つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2009年6月12日 外務委員会

2009.6.12

議事録

高見澤政府参考人

お答えいたします。

具体的な話でございますので、参考人の方から答弁させていただきます。

一般論でございますけれども、敵基地攻撃のためにどういった装備品が必要かということでございますけれども、まず、敵の基地の正確な位置を把握するということが重要でございます。さらには、そういった地上のレーダーサイトというものもございますので、それを無力化するための作業も必要でございます。

それから、例えばミサイルで攻撃をするということになりますと、精密に誘導されたミサイルによって攻撃をするというようなことが必要でございますので、こういったさまざまな装備を組み合わせた一連のオペレーションというものが必要になるというふうに考えております。

辻元委員

専門誌など、私も自分なりにいろいろ勉強をいたしました。そうしますと、相手国が出す地上からのレーダー波の感知をして、それを妨害して、まず防空システムを破壊しなければいけない。これを破壊したとしても、またミサイルが上がってくるかもしれないので、それを避けて飛ぶステルスとかを準備しなければいけない。さらに、その上で敵基地攻撃できるミサイルなどを持たなければいけない。よく言われるのは、巡航ミサイル・トマホークと言われます。

しかし、これは、湾岸戦争のときも、イラクのスカッドミサイルに対して数多くのトマホークを撃ったわけなんですけれども、移動式のミサイルのために成果が上がっていません。実際はそういうことなんですね。

さらに、これは北朝鮮対象にという議論が出てきているわけですけれども、ノドンが二百基、スカッドが六百基と言われていて、移動式の発射台であるとも言われております。そうしますと、イラクのときもそうだったように、幾らトマホークを購入して対応しようとしても、二百基、三百基あって、こっちから移動してあっちに移動してということで、机上の空論ではないかと。実際に議論はされているけれども、中身を検討していくと実現不可能なようなことを言っているんじゃないか。

さらに、衛星を使った情報収集をしないと、どこからどうなるかわからない。これには膨大な予算と時間がかかると石破元防衛大臣も指摘をしております。さらに、周辺国も含めまして、過剰に反応する国々も出てくるだろう。そうすると軍拡競争にもつながっていくんじゃないか。

さらには、条件としてどのような条件が整えば撃ってくることが明白な事態と言えるのか、それをどういう経路で判断していくのかなど、勇ましいことはおっしゃるんですけれども、その中身を見ていきますと、副大臣、これ、真摯に受けとめて全体的に検討なさるとおっしゃっているわけですが、浜田大臣は、そういうものを、そういうものというのはこの敵基地攻撃能力の保有について。私は、防衛のプロの皆さんであるならば、今の日本の現状で、そしてイラク戦争などの経験から見まして、物理的に、これを防衛省が取り上げて前向きに検討作業を始めるということにはならないと思うんですね。後で外務大臣にもお聞きしますけれども、そういうことに時間を費やすよりも、膨大な時間とお金もかかります、そして今までの、アメリカなど時々やっているようですけれども、そんなに成果が上がっておりません。そうなると、やはり外交努力というのが大事になってくると思います。

そこで防衛副大臣にお聞きしたいんですが、浜田防衛大臣は、そういうものを直接年内の防衛計画大綱や中期防衛力整備計画で考えることになるかというのは極めて疑問だと、この間記者会見でおっしゃっております。そしてさらに、単なる議論なら国民の感情をあおるだけになると。自衛隊の幹部の方も、日本が攻撃能力を持てば、北朝鮮以上に大規模な軍備増強を進め不透明さに批判が集まる中国の軍拡を正当化するだけだと自衛隊幹部がおっしゃっているというような報道も、私は承知しているんです。

自民党は自民党で、一つの党ですから、自由におやりになっているんだと思いますけれども、防衛省として、いわゆる敵基地攻撃能力を持つための検討を省が進んでしていく、または検討を開始しなければならないと考えていらっしゃるのか、今はそんなことは考えていないのか、まず防衛副大臣にお聞きします。

