つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

2023年12月6日 参議院憲法審査会 発言テキスト:国民投票とAIによる偽情報について

2023.12.7

国会ブログ速記録・議事録


○辻元清美君 立憲民主・社民の辻元清美です。
本日は、国民投票法の議論の必要性を提起したいと思います。

2007年、16年前、国民投票法が成立いたしましたが、当時、私は衆議院特別委員会の委員として国民投票法の議論を重ねてまいりました。現在、この頃には思いも及ばなかった事態に直面していると危機感を深めております。それは、デジタル技術や生成AIなどの進展によってディープフェイクと呼ばれる偽画像が社会を混乱させ、民主主義を脅かす事態を招いているということです。

今年5月、憲法に関し何を優先して議論すべきかという朝日新聞の世論調査がありました。7項目から複数回答できる調査でした。1位が憲法改正のための国民投票の在り方で46%、2位がデジタル時代における人権保障の在り方で44%でした。ちなみに、緊急事態時の国会議員の任期延長は18%にすぎず、7項目め、下から2番目でした。
この世論調査の結果から、国民はデジタル時代の便益も感じつつ、自分たちの人権や生活だけではなく、選挙や改憲の国民投票までもがゆがめられかねないと危機感を強めていることが読み取れます。

先日、生成AIを利用して岸田総理らの偽発言を作り出せるアプリがネット上に公開され、一層危機感が高まっております。
アメリカでは、AIが勝手に自身の改良を始め、世論誘導などのコントロールができなくなるといったリスクまで指摘され、来年の大統領選挙を控え、公正な選挙と民主主義をAIの干渉から守る取組の検討が始まっております。また、台湾では、来年一月の総統選挙を控え、他国の関与も疑われる偽情報が急増していると言われております。先日、G7議長国の日本は、偽情報拡散を防ぐための対策を重視した広島プロセスの声明文を先日まとめました。

さて、そんな中で、2021年、2年前の国民投票法改正のとき、これらのことの懸念も出ておりました。そういう関係から、附則の第4条の2に、イ、国民投票運動等のための広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告の制限、ロ、国民投票運動等の資金に係る規制、ハ、国民投票に係るインターネット等の適正な利用の確保を図るための方策の実現を求めることが決められております。
この改正議論のとき、発議者からは、附則4条の趣旨として、法改正なくして改憲発議はできない、また、与党の発議者からも、自由と公平公正、このバランスを回復するために所要の措置を講じることが必要、法改正が必要ではないかと答弁していることを改めて確認したいと思います。
この議論のときよりも更にAI、生成AIによるフェイクなどの深刻度が増していますので、本審査会でこの問題を放置しておくことはできないと、議論を深めるべきだと提起をいたしたいと思います。

あわせて、国民投票法で規定されている広報協議会の在り方についても議論が求められております。国民投票が偽情報でねじ曲げられるような状況は憲法改正に賛成、反対、立場は関係なく放置できない問題であると考えます。

最後に、先日の予算委員会で私は、岸田総理の任期中に憲法改正をという発言を取り上げ、議論をいたしました。私が、議会のことは議会で決める、いいですねと念押しすると、岸田総理は議会に任せると同意をされました。立法府の矜持を持って議論を進めていきたいと思っています。
一方、昨日は自民党の会合で同様の発言をされたようですが、今大きな問題が発生しています。パーティー券キックバック裏金問題です。裏金疑惑にけじめも付けられず、憲法改正について、私は、岸田総理が語られたこと、語る資格があるのかしらと実は思ってしまいました。政治の信頼なくして憲法論議は成り立ちません。この中に関係者はいないと私は信じておりますけれども、しっかりとやはり政治の信頼を取り戻す、これは憲法の論議の土台になるということを申し上げて、私の発言を終わります。