つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2009年3月18日 外務委員会

2009.3.18

議事録

中曽根国務大臣

アハティサーリ前フィンランド大統領は、もう三十年以上にわたる長いキャリアの中で、こういう国際紛争の解決に向けて多大な尽力をされてきた方でございますが、二〇〇五年以降は、国連の暫定統治下にありました、今議題になっておりますコソボの将来の地位問題に関する解決案の取りまとめに尽力をされまして、国際社会の監督下によるコソボの独立案を国連に勧告するなどされて、長期的な安定のために多大な尽力をされたわけでございます。

その他の地域、インドネシアのアチェ州とかそういう地域におきましても、和平プロセスの進展に対する貢献を含めまして、前大統領の国際調停者としての業績を高く評価しているところでございます。

ノーベル平和賞を受賞された際にも、私から大臣談話でお祝いの談話を出させていただきました。

辻元委員

アハティサーリ前大統領、フィンランド、それからノルウェーなどは、調停外交をトップ輸出品にしている国々と言われているわけです。私は、前回、中曽根外務大臣に、ぜひ大統領に次ぐ貢献者になっていただきたいということで、日本はあらゆる紛争を武力で解決しないんだと世界に宣言しているわけですから、武力以外のことでの貢献というので、これから調停外交というのは日本の大きな柱にしていただきたいと思っております。

そこで、アハティサーリ大統領の功績を高くたたえるとおっしゃったわけですが、特徴があるんですね。調停外交の特徴、まず、コソボの大使館などもその点でこれから活動してほしいと思うんですけれども、同大統領が一つはこう言っています。コソボやアチェの紛争の解決のプロセスで、成功させるには少人数で有能な人々によるチームが必要だった、政府だけが和平交渉を担えるわけではない、交渉がだらだらと続いて何の成果も得られないこともある、市民も平和をつくる作業に加われる。そして、このほかにも、どんな和平調停にかかわる際にも、NGOの若い仲間を加えるようにしているというのが特徴なんです。

これは、私はNGO出身の議員だから申し上げるわけではないんですけれども、例えば、この間の国際情勢を見ましても、対人地雷の全面禁止条約、そしてさらにクラスター弾の禁止条約、そしてさかのぼれば九〇年代にはオスロ合意もございました。これにかかわっては、国際的なNGOと、例えば対人地雷ですとオタワ・プロセスと言われる、これをカナダ政府がサポートしていく、そしてクラスターの場合はオスロ・プロセスと言われました、一緒になってこれはノルウェー政府がバックアップしていく。そして、世界の軍縮や紛争解決にNGOと一緒にパートナーシップを持って進めていったことが実際実績を上げているんですね。私は日本をそういう国にしたいと思っているわけです。

そこで、今回、そういう中で、各国在外公館と、そしてそこで活動している日本初め世界のNGOとの情報交換ということが、在外公館の仕事の中でも大事になってくると思うんですね。

以前いただきました、平成十七年三月に、総務省、外交・在外業務実施体制及び運営に関する行政評価・監視の中で、外務省に対する通知の中に「NGOとの新しい関係」という項目もございました。これは、外務省のいろいろな、さまざまな問題の折、この外務委員会でもこの総務省の勧告はかなり取り上げられておりますけれども、この中に一項目、NGO諸団体への職員の派遣とか、それからNGO担当大使の設置、そしてNGO連絡センターの拡充とか、さまざまな点を指摘され、これからも取り組むようにという趣旨の項目が入っております。

そこで、現状どうなっているかお聞きしたいと思います。NGO諸団体への職員の派遣は、現在どこにどれぐらい派遣しているのか、それからNGO担当大使というのは今置かれているのか、それから連絡センターはどこにどのように拡充されたのか、御答弁いただきたいと思います。

兒玉政府参考人

事実関係のお尋ねでございますので、私の方からお答えさせていただきます。

まず、先生御指摘の平成十七年三月の総務省の評価のことでございますが、その通知においては、「NGOとの新しい関係」に関するすべての事項においておおむね進捗しているという評価はいただいていると我々は認識しております。

その上で、その後どういう努力をしているかということでございますが、まず、NGO諸団体への職員の派遣については、外務省は、さかのぼりまして平成十四年度から毎年度、若手省員をさまざまなNGOに一週間から一カ月程度、大体四週間の間で派遣をする国際協力NGOインターンシップ・プログラムを実施しております。これまで、平成十九年度までに、このプログラムを通じて合計八十名の外務省員が、若手省員が、合計十七のNGO団体で実際に研修をして、平成二十年度、今年度におきましても、三つの団体で計三名、二名はもう既に研修を修了して、一名がこれからでございますが、そういう予定でございまして、このプログラムは本当に今、意義深い、外務省とNGO団体との関係をさらに強化する上でも大変有意義なプログラムと思っています。

それから、NGO担当大使につきましては、平成十四年十一月に大使を設置しました。現在も、NGO担当大使として非常勤の外務省参与である五月女光弘元ザンビア大使を任命しておりまして、今日まで六年四カ月の間、初代民間援助支援室長として培った人脈と実績を生かして連携の基礎をつくり上げ、特に今、新聞や雑誌等への寄稿、講演を通じて啓発に努めていると思っております。

