つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2013年4月24日 法務委員会

2013.4.24

議事録

辻元委員

そうしますと、連れ去りが起こる前に相談を受けたりすると、在外公館もその邦人の情報をかなり持つことになるかと思うんです。いつ相談が来た、そして、どこに照会をした結果こうだったとか、病院からこういうような証明書があるんですけれどもという相談を受けたり。

仮に、その邦人が日本に子を連れて、いわゆる連れ去りをして、ハーグ条約から、相手国の中央当局から日本の中央当局に連絡が来た場合、この邦人がその国で裁判等をする場合に、相手国の中央当局に対して、それを立証する協力要請を日本の中央当局は出すことになりますよね。

この際に、日本の中央当局が相手の国の中央当局に対して、この邦人の案件を扱う情報提供の協力要請をするというふうになっているわけですが、このとき在外公館は、この邦人が米国だったら米国で裁判なり、その後、子の連れ去りの案件を解決していくに当たって、今までDVなどの相談を受けていた場合の情報は全て、相手の中央当局との関係でいえば、その在外公館が持っている情報はどういうように提出し、それを有効に活用していくことができるのか、それはどういうようになっているんですか。

あべ大臣政務官

辻元委員にお答えいたします。

御指摘のような場合におきまして、我が国中央当局は、子がもともと居住していた国の中央当局に対して調査を要請することになります。具体的にどういう情報がどういう機関から得られるのかについては個別の事案によって異なっておりまして、一概に申し上げることはできないものの、我が国のハーグ条約締結の準備段階におきまして、主要締結国の中央当局との間で協議を行った結果、調査に対する協力につき、前向きな回答がおおむね得られているところでございます。

現在の条約の締結国が、またほかの締結国からの要請に応じて情報収集さらには情報提供を行っている例としては、例えば以下のようなものがございまして、ドイツでは、ほかの締結国から中央当局に対して子の社会的背景に関する情報提供が要請された場合、中央当局は少年局に依頼を行いますけれども、そのような場合、少年局は、ドイツの国内法によりまして、子の社会的背景及びその生活環境について情報を提供する義務を負っているところでございます。

もう一つ例を挙げますと、またフランスにおきましてでございますが、ほかの締結国から要請がございますれば、中央当局は検察官にその旨連絡することになっておりまして、検察官は子の就学情報また社会福祉情報などの必要な情報を収集することになります。

辻元委員

どちらにいたしましても、その当事者にとっては人生を左右する案件で、それぞれのもとの居住国の在外公館の情報収集能力というか、それから寄り添う姿勢みたいなものが、そしていざこのハーグ条約によって、仮に連れ去って、もとの居住国での裁判などになった場合も非常に大きな役割を果たすと思いますので、その在外公館における担当者の教育であったり研修であったり、そこはさらに力を入れていただきたい。非常に大きなポイント、どこの国でもそこがやはりポイントになっているんです。

相手国に頼んでも、やはり相手国ですから、在外公館がしっかりしないと、コーディネーターのような役割を担える人物がしっかりそれぞれ対応していく体制をとっておかないと、この案件はやはり子にも大きな影響を及ぼすと考えますので、そこはしっかり強化をしていただきたいと思います。

先ほどもう一つ、代替執行についての話がありました。これは、ハーグ条約を受け入れている国は全て代替執行というのがあるんでしょうか。

新美政府参考人

お答え申し上げます。

今私どもが承知している限りで、他のハーグ条約の締約国におきまして、我が国と同様の代替執行の制度があるとは承知しておりません。

辻元委員

日本は、これはどういう経過でこういう措置をつくったんでしょうか。

深山政府参考人

子の返還が裁判所で命ぜられて、それが確定したときに、それを実効的に実現するためにいろいろな我が国の強制執行制度の中で考え得るものとして、間接強制があり、代替執行があり、理屈の上では直接強制もあるという中で、ハーグ条約の実施法でどういう形で日本の国として担保するのが適当かということが法制審議会で議論になりまして、まずは、子に心理的影響の少ない間接強制、帰さなければ一日幾ら払いなさいという形で心理的に強制するという形で履行を強制するのがいいのではないか。

しかし、それだけでは、ほかの国でも、日本と同じような代替執行の仕組みがあるところがあるわけではないんですが、この間接強制だけという国もまた先進国は少なくて、さらに間接強制でうまくいかない場合の次なる措置、国によっては身柄を拘束するなんという制度もありますし、執行官が連れていってしまうというような仕組みもありますけれども、日本の強制執行制度との調和ということを考えたときには、日本では、代替執行に特則を設けた、今回の法律に盛り込んだようなシステムを代替執行の次の執行の手続として設けるのが適当である、そういうことでこういう特殊な手続を設けたものでございます。