つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2009年6月10日 外務委員会

2009.6.10

議事録

井上政府参考人

見舞金を支給いたしました経緯でございますけれども、先ほど委員から御指摘の裁判の手続等の事実関係は御指摘のとおりだろうというふうに考えております。

民事訴訟におきまして、東京地裁におきまして不法行為が認められたわけでございますけれども、控訴をいたしまして、原告が控訴を取り下げて、一審判決が確定をしております。他方、被害者は、地位協定の十八条六項によります損害賠償請求を防衛省に対して提出いたしましたけれども、加害者が既に合衆国軍隊を除隊いたしまして米本国に帰国をしており、その所在を確認できない、賠償金の請求が困難になったというようなことがございまして、提出をしているというわけでございます。

ただ、それを受けまして、米側でございますけれども、合衆国法典の外国人請求法という法律がございまして、その規定によりまして、請求権発生後二年を経過していない事案につきましては請求権は効力がございますけれども、本件の場合、三年を要しておりますので、既に失効をいたしましたので、慰謝料の支払いを拒否している。

したがいまして、日本国政府といたしましては、十八条六項によります処理が困難になったのは被害者の事情によるものではない、また、これを放置することは社会通念上妥当ではないというふうに考えられますことから、閣議決定によりまして見舞金を支給したという経緯でございます。

辻元委員

裁判の事実認定を日本政府も認識しての行動だという御答弁だったと思うんですね。ところが、この米兵は、除隊して、審理中からもういなくなっちゃった。そして、強姦されたという事実は残っているわけなんです。これは、一般人が強姦していて、日本政府としてはほっておけないはずなんですよね。

実は、この女性は、日本に住んでいるオーストラリア人なんですね。それで、彼女は、ホームページなどを使って自分の訴えをして、だれか自分の加害者を知りませんかということを世界じゅうに訴えたんです。そうしたら、この人じゃないかという情報がアメリカから寄せられたんですね。これはかなり確証がある情報らしいんですよ。それで、日本政府に対してもアメリカ政府に対しても、強姦した事実は事実ですから、それも今から五年ぐらい前の話ですね、協力要請を求めても協力をしていただけない。そうすると、オーストラリア政府に駆け込んだわけです。オーストラリアの首相にお手紙を書いた。そうしたら、オーストラリア政府からは返事が来て、アメリカ政府に協力要請をしましょうということになっておるわけです。

確かに刑事共助協定というのは刑事事件で起訴されたということが基本になっておりますので、そこは理解しておるんですけれども、このような案件というのは、私は、すごく谷間に落ちていると思うんですね。

例えば、強姦するとか殺人するとかひき逃げするという事件、事故の数を申し上げますと、例えば先ほどの来日アメリカ人、犯罪件数はお聞きしましたが、昨年強姦は一件なんです。しかし、米軍人による強姦は八件なんです、昨年は。そして、凶悪犯と言われるのは、殺人、強盗、放火、強姦をいうらしいんですが、日本に来たアメリカ国籍の方の凶悪犯は全部で九件なんです。しかし、米軍人による凶悪犯は十一件なんですよ。

私は、外務大臣に以前から、この地位協定の見直しというのは、何も無理なことを言うんじゃなくて、この女性の件、突き詰めていけば、今、二年だ何だというのは、地位協定、日米の取り組みでいっぱいあるわけですよ。被害に遭ってから二年たったらもう言えない。そうしたら、強姦されたとか殺人、ひき逃げ。ひき逃げの案件も、私、被害者の会の方からお話を聞きましたよ。お父さん、沖縄で息子さんが大学を受けられて、そして、もう間もなく入学式というときに米兵にひき逃げに遭った。しかし、この加害者は、では実際に何か罪を償ったかというと、償っていないんですよね。

こういうことを放置しておいていいのか。刑事共助協定を結ぶのはいいんですよ。しかし、何か米軍関係は、普通の一般通念から考えて別扱いになっているんじゃないか。私は、日米地位協定を、それはいろいろなしがらみもあるでしょう、しかし、やはり見直す時期だと思うんですね。

もう一つ、最後に外務大臣にお聞きしたいんです。

これは日本の、本当に国家としてどうあるかということと同時に、経済も、それから安全保障もやはりアメリカ主導だったんですよ、日本に対しては。先ほどIMF体制の話もしました。やはり日本も一緒にその流れをつくって、そこに乗っていました。しかし、私は、やはりこういう時代というのはすべて、別に何か急にこうしろああしろと言っているわけじゃないんですよ、いろいろなことを検討してもいいんじゃないかというように思うんですね。外務大臣の率直な御意見を伺いたいと思います。

これは普通の強姦された女性の話だと、やはり私は、強姦とか殺人、ひき逃げというのは、どこかに逃げちゃったら、これは当たり前ですよね、警察がアメリカ政府に言えとか、こうなりますでしょう。いかがでしょうか。

中曽根国務大臣

ただいまお話しになりましたこの事件につきましては、被害者の方には本当にお気の毒なことでございますし、また、加害者が米国に帰国してしまったということで、その後、防衛省なり政府がそういう見舞金を支払ったという形になったわけでありまして、米国のどこにいるかというようなことが不明であるということからそのようなことになったんだと思います。

地位協定につきましては、この委員会でも再三御答弁申し上げておりますし、特に沖縄等におきましてもいろいろな事案が過去にあったわけでありますが、運用の改善、見直し等で大体そのような事態に対応して、そしてまた成果を上げているものもあるわけでありまして、現在のところ、政府としては、地位協定を見直す、そういうような考えはございません。

辻元委員

引き続きまたこの問題は取り上げたいと思います。経済危機の問題もまたお聞きしたいと思いますので、本委員会に竹下副大臣もまたお越しいただきたいと思いますが、これで時間になりましたので、終わります。

ありがとうございました。