つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

News

2013年4月15日 予算委員会第1分科会

2013.4.15

議事録

辻元分科員

そうすると、安全が確保されたところということになれば、なぜ自衛隊が行くのかという話になっていくんですね。政府の職員として行くという認識なのかもしれませんけれども、ちょっとそれはまた後に置きまして、それで、もう一点、対象者なんです。

今回の、日揮で働く関係者の皆さん、この事件があったということを申し上げたんですけれども、私は、本当に痛ましい、テロは絶対許してはならないと思いますので、そして、犠牲に遭った方々の関係者も今本当につらい思いでいらっしゃると思います。ですから、できるだけのことは政府としてやるべきだと思っております。

一方、そのときに、では誰を対象にするのかというのが非常に難しい。

私、思い出したのが、イラク戦争のとき、大臣、自己責任論というのがあったのを覚えてはりますか。イラクで、ボランティア、ファルージャ等で子供の支援をするということで、数人の若者が武装勢力に拘束されたときに、あのときの政府の閣僚の皆さんたちの発言をもう一度私は読み返してみたんですよ。

そうすると、救出された翌日ですが、今回の救出でどれだけの税金が無駄に使われたことかと思う、罰金を取られても自業自得、全額自己負担だ、実はこれは昔の文部大臣の方が発言されたり、あのときすごかったんです、自己責任だと。それとか、損害賠償請求をするかどうかは別として、政府は事件にかかった費用を国民に明らかにすべきだとか、それから、これは安倍幹事長、当時の幹事長がおっしゃったんですが、山の遭難では救出費用は遭難者に請求することもあるとの意見も会議で出たということをわざわざおっしゃったり。

確かに、渡航自粛とか避難の要請が出ているところに行っている人とそれ以外では違うと思うんですが、これ以外でも、先日シリアで女性のジャーナリストが殺害されたとか、それから、大臣も御存じかもしれませんけれども、アフガニスタンでは長年にわたって中村哲医師たちがペシャワール会をつくっていらっしゃいます。

これは本当にアフガニスタンが危険な中でも活動されて、若い青年が一名、数年前に命を落としました。しかし、撤退せずに活動しているわけです。ペシャワール会の中村哲医師は、天皇在位二十周年の式典には来賓として壇上に座っていらっしゃって、そういう意味では国際的にも認められている方々なんです。

私は、イラク戦争のときに、自己責任論が出たときに胸が痛かったです。ああいうことも経過した、私たちの日本の政治なんですよ。

そうすると、日揮で起こったこと、これも悲劇。しかし、イラクにボランティア活動に行っている人たちも、私は悲劇だと思います。そうすると、こっちは迎えに行くけれども、こっちは行かない、政府専用機で行くときもあれば。結局、あのイラクのボランティア活動の皆さんは、旅費を一部払ったわけですね。払っているんですよ。

そうすると、陸上も含めて、政府が派遣する際の基準というのは一体どこに置くのかというのが、非常に判断が難しいんじゃないかというように思うんですが、その辺は、大臣、いかがお考えでしょうか。

小野寺国務大臣

そのときのいろいろな世論、国会だけではなくて、世論、議論を、今お話があったのを思い浮かべておりました。

恐らく、発言の本意というのは、私がおもんぱかるに、そのような危険なところに極力行かないでいただきたい、そして、何かあったらやはり御家族も含めて大変心配だからということで、そういう厳しい発言あるいは世論があったこともあったのかなと私は認識をしております。

私もこのような人質事案を含めてさまざま経験をしておりますが、いずれ、御本人に、大きな問題というよりは、むしろ、さまざまな事情でそこに行かなければいけない、そして、行くに当たっては相当の注意を払われてはいると思います。ただ、その中で不幸にして事件に遭う、そういうことが過去幾つかあったんだと思っております。

そして、今の判断ですが、私ども防衛省としましては、基本的に、外務大臣からの要請、これが前提です。その要請を出すに当たっては政府内で検討されるということだと思いますから、防衛省の担っている役割というのは、あくまでも外務省、外務大臣からの要請を受けてということになると思います。

辻元分科員

最終的には政府全体としての重い判断になるかと思うんですけれども、私が今申し上げたように、線引きが難しい時代に入っております。

どこが危険地帯になるかというのがなかなかはかり知れないのがテロなんですね。企業もちゃんと防衛をやらなければいけないというのが、この間の日揮の事件で、他の国々の会社よりもやはりリスク管理が甘かったんじゃないかという反省点があったというような話も出ておりますので、NGOにいたしましても企業にいたしましても、自分たちで守るべきところは守り、情報をとってやっていくというのは基本だと思うんです。

しかし、そういう問題が起こったときに、私は、線引きが難しくて、こっちはやったのに、こっちはと。そのときに国益の大合唱になる場合があるわけです。例えば、日本の国のために、日本のエネルギーのために、国益を守ってくれているから、そういう人たちは本当に頑張ってくれている人だとか、しかし一方、そうではなくて、そんな危ないところに勝手に行ってというようになってしまうような、それを助長しかねないようなことにならないようにしなきゃいけないと私は思っているんですね。

