つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2009年4月8日 外務委員会

2009.4.8

議事録

辻元委員

実際、米軍も進入灯はどの滑走路も両方につけてほしいというふうに今言ってきているようなんですね。

そして、一方、先ほどから伊波市長のお話を聞いておりますと、そういう実態があるにもかかわらず、アメリカ側に申し入れをしても受け入れてもらえない。また、外務省に問い合わせをしても、外務省としては、米軍の訓練内容に立ち入ることはできないという姿勢であると先ほどからお話がありました。

そうしますと、普天間の機能を辺野古地区に移す、そして二本滑走路をつくったけれども、タッチ・アンド・ゴーをがんがんがんがん今のように訓練でやって、そして住民の皆さんを初め、米軍に対して約束が違うじゃないかと言ったところで、今の外務省や米軍の態度だと、普天間の御経験から、それは米軍の訓練の中身について外務省はとやかく申し上げることはできませんというような姿勢になるのではないかと私は考えるわけですけれども、市長、いかがでしょうか。

伊波参考人

現状だとそういうことになるわけですが、そこで、先ほど来指摘しているのは、日米間では二〇〇〇年の九月十一日に環境原則に関する共同発表なども行って、より厳しい基準で基地周辺への影響を少なくすると言っているわけですから、実効的にJEGS、日本環境管理基準なども含めて具体的な基地運用に関して共同した作業ができる場をつくっていかないとその問題は解決できないだろう。

だから、今のままであれば、当然、米軍基地をどのように米軍が運用しても日本政府が物を言わないという姿勢を貫く限り、問題の解決はできないであろう、このように考えております。

辻元委員

大分、私、先ほどからパッケージ論と申し上げて、それに疑問を呈しているのは、辺野古地区の基地の計画にもそのような問題点があるわけですね。ですから、本協定はそれが条件になっているわけですよ、はっきりと、アメリカ側からの。

ですから、私たちは日本の国会議員ですから、これは単に基地が移ればいいとか、あの案だと被害が減るんだとか、そういう簡単な問題ではないということ、これはまた協定の審議の中でさらに詰めていきたい。きょうの市長のお話も、現実に即したお話ですので、材料にさせていただきながら詰めていきたいと思います。

さて次に、もう一つの側面として、環境への配慮ということは国際的に関心が高まっております。ですから、やはりアメリカ国内でも、住民への配慮、環境への配慮なくして米軍基地の建設というのは難しいと思うんですね。

森本参考人にお伺いしたいんですけれども、これからやはりそういう配慮についてはますます要求が高まってくるのではないか。ジュゴンの話が出ておりますけれども、私は先ほどの普天間のクリアゾーンの話も、アメリカでは普天間のような基地は成り立たないと思うんですよ。そして、ジュゴンが出る海というだけで、アメリカではやはり非常に大きな問題になると思うんです。二十一世紀を見通して、率直な御意見を伺いたいんですね。いかがでしょうか。

森本参考人

辺野古に新しい施設を建設するに際し、一番重要なのは、二つ側面があって、一つは住民の方の安全とか騒音という側面と、それから、この施設そのものが海洋の中に入るわけですから、海を一部埋め立てるわけですから、当然のことながら、先生御指摘のように、海洋の環境に与える影響というのが大変深刻で、だからこそ、環境評価調査というのをずっとやってきたわけですね。

物事を簡単に話すと、沖合に出せば出すほど環境に大きな影響を与え、海岸に近くなればなるほど住民の方々の騒音と安全に影響を与え、その接点をどこに求めるかということで日米交渉をやって、現在のV字形滑走路の案になっているというふうに理解しますので、環境問題だけで現在の建設計画ができているというふうに私は理解しておりません。

辻元委員

今、沖合に出すか、それから陸に近づけるかという、これは比較評価というんですね。

そこで、桜井参考人にお伺いしたいと思うんですが、環境アセスの国際的な流れとしては、比較評価ではなく絶対評価という価値を大事にしなければいけないという流れになっていると私は承知しております。

そこで、絶対評価を当てはめた場合、この辺野古地区はどうなのか。一点目、まず、県は、環境ファーストということで、自然環境の保全に関する指針で自然環境の厳正な保護を図る区域のランク1に辺野古地区を指定していると聞いております。これは、沖縄県にとってはどのような評価なのか。

それからもう一つは、先ほどジュゴン訴訟の話がございました。これをもう少しお聞かせいただきたいんです。

国家歴史保存法、アメリカでは、天然記念物がいた場合、そこに大きな公共物がつくれない、これは海外のアメリカ関連施設にも適用されると承知しているんですが、それでいいんでしょうか。その場合、適用した場合、アメリカでは辺野古地区のようなところに米軍基地のようなものを建てることができるとお考えかどうか。

そして最後に、埋立用土砂、これを私は再三国会で指摘しておりますけれども、十トントラックに五百二十万台分の砂なんですね。そうすると、砂というのは、深いところから掘れませんから、浅瀬から掘りますよね。今、本土からも砂を持ってくるというけれども、そんなもの、船で運んで、大変なことになりますね。そうすると、沖縄周辺の浅瀬から掘ると、海岸に影響が出るわけですね。ざあっと海岸がやせ細る。そうすると、海岸に生息する生物などに多大な影響を与えるわけです。この点については私も非常に危惧をしておりますけれども、この埋め立てによる被害をどのようにお考えか。

