つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

今後、「女性宮家創設」「女系天皇」の議論が必要です

2017.6.7

国会ブログ

6月2日、「天皇陛下の退位を実現するための特例法案」(天皇の退位等に関する皇室典範特例法案)が衆議院で可決されました。本日6月7日は参議院で議論が行われました。

 

民進党の基本的な考え方は「皇室典範本則を改正して、天皇は、皇嗣が成年に達しているときは、その意思に基づき、皇室会議の議により退位することができる旨の規定を設けるべき」(2017年6月1日衆議院議院運営委員会・野田幹事長)」です。ただ、党派を超えた議論のなか、立法府による取りまとめ(衆参正副議長による議論のとりまとめ)が行われ、皇室典範附則に「この法律〔註:「皇室典範」を指します〕の特例として天皇の退位について定める天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成二十九年法律第▼▼▼号)は、この法律と一体を成すものである」との規定が設けられました。

政府答弁では「将来の先例となり得ること」「遅滞なく法律を施行すること」などが確認され、私も賛成票を投じました。

 

ただ一点、議論が十分でないと思うのは「女性宮家創設」の論点です。

民主党政権のときに、女性宮家創設の議論が進みました。しかし、第二次安倍政権になって白紙状態となりました。

 

私は、女性宮家を創設して女系天皇についても検討すべきと考えています。それだけに、今回の「とりまとめ」で、「安定的な皇位継承を確保するための女性宮家の創設等については(略)附帯決議に盛り込むこと等を含めて合意を得るよう努力していただきたい」「政府においては、以上に述べた『立法府の総意』を厳粛に受け止め(略)ることを強く求める」と書かれたことは重要だと思っています。

しかし、衆議院での附帯決議では、「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について」と書き分けられました。政党間の合意を急ぐあまり、玉虫色の文言になったのです。

 

私自身の若いころの発言が物議をかもしたことがあります。

30年前、20代の学生だったときに、本の対談などで天皇制について不勉強な発言をし、恥ずかしい思いもしました。若手議員のときには、シンポジウムなどで「天皇制」について疑問を呈したこともあります。

戦前の天皇制のもと、戦争で多くの若者が亡くなりました。私の祖父も「天皇陛下ばんざい」といって、戦地で亡くなったのか、との割り切れない気持ちからの疑問でした。

しかし、政治の師であり、当時社民党首だった故・土井たか子さんから「憲法に規定されている象徴天皇を尊重しなければならない」としかられ、自分の不明を恥じ、率直に反省しました。

 

以来、さまざまな立場の方たちと議論を重ねるなかで、日本国憲法・第一章で「象徴」と規定されていることの歴史的な意味、立憲主義の大切さ、国会議員が憲法尊重擁護義務をもつことの重みをかみしめるようになりました。

皇室の式典などにも出席するなかで、皇族の方々と接する機会も得るようになりました。皇室の行事だけではなく、同世代の皇太子殿下とは環境問題の会でご一緒させていただき、また、共通の知人のピアノ演奏会で美智子妃と同席させていただいたこともあり、東日本大震災のボランティア活動の現状についてお話をいたしました。

東日本大震災が起きると、天皇皇后両陛下は、そのすぐ後から、被災者の方々のもとへ何度も足を運ばれました。当時、首相補佐官として被災者支援をしていた私の前で、被災者の方が、「お二人から生きる希望をいただいた」と泣きだしたこともありました。あの時期の被災地を何度も訪れ、多くの方々の思いを直接受け止めることは、想像を絶する辛さでした。両陛下お二人にとって、心身ともにどれだけのご負担だったか。

私が、東日本大震災一周年追悼式に両陛下が出席されたときのことを綴ったのは、お二人に対する敬意からでした。

 

29年間の平成の時代を通じて、日本国憲法の象徴天皇制がより成熟したことを実感しています。

アジア各地の戦没者慰霊をされるとき、日本の戦没者だけではなく、現地の戦没者の慰霊をされている両陛下に、大切にしているものを行動で示されているように感じるのは私だけではないと思います。「日本国憲法の平和主義の理念を体現する」という強い決意を感じるのです。

戦争という壮絶な体験のもと、天皇皇后両陛下をはじめとする先人たちがどんな思いで、どんな戦後をつくろうとしたのか、私たちはずっと考え続けなければならないと思っています。

 

私は戦争を知りません。しかし、南方の島で戦死した祖父をはじめ、私の半生には常に戦争の傷跡がありました。

あまたの犠牲から生まれた日本国憲法の価値を認めようとせず、先人たちの戦後の努力を軽んじるような政治勢力には絶対に屈しない。これが、戦後生まれの私の原点です。

 

今後、「女性宮家創設」をはじめとする喫緊の課題について、しっかりとした議論がなされることを望みます。