つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

2024年5月8日 参議院憲法審査会 発言テキスト:憲法論議の進め方について

2024.5.9

国会ブログ活動報告速記録・議事録

 

○辻元清美君 立憲民主・社民の辻元清美です。
冒頭、憲法審査会における議論の前提と課題について発言いたします。

憲法論議を進めるに当たって最も大事なこと、それは、政治への国民の信頼です。現在の政治は、自民党の裏金事件によって国民からの信頼が大きく毀損してしまっています。
日本国憲法には、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」とあります。そして、憲法四十一条、国会の地位、立法権。「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」とあります。

国民の厳粛な信託によって選ばれた私たち国会議員、そして国権の最高機関である国会。ところが、今、政権与党の自民党の4.5人に1人が裏金作りをしていたという前代未聞の事件によって、その正統性が揺らいでいます。
自民党裏金事件と憲法論議は関係ないという人がいますが、果たしてそうでしょうか。なぜなら、憲法はほかの法律とは違います。憲法は、総理大臣や国会議員、私たちが守らなければならない規範だからです。

前文には、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使するとあります。ところが、最も権力を行使する立場の政府・与党の大量の自民党議員らが裏金作りにいそしんでいた。これで、国民から権力の行使をあずかって、議員が、私たちが守らなければいけない規範を変える資格があると言えるんでしょうか。

さらに、参議院政治倫理審査会が参議院史上初めて開催され、自民党も含めて決議し出席の申立てをしているにもかかわらず、無視し続けている議員が本審査会にもいらっしゃいます。本院の正式機関からの自民党も含めての説明要請に応えていない裏金議員たちは、果たして国権の最高の府で国民から権力の行使を預かっているという正当性があるのでしょうか。

来週にもこの政倫審委員長から出席説明を再要請されるようですが、出席して説明するのでしょうか。参議院の政倫審の要請を無視し弁明していない議員は、なぜ政倫審で弁明しないのか、その理由を説明してから憲法審査会では発言していただかなければならないと考えます。

世論調査を見ても、憲法を変える機運は高まっていないという受け止めが、共同通信社では67%、朝日新聞では70%で、改正が必要だと思う人や自民党支持層でも、それぞれ63%、64%でした。岸田総理の在任中の憲法改正については、賛成27%、反対52%でした。

裏金事件を引き起こした組織である自民党の責任者の岸田総理に至っては、処分もなく、他人事のような姿勢に国民は納得していないという証左ではないでしょうか。そのような岸田総理が憲法について条文化を促すような発言をすることは、総理大臣としての越権行為であるだけではなく、自らのけじめも付けることなく、憲法について語る資格はないと多くの国民が見ている結果の数字ではないでしょうか。

裏金事件で失われた国民の政治への信頼と憲法改正論議の正当性は決して切り離せない関係にあるのです。国民の信頼回復なくして憲法論議はないということをはっきり申し上げなければなりません。憲法論議を進めたいのであれば、本来であれば選挙で選び直された議員で行うべきというのが国民の多くの思いのようにも思えます。

ここまで本審査会での議論の前提について申し上げました。残りの時間で課題について提起をいたします。
私は以前から国民投票法の改正議論の必要性を提起してまいりました。先ほどの世論調査では、憲法に関わり国会で最も議論してほしいテーマ一位が国民投票の在り方50%、昨年の46%より増えております。緊急事態時の国会議員の任期延長はたった16%、これは同性婚を議論すべきという18%より下回りました。

昨年の12月、私はデジタル技術や生成AIが世論形成や選挙に深刻な影響を及ぼし、国民投票の在り方の見直しが必要ではないかとこの場で問題提起をいたしました。
読売新聞の世論調査では、国会で憲法に関する議論を進める際、AIなどのデジタル技術の発展を踏まえるべきだと思うという答えが58%、思わないが39%でした。

さらに、読売新聞社が3月から4月に生成AIに関する全国世論調査も実施いたしました。偽情報が有権者の投票行動にどのくらい影響を与えるかと思うかと聞いたところ、大いにと多少はを合わせて影響を与えると回答した人は89%に上りました。不安に思うことを複数回答で尋ねると、誤った情報が意図せず広がるが63%、偽の情報が拡散するが60%、思考や判断力が低下するが50%でした。生成AIを使わない方がよいと思う分野を複数回答で尋ねると、報道が36%、選挙が30%でした。国民の間でも生成AI等が選挙などに及ぼす影響への懸念が強まっていることが読み取れます。

憲法をめぐる国民投票についても深刻な影響が考えられます。国民投票法を制定したときには予想できなかった事態が今起こっているんです。

最後に申し上げます。
本審査会では、国民投票や選挙に及ぼす生成AIなどの影響について、また他国の取組の現状などについて、専門家からのヒアリングや議論が急務であると提起し、冒頭の発言を終わります。
以上です。