つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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<答弁書>「性自認に対しての政府の認識に関する質問主意書」の答弁が出ました

2023.5.19

国会ブログ質問主意書

2023/5/10(水)、「性自認に対しての政府の認識に関する質問主意書」を提出しました。

→答弁書は5/19(金)に閣議決定されました。

【答弁】参72辻元清美君(性自認に対しての政府の認識に関する質問主意書)

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性自認に対しての政府の認識に関する質問主意書

犯罪被害者給付金不支給裁定取消請求控訴事件(令和四年八月二十六日名古屋高等裁判所判決)において、「性自認(自分の性別についてのアイデンティティ)は、生物学的基盤によるものであると解されており、自らの意思や努力によって変えることのできない属性であるというべきである。」と判示されている。

また、性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件(平成三十一年一月二十三日最高裁判所第二小法廷決定)において、ジェンダーアイデンティティの訳語は「性自認」となっており、補足意見で「性同一性障害者の性別に関する苦痛は、性自認の多様性を包容すべき社会の側の問題でもある」と判示されている。

また、安倍元総理は平成三十一年三月二十五日の参議院予算委員会において「性的指向、性自認に関する理解の欠如に基づく偏見や不適切な取扱いを受けるなど、社会の中で様々な困難に直面している方々がおられるものと認識をしています」と答弁している。

加えて、岸田総理は、令和三年十月十一日の衆議院本会議において「性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないと考えます」と答弁して以降、性自認という言葉を用いて同趣旨の答弁を繰り返している。

また、令和四年に行われたG7エルマウサミットでは、「我々は、女性と男性、トランスジェンダー及びノンバイナリーの人々の間の平等を実現することに持続的に焦点を当て、性自認、性表現あるいは性的指向に関係なく、誰もが同じ機会を得て、差別や暴力から保護されることを確保することへの我々の完全なコミットメントを再確認する。」と明記した首脳コミュニケを取りまとめている。

さらに、令和五年三月二十八日の参議院予算委員会において、私が今年のG7の首脳コミュニケに性的指向や性自認を理由とする差別の禁止の文言を盛り込むべきではないかと質問したところ、岸田総理は、「具体的な文言について今確定的に申し上げることは控えます。」としつつも、「政府としては、性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見、これはあってはならないと考えており、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にする、生き生きとした人生を享受できる社会を実現していく、こうした方向で取組を進めていく所存です。その大きな方向性も今申し上げたとおりであります。その中で、今現実の課題について一つ一つ丁寧に取り組んでいきたいと考えています。」と答弁している。

このように過去の政府答弁や法律・政府文書等において、「性自認」という用語が「自称すれば変えられる」という内容で使われたことはないと理解している。

以下質問する。

 

一 厚生労働省「保健師助産師看護師国家試験出題基準令和五年度版」では、「性自認」という用語を用いているか。また、当該用語の使用は適切であるという認識か。

 

二 平成三十年度の社会福祉士試験で、「性自認」の用語を用いて出題されているか。当該用語の使用は適切であるという認識か。

 

三 文部科学省の「いじめ防止等のための基本的な方針」では、「性自認」という用語を用いているか。また、当該用語の使用は適切であるという認識か。

 

四 労働施策総合推進法の指針において、パワハラに該当する例示の中で「性自認」という用語を用いているか。また、当該用語の使用は適切であるという認識か。

 

五 前記の安倍元総理、岸田総理の答弁に加え、総理大臣が「性自認」という用語を用いた答弁はどのようなものがあるか。政府が認識しているものを列挙されたい。

 

六 令和四年に行われたG7エルマウサミットにおけるG7首脳コミュニケに「性自認」という用語が使用されていることを政府は認識しているか。当該用語の使用は適切であるという認識か。

 

七 各地の自治体で性的マイノリティに関する条例が作られているが、「性自認」という用語を用いている条例で政府が把握しているものを列挙されたい。

 

八 条例において差別を禁止している自治体がほとんどだが、そうした自治体の中で、自分がそう思ったら男や女になれるという「性別の自称」に類する事柄に対する差別が禁止された事例を政府は把握しているか。政府が把握しているものを列挙されたい。

 

九 経済産業省や人事院に対する行政措置要求判定取消請求事件、国家賠償請求事件(性同一性障害である職員に対するトイレ使用制限等の違法性が問われた事案)において、地裁判決では、「「個人がその真に自認する性別に即した社会生活を送ることができることは、重要な法的利益として、国家賠償法上も保護されるものというべきである。」と判示している。また、同事件の高裁判決では、「自らの性自認に基づいた性別で社会生活を送ることは、法律上保護された利益である。」と判示している。政府は「自らの性自認に従って扱われること」について、どのような法的利益が存在すると認識しているか。

 

十 前記の政府答弁や法律・政府文書等において、「性自認」という用語は「自称すれば性別を変えられる」という意味で使用されているか。該当するものを列挙されたい。また、前記以外の政府答弁や法律・政府文書等において、「性自認」という用語が「自称すれば性別を変えられる」という意味で使用されたものがあれば示されたい。

 

右質問する。