク、アフガニスタンの議論も今ありましたけれども、やはり武力以外で紛争を予防、仲介していく役割というのが国際的にもとても評価され、大事になってきていると思います。

このアハティサーリさんが言っているんですね。「成功させるには、少人数で有能な人々によるチームが必要だ。政府だけが和平交渉を担えるわけではない。交渉がだらだらと続いて、何の成果も得られないこともある。」この人は政府もよく御存じですから。その後、御自分で小さなNGOをおつくりになったんですね。それを母体にしてさらに活躍をされています。「市民も、平和をつくる作業に加われる」。「政府主導の仲介だと、国の利害が絡み合い、中立的な立場を貫きにくい。紛争当事者と仲介者との個人的な信頼関係を築くのも難しい。「民」主導なら、こうした「官」の限界が出にくいと指摘する。」と。例えば、三十年以上続いたアチェの紛争は、交渉を支えたのは十人前後のチームだったわけですね。

それ以外にも、アハティサーリ氏の仲介により、コソボの人権弾圧を理由にしたNATO軍の七十八日間に及んだユーゴ空爆は終わった。なぜこの大役が可能だったのか。同氏は、もしフィンランドがNATO加盟国だったら、私は仲介役としての役割を果たせなかっただろうと言っているわけです。

要するに、実際に武力行使を実戦としてやっている者同士というのはお互いに戦っていますので、仲介役というのは、先ほどのやりとりでもありましたけれども、中立ということがかなり担保されていないとやりにくいわけです。

私は、日本はこのアフガニスタン、イラクでイニシアチブをとれると思うんです。あらゆる紛争を武力でうちは解決しませんと憲法九条で世界に宣言しているわけですから、武力以外やったら何でもしますで、特に仲介だったらリーダーシップをとりましょうと。

そこで、私は、NGOの役割というのが非常に大事だと思います。

政府とNGOの連携、中谷さんずるっとされましたけれども、それは時代おくれですよ、そういう態度は。フィンランドとかカナダがどうしているかというと、ノルウェーもそうなんです、まず、各国の例えばお医者さんとか人道支援をやっているところが中立な立場で各派に入っていくわけですよ。信頼関係を構築するわけです。そして、ある程度信頼関係を構築して、それぞれの、そういう勢力には和平をしようと思っている人も必ずいますから、そこと連携をしながら、最終的に和平のテーブルに着くときにノルウェーの政府なんかはぐっとバックアップするわけですね。

常に連携しているわけです。そして政府は、税金をしっかり使って、そういう人を育成しているわけです。私は、そこの研究と、そこへの感性と果たしている役割というのをきちんと政府としてもう少し研究していただいた方がいいと思っているんです、これから非常に重要になってくると思いますので。その中で、平和構築者の寺子屋をつくろうとか、これは麻生外務大臣のときに表明をされたり、その方面にも少し外務省の方も動いてきているように思うんですけれども、本当にこれは侮れない一大勢力に今なっています。国際的な連帯がすごいんですよ。インターナショナルに物すごいネットワークを持っています。

ですから、大臣、特にアフガニスタンについて、先ほど、タリバンとの接触はないということでしたけれども、先日、中村哲さんという方が参議院に呼ばれて、いつもこの方の名前が出てきますけれども、彼だけではなくて、物すごい情報を持っていますよ。援助活動をするというのは、そこにタリバンもいるし、違う勢力もいるんです。でも、両方と話ができるから村に入っていけるんですね。長老とは幾らでも話ができるわけなんです。私は、もったいないと思います。私もNGO出身なんです。そういう活動をしている人も知っています、実際に現場をしていて。リスクもあるんですけれども、やっているわけです。

これは、公に、こうやっています、ああやっていますと今やっていたとしても、御答弁できない案件であるということもよくわかっている。最初は秘密でやりますから。けれども、私は、やはり外務省としてそういう研究をなさって、アフガニスタン、イラクについてイニシアチブを持つ、そして、そういうチャンネルから情報を仕入れて、特命部隊じゃないけれども、外務省の中にイラクやアフガニスタンの仲介及び紛争解決の特別チームみたいなものをつくってお取り組みになった方がいいと思いますが、これが三つ目の提案です。いかがですか。