つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

今国会初めての憲法審査会で発言――憲法議論を止めてきたのは自民党です

2020.5.29

国会ブログ

5月28日、今国会初めてとなる衆議院憲法審査会が開催されました。
この日はとくに、「憲法改正国民投票法をめぐる諸問題」について議論が行われました。

憲法審査会は、まず各党代表が党としての意見を述べ、その後に、委員間の自由討議が行われるのが憲法審査会の特徴です。
委員たちがそれぞれ発言する中で、元憲法審査会与党筆頭幹事だった自民党 中谷元委員が、2年前に国民投票法改正法案の審議を立憲民主党が了解したにもかかわらず、

「突然、立憲民主の国対委員長が、こんなものは突っぱねてこいといきなり指示をされて、幹事懇談会の申合せがほごにされてしまいました」「まさに憲法審査会への政局の介入」
となったのだ、と発言したのです。

議場は騒然としました。

私は、すぐに発言の許可を求めました。

「当時の国対委員長は、私、辻元でございます」
と前置きした上で、国会運営の状況を話しました。

「この委員会を開く開かないを含めて、現場の幹事、それから国会運営上、国対委員会でも話し合っているというのは、これは現状の運営のやり方です。これを開く開かないというように国対も含めて決めるときは、御党の国対委員長も了承されているということですから、その運営に不満があるのならば、なぜそんなことを了承したのかとか、御党の国対委員長に抗議をされるのが筋ではないかと思いますので、一言申し上げておきたいと思います。」

「私も、当時、非常に悩みました。開こうかなと思ったら、自民党の中から不規則発言のようないろいろな発言が出たり、また、一部の野党の幹事が他の委員会で質疑中に幹事懇を強行しようとしたり、また、中谷筆頭のときも、山花幹事と議論をするはずなのに、他の党と、密約まがいとは申しませんが、紙をつくって勝手に進めようとしたり、さまざまなことがありました。その中で、どういうように運営していけばいいのかな、これは、御党の国対委員長ともかなり長く議論をした。それが経過でございますので、ぜひ自民党の国対委員長によくその中身をお聞きになった方がいいと思っております。」

「自民党の方から何回わびが入ったか、野党の方に。変な発言が出たり、ワイルドな憲法審査会にしようとか、そのたびにわびが入って止まったということ」が事実であると発言しました。

当時、自民党憲法改正推進本部の下村博文本部長(当時)が「職場放棄ではないか」と発言したり、安倍総理の側近である萩生田光一幹事長代行(当時)が「少しワイルドな憲法審査を進めたい」と発言したことで、与野党の信頼関係が壊れ、憲法審査会は何回も止まったのです。
いわば、安倍総理の「側近たち」が憲法審査会を強引に開こうとしてフライングしたり、信頼を壊すような発言をしてきたことが、憲法議論が進まなかった真の原因だったのです。

当時の新聞も、総理側近のとんでもない発言や行動で議論が止められてきた状況を
「首相周辺は『本当に進めたいなら、もっと慎重にやらないと』とこぼす。」(2019/5/3 朝日新聞)
と報じています。

 

また、CM規制の議論については、私たち野党は当時から強く求めてたことも述べました。附帯決議でも衆参ともにかなり多くの項目があるため、この際しっかりそれも一緒に議論すべきと求めてきたのですが、なぜかその意見はずっと通らなかったのです。

当時、国民投票法をつくったときに、広報協議会のあり方ということが随分議論になりました。それが現在では、インターネット広告の問題も出てきました。広告だけでなく、検察庁法の改正に抗議するツイートが広がったことをめぐって、ツイートをした人が更に攻撃されるとか、ネットの中での人権侵害の問題も起きていることから、

「非常に深い、人権や表現の自由と、インターネットでの規制などをどうするかという問題が出てきていると思うんです。ですから、この委員会でもかなり深い議論をしていくべきではないかと、これは当時からずっと主張してきたところです。ですから、そういうこともよくお考えになっていただきたいというように思っております。」
と私は述べました。

 

最後に、他の議員が緊急事態について発言したことについて、

「これはやはり、まず法律で、公共の福祉に反しない限りという憲法での条項もございますので、災害対策基本法や国民保護法制にのっとるような、法律での対応をまずしっかりしていくということこそ、私たち国会議員の責務であるということをつけ加えて、終わります。」

とこの日の発言を終えました。

 

私は国会で憲法論議をさんざんしてきた議員です。
憲法調査会、憲法調査特別委員会、憲法審査会と委員を務め、今までライフワークのように憲法議論をしてきました。
20年にわたる、国会の正式な憲法議論の場での発言回数の多い議員は、笠井亮議員、船田元議員、枝野幸男議員、斉藤鉄夫議員そして私がベスト5に入っています。
だからこそ、安倍政権下での憲法議論の危うさがわかります。

憲法審査会は会派の大小に関係なく、一致した熟議の上で進めていく、これが基本ルールでした。これは、自民党の重鎮、中山太郎前憲法審査会長の「保守の知恵」だったと思います。
それが安倍政権になってから壊されてきているのはないでしょうか。

民主主義の危機に対し、私は今後も警鐘を鳴らし続けます。