つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2009年5月8日 外務委員会

2009.5.12

議事録

中曽根国務大臣

委員が私のスピーチを御紹介されましたけれども、私も、昔から地雷除去については多少のお手伝いを個人的にやっておりまして、そういうことで、カンボジア・タイ国境などに行きまして、地雷原に行って、本当に悲惨な状況も見てきました。そういうところからあのような発言をさせていただいたところでありまして、また、そういうところからも今回みずからオスロにも行ったところでございますが、この気持ちというのは、これは私の一番の基本的なものでありまして、そういうところから、米国がこれに署名をしていないということについては、やはり、米国のみならずですけれども、署名をしていない国については署名を働きかける必要性というのは私は本当に強く感じております。

ただ、先ほどから御答弁申し上げておりますように、米軍に対しては、これは米軍は、締結しておりませんので、米軍そのものはこの条約上の義務が課されることはないとか、あるいは、日米安保体制のもとで米軍というときは、米軍は日本を防衛するという義務から、また米軍なりの考えで保有をしているわけでありますけれども、私たちとしては、この第二十一条の二項に基づいてこれは抑制するということ。

そして、さらに、先ほども御紹介したんですが……(辻元委員「いつ話をされたかということを明快にという質問です」と呼ぶ)はい。米軍がクラスター弾の使用を抑制するよう今後も最善の努力をしていきたい、そういうふうに思っております。

あと、いつ、どういう形で働きかけをしたかということについては、事務方から御答弁させていただきたいと思います。

佐野政府参考人

お答え申し上げます。

米側とは累次にわたってやってきておりますけれども、本年の二月、私自身がワシントンに赴きまして、カウンターパートである国務省に対して、そのほかの省庁も入っておりましたけれども、実際要請いたしました。

辻元委員

何を要請されたんですか。

それと、在日米軍の問題については触れられたのかどうか。

佐野政府参考人

ですから、二十一条の二項にございます抑制について要請いたしました。

在日米軍の件につきましては、条約上、これはアメリカはまだ入っていないわけでございますので、条約上の権利義務関係というのは米国が直接受けるわけではございませんので、その点については自明でございまして、協議そのものは私が行った時点ではいたしませんでした。

辻元委員

今回の軍事の協力という項目、先ほどから議題になっておりますけれども、その中に、米軍が日本国内で保有しているクラスター弾の輸送について自衛隊や民間が協力できるというような解釈になっているというようにお聞きしているんですが、そういう解釈なんですか。

北村副大臣

お答えいたします。

クラスター弾に関する条約第二十一条の3及び4におきましては、締約国は、みずからクラスター弾を使用、貯蔵、移譲しないことなどの一定の……(辻元委員「簡単に。輸送だけの答えで結構です」と呼ぶ)はい。一定の条件を満たす限り、非締約国との間で軍事的な協力及び軍事行動を行うことができる旨規定されております。

このため、本条約のもとでは、自衛隊が米軍のクラスター弾を運搬することなど、米軍との間で軍事的な協力または軍事行動を行うことは可能であります。

辻元委員

確かにその項目が入っているからという御答弁なんですが、日本としてどうしたいかということなんですよね。

地雷のときは、亡くなられました小渕総理が、これは地雷の場合は先ほどの項目が入っていないわけですけれども、しかし、このように答弁されているんです。「対人地雷を輸送する行為は条約上禁止をされております活動の一つである保有に当たりますので、」「自衛隊による在日米軍の対人地雷の輸送は認められず、また民間人による輸送も我が国国内法上対人地雷の所持に当たるものとして禁止されることになります。」ということで、先ほどの協力という条項が入っているという違いはありますけれども。

中曽根大臣が先ほど非常に格調の高い立派な演説をなさった趣旨から申し上げますと、私は、米軍が国内に保有したり、それから演習をしたりすることにもクラスター弾を使うことはやめていただきたいと考えておりますけれども、自衛隊が輸送したり、民間業者に輸送させるというようなことは、これは先ほどからの趣旨から申し上げまして、アメリカ軍に対して、それはちょっとうちは、日本は条約を承認し、これを世界に積極的に進めていこうとしている、そしてまた、抑制ということもおっしゃっているので、そういう方向で、自衛隊や、少なくとも民間業者がコミットメントしていくことについては、これは認めない方向の検討も始められた方がいいんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。大臣です、これは。

