昨日4/12(水)参議院憲法審査会が開催され、発言をしました。 pic.twitter.com/dEFR5yZkP4
— 辻󠄀元清美 (@tsujimotokiyomi) April 13, 2023
○辻元清美君 立憲民主・社民の辻元清美です。
本審査会で国家緊急権の改憲の意見が何人かの委員から述べられました。これについて意見を申し述べます。
我が会派は、こうした意見は、まず第一に、政策的な必要性と合理性、立法事実の検証が欠けているのではないかと考えます。日本国憲法の緊急事態法制は参議院緊急集会を軸に組み立てられており、その緊急集会すら開けられない非常時に、国民の生命と暮らしを守るために、災害対策基本法、国民保護法、新型インフルエンザ等特措法において、あらゆるですね、あらかじめ法律の委任を受けた緊急政令の制定が設けられております。
これらの法律にどう書かれているかというと、内閣は、国会が閉会中又は衆議院が解散中であり、かつ、臨時会の召集を決定し、又は参議院の緊急集会を求めてその措置を待ついとまがないときは、必要な措置を講ずるため政令を制定することができると、あらかじめ法律の中に打ち込まれております。
特に、災害対策基本法の緊急政令については、関東大震災級の非常災害を念頭に昭和三十七年に大幅な改正がなされ、その後、阪神・淡路大震災での百九条二項が追加され、更に強化されました。そして、その後も災害対策基本法は東日本大震災の教訓を踏まえ平成二十四年に改正し、その後に南海トラフ地震を想定した政府審議会での検討を踏まえ平成二十五年に再改正し、さらに、首都直下型地震に備える改正が平成二十六年に行われていますが、これらの改正の際には、政府の審議会等での検討においては新たに加えるべき緊急政令の事項は指摘されておりません。
このように、日本国憲法の緊急事態法制とは、立法機能や予算承認機能は万年議会である参議院の緊急集会が担い、そして緊急集会すら直ちに開催困難な場合の災害緊急事態などには個別の緊急政令の仕組みが措置されており、その不断の検証と改正が積み重ねられてまいっております。
これに対して、自民党や日本維新の会は、いざというときに何でも措置できる緊急政令という事実上の内閣への白紙委任のような改憲を唱えていらっしゃるのではないかとお見受けします。しかし、このような姿勢は、立法事実に欠き、何よりも戦前の緊急勅令などの濫用の経験から、民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するとの根本趣旨に立つ参議院緊急集会を基軸とする日本国憲法の緊急事態法制の考え方と根本的に矛盾するものではないかと考えられます。
なお、公明党におかれましては、衆議院の憲法審査会において、現行の災害対策基本法などの緊急政令の仕組みを、過去の経験を基に想定され得る危機対応を網羅的、網羅しており、ほぼ完成した形、必要であれば法律改正で危機管理法制を更に整備充実をしていけばよいなど、改憲の立法事実の不在の観点から緊急政令の改憲に明確に反対されており、敬意を表するところです。
最後に、会長にお願いをいたしますけれども、本審査会では、今後、参議院の緊急集会の在り方について議論を深めていくというわけですけれども、憲法改正により緊急政令を求める会派の皆さんが、参議院緊急集会と現行の災害対策基本法などの緊急政令の仕組みで何が足りないと具体的に考えているのか、せめて、改憲によって可能としようとする緊急政令の対象分野や、その具体的な例を本審査会に示していただけるように、幹事会での御協議をお願いしたいと思います。
いかがでしょうか。
○会長(中曽根弘文君) ただいまの件につきましては、後刻幹事会において協議いたします。
○辻元清美君 大抵のこの緊急事態は今まで相当議論され、審議会でもどういう事態があるか、それによって法律改正を積み重ねてきていますので、必要であればまず法律改正で対応すべきだと考えます。