それから、最後にNGO連絡センターでございますが、これは平成十二年の十月に、国内広報課長をセンター長、その企画官をセンター長代理として、課員二名、合計四名を構成員として発足しております。その後、平成十四年十一月に先ほど申し上げましたとおりNGO担当大使が設置されて、同大使がセンター長を務めて、今日に至っているということでございます。

辻元委員

一週間から一カ月派遣されているとか、非常勤とか、二名プラス二名で四名とか、私はまだまだ足りないと思うんですね。

もう一つお聞きしたいと思うんですが、ODAの評価をめぐりまして、これも在外公館がODAを効率的に、どういうようにどこにつけるというか、日本としてコミットメントしていくのがいいのかということで、在外公館の役割も大事ですけれども、その評価をということで、外部の評価、特に現地に詳しいNGOも評価をするメンバーとして、NGOや国際機関との合同評価ということもこの総務省から出されました勧告の中に出ております。

実績をちょっと伺いたいと思うんですけれども、この間、NGOや国際機関によるODAの評価というのはどれぐらい、何件中何件というように報告していただけますでしょうか。

小田政府参考人

お答えいたします。

平成十五年度以降で数字をとりますと、外部評価は全体で七十五件実施しております。このうち、NGOとの合同評価は四件ございます。それから、国際機関などほかのドナーとの合同評価が四件、被援助国との合同評価が十四件ございます。それ以外は、国際協力局長の私的懇談会でありますODA評価有識者会議、こちらの方に依頼して、年間九件程度の第三者評価を実施しておりますが、この委員会の中にはNGOの方も入っていただいておりますので、そこでもNGOの方の御視点が加味されているというふうに考えております。

辻元委員

今、七十五件中四件というお答えでした。

先ほど、ノルウェーや、そして、前大統領がコソボなどの紛争の仲介ということで活躍され、ノーベル平和賞をとられたフィンランドなどの例を挙げましたけれども、例えばノルウェーでは、これは私も随分前から注目をしていたんですね。こういうように言われております。

ノルウェーは、NGO要員を六万人以上育てた。実際に、紛争の調停の特徴というのは、ノルウェーの外交官が紛争地域で調停を始める前には必ず同国のNGOや学術研究団体の専門家が現地に何年か入り込んでいると言われている。スリランカでは、北東部のタミール・ゲリラ影響下の地域にタミール語の話せるノルウェーの学術調査団が早くから入っていた。また、NGOや赤十字、海外問題研究機関などとの交流が多いのがオスロの外務省人事の特徴でもあるということで、六万人、率先してNGOを育てている。

私はNGO出身で、かつて地球サミットがブラジルでありましたね、気候変動の。これはもう二十年近く前になるわけです。そのときもびっくりしましたのは、欧米諸国は環境関係のNGOが政府交渉団の中に入って共同作業をしている現場を目の当たりにしまして、日本とはえらい違うなと思ったわけです。それで、ヨーロッパはどんどん気候変動についても先を進んでいます。非常にNGOの影響が大きいわけですね。

日本にあるノルウェーの大使館のホームページにもちゃんと出ているわけです。外交をどういう方針でやっているかということを日本でアピールしているわけですね、ノルウェーは。その中に、「紛争地域におけるノルウェーの和平・調停活動」という項目を設けまして、かなりページを割いております。その中に、ノルウェーの和平調停努力は、多くの場合、紛争地域におけるノルウェーのNGOの活動に根差しています。教会のネットワーク、人道的組織、研究機関、労働組合が地域の状況に精通しており、紛争地域に幅広いネットワークを有しています。したがって、それらはノルウェー当局の活動のためのしっかりした基盤となっています。ノルウェーのNGOは、当事者間に信頼関係を構築しなければならない状況で特に重要な役割を果たし、交渉の土台を築く支援をしてきましたという項目が入っております。

今回コソボにも大使館機能を設置されるということで、私は、日本の在外公館と、そして、そこに滞在する日本のNGOや、さらには諸外国のNGOとのつき合いも率先してしていただきたいと思うんです。お聞きしましたら、在外公館がNGOとつき合う際のガイドラインも日本は存在していないという外務省からのお答えでした。もったいないと思うんですね。

さて、大臣、最後に、この前もお聞きしたんですよ、やはり紛争の調停というのはこれから非常に大事です。特にコソボの場合は、これは先ほどのノーベル平和賞をおとりになった大統領が言っています。なぜこの大役が可能だったのか、もしフィンランドがNATOの加盟国だったら、私は仲介役としての役割を果たせなかっただろうと言っているわけです。コソボはNATOが空爆しているわけですよ。実際、空爆をしたり軍事的介入をしたところは仲介しにくいわけですね、調停を。日本は、コソボとかパレスチナは、全く軍事的な関与も過去の植民地にした経緯もございません。ですから、だからこそ紛争の調停ができるというように私は考えております。いかがでしょうか、大臣。頑張っていただきたいと思いますよ。

中曽根国務大臣

紛争の調停に我が国が貢献するということは大変大事なことでありますし、今委員がおっしゃいましたような中立的な立場、これを活用してそういうような役割を果たす。例えば、ほかの国でも今そういうような状況のところもあります、現に努力しているところもありますが、委員の趣旨を踏まえて、今後もそういうような役割を果たしていけるよう努力をしていきたいと思います。

辻元委員

終わります。