つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2009年4月21日 海賊対処・テロ防止特別委員会

2009.4.21

議事録

藤澤参考人

マラッカ・シンガポール海峡の問題は、まず沿岸国の内政が非常にしっかりしている状態で、日本の海上保安庁が中心的な役割としてそれぞれの国との間でいろいろな協議をしたり、あるいは、日本も海上保安庁をベースにしてかなりいろいろな貢献をしているわけですよね。例えば灯台の整備だとかいろいろなソフト面で相当、インドネシアも含めまして、日本もかなりな協力体制を持ってきたというふうに考えております。

そういう中で、三つの国に分かれている状態にはあるわけですけれども、それぞれの国との間で協議をしながら、対策を練りながら、それに日本の政府が全面的な支援体制をとってきたということがやはり大きな貢献だったのではないかなというふうに思っております。

ソマリアは政府がないわけでございますから、いわゆるそこの海上だけの問題として、目の前の対応だけでは解決できない。ですから、やはり内政にも日本が大きく関与するとか、いろいろな面で、沿岸の漁民が生活できるようにいろいろな支援をするとか、ソフト面でもいろいろな対応をしながらやっていかなければ、マラッカ、シンガポールのような結果にはならないんじゃないのかなというふうに考えております。

辻元委員

今前川参考人の方から、イエメンの大使にもお会いになったというお話がございまして、政府の方も、やはり関係周辺国の大使を集めての協議とか、それから、日本が一体何ができるのかということを、イエメンだけではなく、今イエメン、ケニア、タンザニアで海賊対策地域調整センターというのを立ち上げようというような話もございまして、また、サウジとアラブ首長国連邦に人を派遣していこう、こういうような動きもあると聞いておりますので、政府の方もそういう役割をしていく、また、それぞれ民間のお立場からも各国への連携や働きかけをお願いしたいと思います。

そしてもう一つ、先ほどから水島先生も海保力のアップというお話がございました。そして、現場の三人の参考人の皆様にもお伺いしたいんですけれども、海上保安庁への注文というのはあるでしょうか。

どういうことかといいますと、ドイツ、フランスなど、軍隊を出しておりますけれども、聞くところによりますと、外洋型の日本の海上保安庁のようなものを持っていないということなんです。コーストガードはあるんですよ。日本は海洋国ですから、かなり海上保安庁は世界でもしっかりしています。アメリカもしっかりしていますけれども。

海上保安庁の歴史を見ますと、一九四八年に世界で一番最初に海上保安庁ができたのが日本です。それは、憲法との整合性もあって、日本は、きちんと防御もできる、そういう海軍にかわるものをしっかり持った中で海洋国家としてこれから生きていくということで、世界に先駆けての技術と歴史を持っているのが海上保安庁だと思うんですね。

ですから、私は、いつでも自衛隊が先行して行くんじゃなくて、海上保安庁が、外洋、世界じゅうを守ることはいきなりには無理かもしれないですけれども、しっかりとした装備を持って、さらに充実をさせていくというのは、今回これをきっかけに、大事なことではないか。予算は厳しいですけれども、日本は海洋国家ですから、そこの部分は国民の皆さんにも御理解いただけるんじゃないかと思うんですね。

そういう意味で、今の海上保安庁に対して、日ごろ御要望やお考えになっていることがあれば、この際、そして、水島先生も先ほど力のアップとおっしゃっておりましたので、四名の方に率直な御意見を伺いたいと思います。

前川参考人

特にこれといった御要望というのは持ち合わせておりませんが、海洋基本法の論議の中でも、やはり日本は小さな島国でございますけれども、海岸線あるいは経済水域を合わせると世界で六番目の大きさを占めている、こういうことのようでございますから、海上保安庁としては、近海海域の船舶の安全あるいは航路の安全確保、あるいは主として近海地域での業務、まずそれが第一ではないかな、今回のソマリア沖の海賊対策というようなことは、やはり全く当初の海上保安庁の業務の範疇にはなかったのではないかな、こういうふうに私なりに考えているわけでございます。

したがって、そういう新しい事態についてどう考えるかというのは、まさに皆さん方で御議論をいただいて、ぜひ何とかいい方法を考えていただきたい、こういうふうに思っております。

森本参考人

現場の船長、船乗りは、海上保安庁にはいろいろな意味でおつき合いはあります。失敗して油を流しちゃったというような場合も厳重な取り調べを受けたり、日ごろのおつき合いはありますけれども、今前川参考人もおっしゃったように、沿岸の長さが三万四千キロある我が国で起こる、航行安全のためのいろいろな航路標識だとかそういうものの整備、それから、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、備讃瀬戸、あの辺の航路管制等々、日本の沿岸、近海の安全航行のために今いろいろなことを海上保安庁はやってくれておりますし、さらに、国際海事機関、IMOというのから新しい国際条約がいろいろと発信されてきます。公害対策の問題等々、それを日本の国内法にして、それをまた各船、各社に普及させる、そういうふうな仕事が海上保安庁の本来の仕事であろうと思います。

したがって、保安庁のボートの横には、きれいなロゴマークがありまして、ジャパン・コースト・ガードと書いてあります。コーストですから、ちょっとソマリアまでは、日本のコーストと言っていいのかなというのは、これは私の個人的な見解ですが。

それと、これも私の個人的見解ですけれども、やはり一タックスペイヤーとして申し上げれば、できるだけ効率のいいような防御体制といいますか、そういうものをしていただきたいと思いますし、保安庁にもこれがある、自衛隊側にもこれがあるというようなのはいかがなものかと思います。

以上でございます。

深谷委員長

藤澤参考人、恐縮ですが、時間が経過していますので、簡単にひとつ。

藤澤参考人

海上保安庁に対して要望があるかという話でございます。

時間の関係もありますので、端的に申し上げますと、今の国会、補正予算審議においても、審議をしていただく新造船の建造等々について、一隻しかないと言っているわけですから。いずれにしましても、海洋立国日本が果たすいろいろな方面への役割は、こういう海賊問題だけでなくて、先ほど言いましたように、インドネシアとかシンガポール、マラッカ海峡、あのあたりでも相当いろいろな事業を展開しているわけですから、やはりこの際、こういう状況に直面しているわけですから、自衛艦を派遣することに終始するだけでなくて、一方で海上保安庁の整備ということで予算編成を組んでも、いろいろ論議をしていただきたいと思っております。

水島参考人

一言だけ。

先月の国土交通委員会で、海上保安庁長官が三月十七日に答弁しておりまして、海上保安庁法に、海上保安庁は軍ではない、こういうふうに明記されております、そういう軍事的色彩のないこういう海上の総合機関として、海上保安庁は恐らく世界初であります、今の規模も世界トップスリーに入るだろう、こう答弁されています。基本的に軍と結びつく傾向の強いコーストガードが、日本は法律で明確に禁止されておりますが、この区分けが明確な海上保安庁というのは非常に特徴があるというわけで、今後とも、そういう部分のすみ分けは明確にしておくべきだと思っております。

辻元委員

ありがとうございました。