その三点をお聞かせいただきたいと思います。

桜井参考人

まず最初に、御指摘の沖縄県の自然環境の保全に関する指針で、辺野古沿岸地域は評価ランク1、厳正な保護を図る区域に分類されているわけですが、これは、沖縄県では特別な保護の必要がある地域という形になっております。

先ほど私が意見で述べさせていただきましたように、沖縄では、比率でですけれども、全国一の埋立県でございまして、自然海岸がどんどん消失しております。沖縄は、もちろん基地関連の収入もあるわけですが、今一番大きな収入は観光でございます。観光はすばらしい海があってこそでございまして、自然海岸がどんどんなくなっている中で、残された貴重な海がこの辺野古の海なわけです。それが評価ランク1ということでございます。これを埋めてしまうということは、この第一級の自然そのものが消滅するということですので、それに対して、絶対的な評価がこのアセスでなされるのかどうなのかということが問われるわけですけれども、そのような形では行われていないと私は考えます。

先ほどタッチ・アンド・ゴーのお話がありましたけれども、現在、五千四百ページの準備書が出されております。私、五千四百ページ、見ました。このタッチ・アンド・ゴーについては全く触れておりません。騒音の予測の際に、V字形の滑走路をどのように飛ぶか、飛行経路が書いてありますが、タッチ・アンド・ゴーについては全く触れられておりません。

それどころか、このアセスの経緯を見ますと、方法書、つまり、これから調査をするという段階で既に、この辺野古の基地をつくれば、騒音のコンター、コンターといいますが、騒音のレベルを等高線のような形で書いてあるものが、これが方法書の段階、つまり調査をする前の段階で既にその絵が出ております。もうできレースなんですね。結果がコンサルタントでは書かれている。こんなアセスを私は今まで見たことありません。これは全くの醜態だと思いますね。それがあります。

それから、ジュゴン訴訟のお話がございましたけれども、このジュゴン訴訟はアメリカの国家歴史保存法に基づいて行われているわけですが、これは、アメリカという国家が行う行為が、たとえ海外であっても、それが天然記念物に影響する場合にはアメリカはそれを、テーク・インツー・アカウント、考慮に入れなければならないということになっております。この法律に基づきましてサンフランシスコ連邦地裁で争われているわけですが、これに対して出された判決は、米国防総省は、辺野古の基地を日本政府がつくり、それを使うのは米政府なわけですから、米軍なわけですから、それをつくり、使うことが、既に絶滅の危機に瀕している沖縄のジュゴンにどんな影響を与えるのか、そのことをきちんと評価した上で基地をつくる、あるいは使うということを求められているわけです。

この基地をつくることがジュゴンの絶滅を加速するということがわかっても、だからやめなさいということはこの法律は求めておりません。この法律が求めているのは、基地をつくったり、使用したりする前に、それがどのような影響を及ぼすかをきちんと評価しなさい、評価して、それを考慮に入れて、これは英語ではテーク・インツー・アカウントになっています、考慮に入れてやりなさいと言っているわけですね。考慮に入れて、基地を使うこともあり得るわけです。

しかし、きちんと評価したかという作業については、米国防総省は裁判所に対して、この評価の作業は日本政府がやるアセスである、こう言っているわけです。このアセスが連邦地裁の評価にたえ得るか。つまり、連邦地裁がきちんと、米国防総省にかわって日本のアセスがやったと言えるかどうか、ここが問題なわけです。

しかし、先ほども私が申し上げましたけれども、ジュゴンを追い出すような調査方法をとっていること、それから、沖縄の東海岸沿岸ではジュゴンが観察されておりますけれども、ということは、辺野古の沖も含めて、ジュゴンの生息には適している、あるいは適していた環境です。その環境をこの基地はなくしてしまうわけですね。それを沖縄の東海岸からなくしてしまうことが将来のジュゴンにどういう影響を与えるか。私、五千四百ページのアセス準備書を読みましたけれども、ジュゴンは今現在、辺野古沖にはいない、離れた嘉陽沖に住んでいる、辺野古に基地をつくっても嘉陽のジュゴンには影響しない、だから大丈夫だという結論なんです。これが私はアメリカの連邦地裁を納得させるとは思いません。

沖縄の沿岸にジュゴンの生息に適している環境がある。そのうちの一部である辺野古をなくす。そのなくすことがジュゴンの将来にどういう影響を及ぼすかということを、このアセス準備書がきちんとやっているとはとても思わないだろうと思います。つまり、アメリカの連邦地裁の判断にたえられないだろうと思います。

それと、海砂の件でございますけれども、海砂は、沖縄では、沖合で海砂をとると海岸がやせ細ることは地元の人は皆わかっております。そうしますと、台風が来ると塩害が起きます。という形で、当然のことながら、海砂を採取すれば、これは砂浜の砂がどんどん沖合に流れていくわけですから、ジュゴンがえさにする海草が全島的に大きな影響を受けるだろう。

ところが、これをアセスの対象に入れておりません。日本全国の海砂採取量の一・一四倍に相当する膨大な量の海砂をとって埋めるというわけですが、これをどうするかというと、適法に採取された海砂を買うからいいんだと言っているわけです。一つ一つの小さな海砂採取は小さな環境影響しか及ぼしませんから、これは許可されるでしょう。しかし、そうやって許可されたものを次々と膨大に買っていく、それがもたらす環境影響を評価しないというアセスが、これまた私はアメリカの連邦地裁を満足させるものだとは思いません。

以上でございます。