ですから、今回、今後その法案をお出しになったときに議論になっていくかと思いますけれども、一点は、果たして陸上に受け入れる国があるのか、現実性があるのかどうかという点で、私は、実はちょっと疑問を持っております、主権国家に対して。

それと同時に、特に陸上に行くということになれば、港とそれから空港ということ以外の意味をやはり持ってきますので、その際に、どの案件に対してその対応をとるのかというのも、政治性を帯びないでいただきたいと思うわけですが、判断も非常に難しくなるんじゃないかなという案件を決めようとしているというか扱おうとしているというように私は思っておりますので、今御検討されているということですから、ぜひその観点からも私は御認識を深めていただきたいなと思って、あえてきょうこの問題を取り上げているんです。

もっとはっきり、いつもの辻元流で言うたら、受け入れるところはあるのかなと。せやのに、受け入れるところも余りないことを、それも、武器使用の基準とか、自衛隊を他国に送るというのは、かなり日本はセンシティブでしょう。そのことをあえて日揮の案件でやる必要があるのかしらと私は思っていますよ、これからの審議次第ですけれども。

そして一方、イラクの高遠さんたち。この間、イラク戦争から十年のシンポジウムがありまして、私も出席しました。イラクからも人を招いて、今のイラクの現状を聞こうということで、シンポジウムをしました。そうしたら、これは事実として、米軍が撤退してからテロの数は減っているということを大臣も御存じだと思います。やはり、他国の軍隊が駐留している方がテロは多いんですよね。

高遠さん、来てはったんです。今何してんのと言うたら、またファルージャで活動してると言うんですよ。NGOの人たちはずっとやっています、この十年も、イラクでも。自衛隊はサマワに行って頑張られたと思いますよ。でも、あれが撤退してからもずっとやっている人たちがいっぱいいてるんです。

一方、これは「職業は武装解除」という本で、三十六歳の瀬谷ルミ子さんという方がお書きになって、彼女は、プロフェッショナルなんだけれども、武装解除専門なんです。そして、今は認定NPO法人の日本紛争予防センターにいるわけですが、国連でも働いていましたし、外務省なんかとの連携もやって、各国、ルワンダ、アフガニスタン、コートジボワールとか、いろいろなところで活動している。女性なんですよ、本当に普通の女性。女性もふえてきているわけですね。

私は、こういう活動をする人もふえる中で、何か一部の企業の人たちは、割合、本当に、みんなこぞって、大変なことだということで、政府としても対応し、ではNGOどうするんだ、ジャーナリストどうするんだと広がってきます。

ですから、企業にしろ個人のNGOにしろ、国家としてどこまで関与するのか、そして、関与するときはどういう原則を持つのかということまでも認識して自衛隊を出すということを議論していかないと、私は、割合安易にと言ったら失礼なんですけれども、マスコミで評論家の人たちなんかも、いや、これはもう、ああいう場合は、現場から遠かったから、自衛隊が行ってやったらええんちゃうかとたくさんの方がおっしゃっているのを聞きながら、そんな軽々しく、やったらいいのではないかと言える問題ではないなと。これを実行するに当たってのさまざまな懸案があるということをしっかり御認識いただきたいと思います。

こういう活動の人たちはこれからふえてきますので、ジャーナリストもふえてきますので、国境なき医師団も、かなりしんどいところでも日本人も行って活動していますので、そういうことも含めて、最後に大臣に御提案申し上げたいと思うんですが、実際にこういう活動をしているNGOの人たちとも一度意見交換されたらどうでしょうか。

現場で活動していて、どういうときが危険だろう、そのときに国として何を求めるのか、そういうことも含めて、私は、意見交換を、この法律を今検討されているようですので、生の声を聞いていただきたいと思います。

そして、その中では、武器を携帯している、それも他国の、その国の軍ではなくて他国の武器を携帯している者がいて、万一小競り合いになったときに物すごく大きな問題に発展していくということも全くないとは言えないわけですから、そういう案件ですので、NGOも含めて、ぜひ現場の声を聞いていただきたいと思います。いかがでしょうか。

最後にその御答弁をお聞きして、終わります。

小野寺国務大臣

重要な御指摘だと思います。

恐らく、その役目をまず担うのは外務省だと思います。私も、外務省で副大臣をしていたときにNGOの担当をさせていただき、そのときはそういうお話も聞きましたし、辻元委員から御指摘もいただいたことがございます。

外務省と相談をしまして、今回の邦人輸送の隊法改正というのは、あくまでもそれができるようになるということで、必ず行うというわけではまずございません。それから、それに当たっては、外務大臣からの要請ということが前提になりますので、御指摘の点は外務省とも相談をしていきたいと思います。

辻元分科員

ぜひ防衛大臣としてもお聞きになった方がいいと思いますので、御検討をお願いいたしまして、質問を終わります。

ありがとうございました。