つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2013年6月3日 決算行政監視委員会

2013.6.3

議事録

辻元委員

私も、どこを見ても、これは慰安婦問題について国連で問題視されていることに対する政府の反論というか、何か今の内閣は河野官房長官談話を継承するということを言うなと徹底しているように、菅さんもなかなかそれを御自身の言葉でおっしゃらないんですね。ですから、海外から見たら、一体どうなっているんだと思うわけです。

慰安婦問題を国連の場で問題にされているときに、河野官房長官談話というのはどこを見ても出てこないですよ、村山談話は出てくるけれども。これはまた後で取り上げたいと思います。

さて、そこで、歴代の内閣の姿勢を踏襲しているという御発言でした。政府委員にお聞きしたいんです。

歴代の内閣の姿勢というのは、内閣官房内閣外政審議室が、河野官房長官談話を出すときに、「いわゆる従軍慰安婦問題について」という調査報告書を一九九三年の八月四日に出されました。この調査報告書に基づいて歴代の内閣が認識を示し、そして答弁をしてきたと考えていいかどうか。

といいますのは、国会の場ではたびたび取り上げられておりまして、例えば平林官房外政審議室長も、これはもう随分昔ですけれども、一九九七年に答弁をしております。これは典型的な答弁ですが、「政府といたしましては、二度にわたりまして調査をいたしました。一部資料、一部証言ということでございますが、先生の今御指摘の強制性の問題でございますが、政府が調査した限りの文書の中には軍や官憲による慰安婦の強制募集を直接示すような記述は見出せませんでした。」これは、見出せなかったということは官房長官談話をつくったときから政府は認めております。ただ、総合的に判断した結果、一定の強制性があるということで先ほど御指摘のような官房長官の談話の表現になりましたと。

これは、私に対する、先ほど閣議決定と言った、強制性のくだりも同じ趣旨です。ちょっと紹介しますと、「関係資料の調査及び関係者からの聞き取りを行い、これらを全体として判断した結果、同月四日の内閣官房長官談話のとおりとなったものである。また、同日の調査結果の発表までに政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」。

これはもう随分、一九九七年から、塩崎元官房長官も同じような答弁をされておりますし、村岡兼造元官房長官も同じような発言をされておりますし、さらに、今回提出させていただきました橋本内閣における高市早苗議員に対する質問主意書の答弁も同じような内容です。

これは、政府としては、先ほどの「いわゆる従軍慰安婦問題について」を基礎にした一貫とした姿勢の答弁であると考えられますが、その理解でよろしいでしょうか。政府委員に聞きます。

國分政府参考人

平成五年八月四日に外政審議室が発表した「いわゆる従軍慰安婦問題について」は、政府において、平成三年十二月から五年八月まで関係資料の調査を行うとともに関係者からの聞き取り等を行い、これを総合的に判断して結果を取りまとめたものであるということでございます。

辻元委員

歴代の内閣はそれに従って答弁をして、今日まで答弁をしてきたと理解してよろしいですね。

國分政府参考人

政府参考人の立場で申し上げられますのは、今の政府文書の位置づけということになります。

辻元委員

歴代の内閣の答弁を点検いたしましたが、同趣旨の答弁をされております。

そこで、橋下大阪市長の発言が今問題になりました。皆さんのお手元にお配りしているんですが、まず安倍総理がどんな答弁をしてきたか。これは資料の一ページ目です。「さきの第一次安倍内閣のときにおいて、質問主意書に対して答弁書を出しています。」これは、私の質問主意書に対して歴代の内閣と同じ趣旨の答弁をしたということです。「これは安倍内閣として閣議決定したものですね。つまりそれは、強制連行を示す証拠はなかったということです。」これは、河野官房長官談話が成立したときから同じ認識を政府は示していらっしゃいます。

この後です。「つまり、人さらいのように、人の家に入っていってさらってきて、いわば慰安婦にしてしまったということは、それを示すものはなかったということを明らかにしたわけであります。しかし、それまでは、そうだったと言われていたわけですよ。そうだったと言われていたものを、それを示す証拠はなかったということを、安倍内閣においてこれは明らかにしたんです」と言っていますね。

実は、橋下大阪市長のこの間の発言もこれと同じような発言をされていて問題になっているわけです。ちょっと言いますと、「証拠が出てくれば認めなきゃいけないけれども、今のところ二〇〇七年の閣議決定では」、これは先ほど菅さんがおっしゃった、安倍総理がおっしゃっているのと、「そういう証拠がないという状況になっています」とか、「ただ今のところはね、軍自体が、日本政府自体が暴行、脅迫をして拉致をしたという、女性を拉致したというそういう事実は今のところ証拠で裏づけされていないので、そこはしっかり言っていかなきゃいけないと思います」。

これは、安倍総理が家に入って強制的に連れてきたことはないと言っているのとほぼ同趣旨に、これを橋下さんが五月十三日に発言されているんですが、海外ではどうも、この安倍さんの発言と橋下さんの発言はえらい似通っているな、どう違うんだろうというふうにとられているということを官房長官は御認識なさっておいた方がいいと思います。

その上で申し上げたいと思うんですが、官房長官も、この閣議決定の中身というのは、そうしますと、次のページを見ていただければわかるんですが、その次のページの下です。先ほど申し上げましたように、線を引いてあるところだけ、「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかったところである。」というところだけを抜き出して強調されているわけです。

しかし、その上には、先ほど政府委員から説明がありましたように、調査によって、このときの調査は、官房長官、慰安婦の方の証言だけではないんですね。私、河野元官房長官にお聞きしに参りました。その前の加藤紘一元官房長官にも、一体どういう経過だったのかお聞きになった方がいいと思います。かなりのことをやられたようですね、やはり国家の威信がある意味かかっていますから。元軍人、元朝鮮総督府関係者、元慰安所経営者、慰安所付近の居住者とか、かなり広範にわたって調査をされておりました。その結果、記述は見当たらなかったが、総合的に考えて河野官房長官談話のようになったと。

私に対する閣議決定の中身もこういうことなんですよ、官房長官。この記述がなかったというところを安倍総理が特段強調して何回も発言されているんですが、歴代の内閣の答弁と変わらないんですね。という認識で私はいいと思っておりますが、いかがですか。

ですから、変わらないんだったら変わらないで、しっかり発言をしないと、安倍さんの発言を引いて橋下さんも発言されているわけです。これは総理大臣の名誉のために申し上げているのは、官房長官はよくわかると思いますよ、同じことを発言されていますので。ですから、全体の閣議決定の中身は歴代内閣の答弁と一貫性を持ったものである、何も安倍政権のときに別の新しい答弁をしたとは思っていないんですが、官房長官、ここは確認させてください。いかがですか。

菅国務大臣

まず、橋下市長は野党の共同代表であります。そこの発言について私から発言することは控えさせていただきたいと思います。

ただ、政府の立場は明確になっておりまして、今委員からもありましたけれども、その委員の質問主意書に対して、今言ったことを私たちは、閣議決定は極めて重いですよね、そういう形で返答しているわけですよね。それと同時に、その中に、政府の基本的立場は官房長官談話を継承する、そういうことも書いていますね、閣議決定の中に。

ですから、安倍内閣としては、第一次安倍内閣のときに行った閣議決定がこの河野談話については全てであるということを私は先ほど来申し上げているところであります。