北村副大臣

お答えします。

いわゆる敵基地攻撃と憲法との関係について、政府は従来から、法理上の問題としては、他に手段がないと認められるものに限り、敵の誘導弾等の基地をたたくことも憲法が認める自衛の範囲に含まれるという考え方を示してきておりますけれども、防衛省は、従来、現実の自衛隊の装備体系のあり方としては、敵基地攻撃を目的とした装備体系の保有は考えていない旨を述べてきております。

その主な理由は、我が国に対して誘導弾等により攻撃が行われるような場合に、他に全く支援を受ける手だてがないような事態は現実の問題としては起こりがたいということ、また、我が国は、日米安保体制のもと、日米間の適切な役割分担により我が国の平和と安全を期するということとしておりますから、御指摘の、いわゆる敵基地攻撃をめぐる最近の議論にはさまざまなものがあるということは承知いたしております。

敵基地攻撃を目的とする装備体系を我が国が保有するべきか否か、この問題につきましては、御承知のとおり、政治的判断が大変重要でございます、必要でありますから、国会等の場におきましてさらに幅広い議論が行われる、このことが重要であると認識をしております。

辻元委員

今の御答弁を理解するに、国会で自由に議論するのは結構だが防衛省としては今までどおりの方針と。今までどおりの方針といいますのは、これは、四年前の大臣、大野大臣の答弁も持っておりますけれども、「敵基地攻撃能力を持つ意思は、意図は全くない、」というように承知をいたしますので、確認をします。

といいますのは、私、合理的に考えても、膨大なお金と時間を使ってやって、感情論とか、それから、そのときの激情に走って外交や安全保障を考えるべきではないと思いますので、今の御答弁、防衛省しっかり受けとめていただきたいと思います。

さて、そうなってきますと外交が大事になってきます。もう一点防衛省に確認した上で外務大臣に外交努力をお伺いしたいんですが、今度、貨物検査を可能とするための国内法整備という話が出てきております。これも、先ほど、貨物検査ということが出ておりますけれども、今の国連のいわゆる制裁決議案の内容を見ますと、公海上の場合は、旗国、要するに、まずその国の同意を求める、同意が条件であるということになっております。そうすると、公海上での船舶検査については日本の場合は周辺事態認定の折のみということになっておりますけれども、防衛省として、こういう新法を検討するお考えがあるのか。

といいますのは、どこの国も非常に船舶検査は慎重です。キューバ危機のときもそうですけれども、船舶検査、いわゆる臨検と言われていますけれども、そこから小競り合いになって大きな戦火を開いてしまうという可能性があるので、どこの国も非常に慎重に取り扱っております。

そういう中で、今回、先ほどの御答弁では強化されたということなんですが、防衛省としてはいかがですか、防衛省がリーダーシップをとって、そういう新法を準備しようと考えているんですか。いかがですか。副大臣。

北村副大臣

お答えさせていただきます。

現時点では、北朝鮮の核実験に関する安保理決議案は採択に至っておりませんから、決議を受けたその対応については具体的にお答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに存じます。

いずれにいたしましても、新たな決議が採択されれば、我が国としてしっかりと対応していくことが重要でございますし、防衛省としても、関係省庁と緊密に協力をしながら、政府全体としての対応に遺漏がないように努めてまいる、そういう姿勢であります。

辻元委員

最後に外務大臣に、今申し上げましたように、勇ましいことを言うのは自由ですけれども、外交はやはり冷静に、そして、こういうときであればあるほどちょっと重心を落としてリードしていくということが非常に大事だと思っております。

そういう中で、外務大臣として、六者協議に向けて、やはりこれを、何とかこの枠をもう一回復活させたいというのは国際的にも大きな望みになっておると思いますので、日本としてどういうリーダーシップをとっていくのか、それと、中国に対しての働きかけが大事になってくると思いますので、中国に対してどのような働きかけをなさるおつもりなのかということをお聞きしたいと思います。