つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

<答弁書>「原子力発電所の劣化状況の点検・評価・審査に関する再質問主意書」の答弁が出ました。

2023.6.27

国会ブログ質問主意書

2023/6/15(木)、「原子力発電所の劣化状況の点検・評価・審査に関する再質問主意書」を提出しました。

→答弁書は6/27(火)に閣議決定されました。

【答弁】参111辻元清美君(原子力発電所の劣化状況の点検・評価・審査に関する再質問主意書)

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原子力発電所の劣化状況の点検・評価・審査に関する再質問主意書

 

私が提出した「原子力発電所の劣化状況の点検・評価・審査に関する質問主意書」(第二百十一回国会質問第三八号)に対する答弁(内閣参質二一一第三八号)の内容を受け、以下質問する。

 

一 原子力規制委員会がエンドース(是認)し、活用している民間規格については、原子力規制委員会が技術評価を行っていることから、その適切性について原子力規制委員会には国民への説明責任があると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 原子力安全・保安院は二〇一二年八月、「原子炉圧力容器の中性子照射脆化について」において、日本電気協会の策定した規格「JEAC4201 原子炉構造材の監視試験方法」及び「JEAC4206 原子炉圧力容器に対する供用期間中の破壊靭性の確認方法」について、「高い中性子積算照射量においては精度が十分高いとは言えない可能性がある」、「加圧熱衝撃の評価法として適切な保守性を確保することの重要性に鑑み、学協会に対して、最新知見に基づき、遷移温度の上昇や(中略)破壊靭性値下限包絡線の評価手法等、加圧熱衝撃事象に対する原子炉圧力容器の構造健全性評価手法の改定検討を進めることを求める」としていた。これは事実か。

三 過去に原子力規制委員会が発出した特定指導文書の発出日とその概要を列挙されたい。

四 原子力規制委員会は二〇一五年十月十九日、日本電気協会宛てに特定指導文書「日本電気協会「原子炉構造材の監視試験方法(JEAC4201―2007)[二〇一三年追補版]」に関する技術評価を受けた今後の対応について」(原規技発第一五一〇一九一号)を発出している。この文書は日本電気協会に対し、JEAC4201―2007の問題点について対応することを求めている。日本電気協会はJEAC4201―202Xに遅すぎるのではないか。安全審査に支障を生じているのではないか。

五 同特定指導文書発出後の日本電気協会の対応状況及び今後の原子力規制員会の方針について説明されたい。

六 前記二の「原子炉圧力容器の中性子照射脆化について」では、「高い中性子積算照射量においては精度が十分高いとは言えない可能性」が指摘されており、さらに原子力規制委員会が指摘している問題点について対応されていない。それにもかかわらず、問題が指摘されている「JEAC4201」及び「JEAC4206」に基づき、高経年化した炉の健全性評価がなされていることが適切だとする根拠を示されたい。

七 JEAC4201―2007の照射脆化予測式には、元になるミクロ組織の反応速度式に間違いがあること(式中の項の次元が一致していないことなど)が指摘されているが、政府の見解を示されたい。

八 二〇二三年五月二十三日の参議院経済産業委員会・環境委員会連合審査会において、原子力規制委員会の山中伸介委員長は「中性子照射脆化について言いますと、既に六十年目以降の劣化評価が必要なデータが得られている発電所も存在します」と答弁している。これはどの炉のどの位置で採取されたデータを指しているのか。

九 高浜原子力発電所一号機などで健全性が最も疑われるのは、き裂先端での破壊靭性値なので、深さ十ミリメートルでの照射量を考察の対象とすべきであり、その照射量に換算して六十年を超える原子力発電所は一つもないのではないか。

十 原子炉圧力容器の原子炉中心部に近く、中性子照射が強い領域(炉心領域)には複数溶解の鋼材が使用されている。政府は、国内の各原子炉の炉心領域に用いられている鋼材の溶解数を確認しているか。確認している場合、これを列挙されたい。確認していない場合、なぜ確認していないのかを説明されたい。

十一 政府は、国内の各原子炉の監視試験片が炉心領域の鋼材のどの溶解から採取されたものであるかを確認しているか。確認している場合、それを列挙されたい。未確認である場合、なぜ確認していないのかを説明されたい。

十二 JEAC4201―2007では、監視試験片を採取するのは「炉心領域にある部材のうち、少なくとも一溶解から製造された母材」だと規定されている。しかし、溶解が異なれば材料の照射脆化挙動が明確に異なることは、たまたま三溶解の材料を供試材としていた美浜原子力発電所一号機の監視試験結果から示されており、一溶解の材料のみを用いた監視試験は炉心領域の材料全体を代表することにならない。なぜ、政府は「すべての母材の材料」でなく「少なくとも一溶解から製造された母材」で妥当としているのか説明されたい。

十三 監視試験カプセルは一部の原子力発電所では既に使い切られた状況であり、現在、過去に用いた監視試験片を再生利用することが計画されている。監視試験片には、母材・溶接金属・溶接熱影響部の三種類の金属が用いられているが、溶接金属は再生試験片に用いるための素材を採取することが難しく、熱影響部は試験部の幅が五ミリメートル程度のため、素材の採取は不可能だと考えられる。二〇二三年五月二十三日の参議院経済産業委員会・環境委員会連合審査会において、「試験後の熱影響部試験片の再生利用は不可能」という指摘があることを把握しているかとの質疑に対し、原子力規制委員会の山中伸介委員長は「再生試験方法につきましては、国のプロジェクトで様々な試験を行われて、民間基準に採択された」と答弁しているが、熱影響部の再生利用が可能であることを示した国のプロジェクトとは何か。どのようにして可能なのか説明されたい。

十四 JEAC4201―2007では、「溶接熱影響部は母材で評価を代表できる」としているが、実測値では、熱影響部は、母材より明らかに照射脆化が大きかったことが報告されている(鈴木哲也、木村晃彦:「軽水炉圧力容器鋼溶接部の照射脆化挙動評価技術」、日本原子力学会誌、Vol.四十一、No11(一九九九))。なぜ、政府は「溶接熱影響部は母材で評価を代表できる」としているのか説明されたい。

十五 JEAC4206―2007についても再検討が求められ、日本電気協会はJEAC4206―2016を制定したがエンドースに至らなかった。その結果、日本電気協会が精度が低いとして廃止を提案した現行規程を、今もそのまま使い続けて原子力発電所の安全審査を行っているのは不適切ではないか。

十六 JEAC4206―2016のエンドースを却下した二〇二〇年九月から既に三年近く経過しているが、日本電気協会での再審議はどのように進んでいると認識しているか。

右質問する。