つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2013年4月24日 法務委員会

2013.4.24

議事録

辻元委員

先ほどの質問の中にも、第二の連れ去りという言葉もございましたように、一旦、一方の親と、女性の場合が多いと思いますけれども、戻り、そしてもう一度、もと住んでいた国に帰るということの子に及ぼす影響というところは、十分配慮がなされるようにということで、先日からも、慎重な対応が求められるという姿勢の御答弁はあります。

その中で、中央当局で採用するソーシャルワーカー等の子の福祉に関する専門的知見を有する職員が代替執行の場面に立ち会う、返還実施者が安全に子を返還することができるよう国内での移動に同行するといった協力という御答弁、これは岸田外務大臣の御答弁でした。

私は、このソーシャルワーカーなどの専門家に聞いてみたんですね、今回このハーグ条約関連の質疑をするに当たって。そうしましたら、非常に心配だという声が返ってまいりました。こういう案件の研修であったり、それから、事案についてのいろいろなケースのヒアリングであったり、そういうこともまだなされていませんので、非常に心配だという話を現場からは聞いております。

そういう意味で、その中で、ソーシャルワーカー、具体的に社会福祉士とか精神保健福祉士の皆さんなどを指すというように理解しているんですけれども、そういう方々もやはり、今回、こういう案件をどのように対応すればいいのか、研修が必要だと思います。

そしてさらに、法務省や外務省というのは、協力しながらとよく出てくるんですが、厚生労働省もやはりきちんとチームの中に入ってもらって、そして、ハーグ条約事案に対応し得るソーシャルワーカーの研修の創設とか、それから、そういう研修を受けたソーシャルワーカーをきちんと配置していく、政府が把握しておくというようなことが必要ではないか、この点はいかがかという点。

それからもう一つ、トラウマがもう一つの大きな問題になるかと思うんですけれども、子供たちのそういう事案に精通した児童精神科医とか児童カウンセラーなどの立ち会いなども求められる場合があるかと思いますけれども、このハーグ条約についてしっかりと理解をしていただく、そういうチームが必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

新美政府参考人

お答え申し上げます。

今先生からも御指摘ございましたとおり、ソーシャルワーカーといいますと、一般的には国家資格である社会福祉士等を指すものと理解しております。ただ、先生から御指摘いただきましたように、まさに今回このハーグ条約に入りましたとき、特に子供の連れ去り事案との関係では、DVあるいは児童虐待等の被害等の支援業務に携わった経験のある専門家の方を御差配することを考えることも必要だと思いますし、あと厚生労働省とも協議、調整をしていきたいと思っております。

単に社会福祉士、ソーシャルワーカーというだけではなくて、児童のDV、児童虐待、あるいは先生から御指摘があった児童精神科、やはり、子の福祉に関する専門的な知見がないと、なかなか実務をしていく上で支障があると思いますので、それは厚労省とも相談をし、また、そういう経験あるいはそういう知見があるソーシャルワーカー等の方を採用できるように、必要があればお話し合いもしていきたいと思いますし、やっていきたいと思います。

辻元委員

いろいろな子供たちのケアは必要なんですけれども、非常に複雑だと思うんですよね。ですから、そこはちょっと厚労省も入れて、しっかり対応していただくよう検討してください。

それからもう一つ、この代替執行の執行マニュアルというものをつくっていくというような御答弁が先日の法務委員会でございました。このマニュアルの作成の検討をされていると思いますけれども、この場合も、子の心身への有害な影響、虐待、DV等の専門家も入れてつくっていくべきだと考えておりますが、これはどのように検討されておりますか。

永野最高裁判所長官代理者

お答えいたします。

御質問いただきました執行官のマニュアルの作成に当たりましては、委員御指摘の点も踏まえて、中央当局を含む関係省庁と十分な協議を行うとともに、家庭裁判所に専門家がおりますので、その意見を聴取するなど、家裁が保有しておりますこの分野における専門的知見を十分に反映する形で進めてまいりたいと考えております。

辻元委員

その際、日本でも、このDVや児童虐待について、政府での取り組みも少しずつ認識され、進んできたわけですけれども、もともとは、やはり民間のいわゆるNPOなどがいろいろな支援を始める中で、私たちも当時、児童虐待に関する法律をつくろうという運動が盛り上がっていったケースがありまして、国内を含めまして、かなり専門性を持ったNPOも、実態に即した解決策など、悪戦苦闘している人たちもおりますので、私は、そういう人たちも入れてつくっていくことが肝要ではないか、現場にさらに即したものになるのではないかと思っておりますので、そういうこともぜひちょっと念頭に入れて検討していただきたいということは申し上げておきたいと思います。

そしてもう一つ、もう一度在外公館の機能の話なんですが、子供が返還された場合なんですね。返還された子の状況が、送り返された国において安全で安定した生活が送れるようになっているのかということを、最低三年ぐらい継続して実態把握といいますか、そういう案件を取り扱うわけですから、実態把握をして、そして、そういう支援を現地の機関に委託したり、そういうこともケアしていくべきではないか。

先ほど寄り添いということを申し上げましたけれども、はい、返還して終わりと言ったら変なんですけれども、ではないと思うんですね。その子供が、やはりある一定期間安定した生活が送れるところまで責任を持つというか、持たないと、この件はこれで、返還して、ここまでですというわけではないと思います。

ですから、そういう実態把握を行ったり、これは在外公館の役割になるかと思いますが、それをまたフィードバックして、今回、この法案の審議をしていますけれども、運用の見直しであったり法律の見直しであったり、やはりその実態の調査に基づいて適切に行っていくべきだと考えていますが、その後のケアは在外公館では何か検討がなされているんでしょうか。

あべ大臣政務官

委員の質問にお答えいたします。

ハーグ条約の子の返還手続のもとにおきまして、子がもともと居住していた国に返還された後、仮に、子や子とともに戻った親が、DV被害、また児童虐待を含む何らかの家庭内の問題に巻き込まれるおそれがある場合、また実際に巻き込まれた場合におきまして、在外公館は、こうした当事者からの家庭問題の相談に対して適切に対応し、また、その国におきます保護、救済制度を説明し、弁護士や福祉専門家、シェルターの紹介などの解決に向けた支援を実施しているところでございまして、また、外務省といたしまして、これらの対応を通じまして実態把握に努め、得られた経験をその後のハーグ条約のより適切な実施に活用していく所存でございます。

また、この調査の件でございますが、在外公館みずからが有する情報、これを提供することは可能でございますが、この独自の調査に関しましては、相手国関係機関による個人情報の保護との関係が生じるためになかなか難しい部分もございますが、いずれにせよ、在外公館に相談がありますれば、現地にて適切な支援機関の協力を得られるように側面支援を行っているところでございます。

辻元委員

このDVの問題などは、国内でもまだまだ対策が必要で、そして、日本の在外公館も、今までも十分な対応ができていたかというと、決してそうではない、難しい部分だと思うんですね。

ですから、今度、ハーグ条約ということになりますので、さらに在外公館の役割が重要になるかと思いますので、この点は引き続き、また法務委員会でも扱ってまいりたいと思います。

時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。