つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2009年5月27日 外務委員会

2009.5.27

議事録

中曽根国務大臣

東アジア共同体の形成、これは長期的な一つの目標であるわけでありますが、これの具体的なあり方につきましては、今後、関係国間で協議をしていく、そういうことになります。

我が国といたしましては、将来の東アジア共同体の形成も視野に入れながら、東アジア首脳会議、EASや、それからASEANプラス3、これはASEANと日中韓でございますが、そういうさまざまな地域協力の枠組みを通じまして、貿易や投資や金融や環境また感染症対策など、そういう地域の共通の課題に取り組んでおるところでございます。

アジアでは、九七年に通貨危機がありました際に、域内の金融市場を安定させるために、委員御承知のとおり、資金を融通し合うチェンマイ・イニシアチブ、こういう協力を進めてきているわけでありますが、ことし末までにこれをさらに強化するということが既に合意をされているところでございます。このような金融面の協力も引き続き積極的に進めていきたいと思っています。

辻元委員

今、強力に進めていくという御答弁でしたので、リーダーシップをとっていただきたいと思うんです。

今の経済危機を見ますと、日本の産業構造の問題が指摘されております。外需に偏り過ぎた、ですから内需を進めていこう、強くしていこうという中で、経済のグローバリゼーションで、しかし外需というものは避けて通れない。そして一方に、農業の自由化の話もずっとつきまといますけれども、食料自給率を上げていくということも国として力を入れなければならないという中で、経済のグローバル化とそれから各国との経済協力、そして内需を進める、そしてさらには自給率を上げるという、非常に難しいかじ取りが迫られる。その中心に私は外交があると思っております。

そういう中で、貿易量も、中国そしてASEANに対する貿易量がアメリカとの貿易量を抜いております。そういう中で、ASEANそして東アジアを含めた域内での経済圏をどうつくっていくか。ヨーロッパはヨーロッパで、EUで既に経済の基本である環境基準とか、それから食の安全基準とか、さらにはもう一つ、労働基準まで統一していっている。そして、その中でウイン・ウインの関係でお互い信頼感を構築しながら共存共栄していこうと。日本一国だけで経済危機は乗り切れませんので、特に今まで日本はアメリカの経済頼みというところがありましたけれども、今はもうかなりアジアにシフトしていっているという現状を見て、ASEAN、東アジア地域の、一緒に繁栄していく、その信頼をどう構築していくかということが大事だと思いますので、そういう観点でしっかりリーダーシップをとっていただきたいと思っております。

ことしの末にまた会議があるといって、これはどういう政権になっているかわからないので、それに向けて頑張ってくださいと言うのはやめます。

さてそこで、ところがその信頼関係をぶち破るような北朝鮮の核実験が行われたわけですね。これに対して、ではアジア全体でどう取り組んでいくのか。私は、まず近隣諸国、韓国、日本そして中国も含めて、ベトナムだってそうです、遠い地球の裏側の国よりも、近隣諸国が一緒に足並みをそろえてこの問題に取り組んでいくということがとても大事だと思います。

ですから、六カ国協議をしている国々だけではなくて、言ってみれば東アジア共同体構想の他の国々にも積極的にこの問題に一緒に取り組もうということを外務大臣に働きかけていただきたいと思います。いかがでしょうか。

中曽根国務大臣

委員がおっしゃいますように、この北朝鮮の問題は、日本、韓国、中国はもちろんでありますが、さらに六カ国協議という枠組み、そしてアジア地域のまた一緒になった取り組み、また国際社会全体が幅広く協力してやるということが非常に大事だと思います。

そういう中で、私は先日、ベトナムのハノイで開催されましたASEM外相会議に出席をしてまいりました。ASEMの外相会議は、ASEANと日本と中国と韓国とさらにEUの二十七カ国、約四十カ国と国際機関の長が出席する大変大きな会議であります。

そこでは国際金融問題や気候変動問題、いろいろ取り扱われたわけでありますけれども、こういう北朝鮮の核実験が行われたという直後でございましたので、私の方からはこの問題をあえて取り上げさせていただいて、全体会議の中で、ASEMが一致団結してこの問題に対して強いメッセージを出すべきだということを提案いたしました。各国も非常に賛同をし、また、それぞれの国々が北朝鮮の行為に対して非難等の発言もありまして、結果といたしましては、ASEMは昨日終了したわけでありますけれども、全体の会議に対する議長声明とはまた別に独立して北朝鮮に対するASEMとしてのメッセージを出すことができました。