中曽根国務大臣

この条約の趣旨、そして我が国がこれに署名した、そういうところを考えますと、委員もおっしゃいますように、これは使用しない、あるいは保持をしない、生産しないということ、これが一番大事なことであります。

米軍におきましては、安保条約とか、あるいはこの条約の中での決まりがありますので、それは可能であるわけですが、私たちとしては、今後、強く米国側に、使用はもちろんのこと、この目的にできるだけ米側も協力し、また締約国として署名も早く行うように働きかけをやっていきたいと思っております。

辻元委員

強く何を働きかけるかなんですよ。漠然として、さあ、やりましょうじゃなくて、日本として具体的に、アメリカがこの条約を批准するその方向に向けてどう働きかけるか。私は、まず第一歩として、ちょっとうちの国内で輸送にはこれは協力できませんよとか、具体的なことで前に進めていかないと、ただ外交辞令で言っているわけではありませんから。強く働きかけは、口で言うだけなんですか、それとも、アメリカに対して何か具体的な行動を呼びかける、どちらなんでしょうか、大臣。そこはすごく大事なポイントだと、ちょっと、これは大臣ですから、大臣にお答えいただきたい。

こういう評価を受けているわけですよ、日本は。クラスター弾の禁止条約をつくる過程で、「日本が「特に主張」し、非加盟国との共同軍事作戦を容認する条項が入った。日本は米国の規制逃れを手助けする一方で、米国に署名を働きかけようとしているのが現状だ。」なんという評価をしている報道などもあるわけですね。これは恥じゃないですか。

ですから、私が申し上げたのは、アメリカに対して、まず在日米軍があるわけですから、自衛隊や民間は少なくとも日本としては難しいですよというような具体的な呼びかけをすべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

中曽根国務大臣

何よりも我が国の安全、これを確保するということが一番大事でありますから、そういう意味では、日米安保条約、これが有効に機能する、また、それに支障になるようなことは、これは私たちとしてはならないようにしなければならないということからは、やはり安保条約の円滑な運用に不必要なといいますか制約がかかってこれが機能しないようになるということは避けなければならないということが一つでございます。

それからもう一つは、これも先ほど御答弁申し上げたんですけれども、米国も、このクラスター弾がもたらす人道上の懸念、これへの対応というものも十分に認識しているわけでありますから、これは繰り返しになりますけれども、米側としては、二〇一八年の末までに不発弾率一%を超えるクラスター弾の使用を禁止する、そういう政策に基づいて、人道上の懸念に配慮した不発弾率一%未満のクラスター弾への換装を早期に行っていくということです。

それからもう一つは、米軍によります我が国領域内でのクラスター弾の使用につきましては、日米安保条約の目的を達成する上で、先ほどから申し上げておりますけれども、必要な極めて例外的な場合を除いてはこれは想定されない、また、そのような極めて例外的な場合でありましても、文民に対する被害は可能な限り回避すべく最大限の自制及び人道的な考慮を払う、そういうふうに米側も表明をしているわけでございます。

二十一条の2の規定に従いまして、私たちとしては今、米側のこの表明というもの、確実にこれを遵守といいますか実行してもらわなければなりませんが、さらに、この条約の趣旨からいいましても、米側に対して、私たちとしては、先ほど委員からは、何がということでありますけれども、使用なり訓練におけるもの等につきましても、やはり安保条約がありますから、これは防衛上の難しさもありますけれども、こういう人道上の観点からも働きかけをやっていきたい、そういうふうに思っております。

辻元委員

終わりますが、最後に一言、何をおっしゃっているのかよく、日本は何がしたいのかなんですよ。ですから、アメリカに対して呼びかけて、全部、クラスター弾を使わないように、アメリカのも破棄させるようにしますと言っているわけですよね、クラスター弾はもう要らぬと。ところが一方で、いや、いろいろな必要がありましてとおっしゃっている。これが今の日本の立場なんです。ここから脱却しなきゃいけないですよ、このクラスター弾については。

クラスター弾というのは非常に非人道的であるということは、もう皆さん御承知のとおりなんですよ。この非人道的な兵器についての態度と日米安保条約、これはリンクしているように見えて、実はしていないんですよ、非人道的については。ですから、そこはしっかり脱却をしていただきたい。

そして、最後にもう一つ、きょうは質問はいたしませんけれども、NGOの果たした役割というのは非常に大きいわけですね、こういうようなリーフレットもつくりまして。引き続きNGOとの連携をしながら、アメリカを含めてへの働きかけを進めていっていただきたいと思っております。

終わります。