つまり、アジア全体、各国も、この問題を本当に大変危機的な状況であると考えて一致した行動がとれたわけで、そういう意味でも、今後もこれらの国々とともにこの問題に取り組んでいきたいと思っています。

辻元委員

そのときのは政府の方針なんですけれども、先日外務大臣は、世界的核軍縮のための十一の指標という非常に格調の高い演説をされたと私は評価をいたしております。

その中で、核兵器のない世界の実現は、我が国の悲願であり、この目標を目指して、我が国は積極的な核軍縮に取り組んできましたと。現在、オバマ演説以降、核軍縮の機運も出てきています。さらに世界で持続的なものとしていくべく、大いに貢献していきたいというくだりから始まりまして、十一の提案をされております。

この方針に沿って働きかけていくという確認でよろしいですか。

中曽根国務大臣

今委員がおっしゃいましたけれども、去る四月の二十七日、核軍縮のための十一の指標、これを発表いたしました。オバマ米国大統領は、四月の五日でしたか、プラハでやはり核兵器のない世界という演説をされ、あるいは、少しさかのぼりますけれども、キッシンジャー元国務長官、シュルツ元国務長官等がやはりこの核軍縮についての意見等もまた発表されているわけでありまして、私は、こういう機会には、やはり世界で唯一の被爆国である日本が主体的に積極的に核軍縮あるいは不拡散に取り組まなければならない、そういう気持ちからこのスピーチをしたわけであります。

委員がおっしゃいましたけれども、骨子としては、すべての核保有国による核軍縮、それから国際社会全体による措置、そして、これから原子力の平和利用を目指す、そういう国々のための措置という三つの大きな柱に沿って具体的な十一の指標というものを挙げたわけでありますが、今後、この考えを基本といたしまして、核軍縮に向けて取り組んでいきたいと思っております。

なお、来年早々、日本でこのための国際会議を開催したいと考えております。

辻元委員

さて、私がちょっと懸念していることがあるんです。

前回の北朝鮮の核実験のときもそうだったんですけれども、浮き足立った対応、勇ましいことを言えば何かしていると勘違いするような外交であってはならぬと思うわけですね。前回も、核保有議論ということはいいんじゃないか、核保有の検討をしたらいいんじゃないかというような発言が国会議員や政府の方から出てきたり。それから、敵基地攻撃論というもの。これは、東アジア共同体と申しましたけれども、前回も、アジアの他の国から、こういう発言が出てすぐに批判がぼおんと出ました、日本に対して。アメリカ自身も、特にこの敵基地攻撃論というものに対しては、日米安保条約の根幹にかかわるということで、さまざまな意見が出たと記憶しております。

そういう中で、先日も、自民党の役員会で、ある方が、向こうは、北朝鮮のこと、核を保有している、日本も核を保有すると言ってもいいのではないかと述べ、国連脱退にも言及したという報道がなされたり、びっくりしました。これは報道ですから、確認してください、筆頭理事。安倍元総理も、安全保障にかかわる議論は自由であるべきだと核武装論について言ったとか報道されています。

さて、そこで外務大臣。実は、麻生総理と私、前の核実験の後、大分このことを議論したんです。麻生さんが外務大臣だったんです。ある新聞社が、核武装を検討すべきかどうかでアンケートをとっていまして、そのアンケートに、例えば中川自民党元政調会長とか、安倍さんは当時幹事長でした、安倍当時の幹事長とか、麻生大臣も、外務大臣だったんです、すべきだと丸を打っていたんですよ。

私は、これは日本の国益を大きく損ねるのではないかと思って、外務大臣にお聞きしました。そうしたら、麻生外務大臣の答弁は、「日本の核政策の変更の議論というのは全くされておりませんが、その当時、核兵器というものの保有について検討すべきか、だんだんだんだん隣がみんな持っていくときに、日本だけ何の検討もされていないというのはいかがなものか。」と答弁されたわけですよ。これは外務大臣だった。今は総理大臣なんですね。ちょっと、私、きょう党首討論には出られませんでしたけれども、聞いてみたいところだったんですね。

それで、外務大臣にお聞きしたい。この麻生外務大臣時代の発言、どう思われますか。