つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

「高市内閣総理大臣の『台湾有事』答弁における台湾の帰属及び国家性の認識並びに台湾の『我が国と密接な関係にある他国』該当性に関する質問主意書」を提出しました。

2025.11.20

質問主意書

2025/11/20「高市内閣総理大臣の『台湾有事』答弁における台湾の帰属及び国家性の認識並びに台湾の『我が国と密接な関係にある他国』該当性に関する質問主意書」を提出しました。

一 いわゆる「台湾有事」と内政問題

二 台湾の帰属

三 台湾の国際法上の国家該当性

四 「我が国と密接な関係にある他国」と台湾

五 いわゆる「台湾有事」と存立危機事態

→答弁書の閣議決定は12/2(火)の予定です。

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高市内閣総理大臣の「台湾有事」答弁における台湾の帰属及び国家性の認識並びに台湾の「我が国と密接な関係にある他国」該当性に関する質問主意書

 

高市早苗内閣総理大臣は、令和七年十一月七日の衆議院予算委員会において、岡田克也委員の質疑に対し、「先ほど有事という言葉がございました。それはいろいろな形がありましょう。例えば、台湾を完全に中国北京政府の支配下に置くようなことのためにどういう手段を使うか。それは単なるシーレーンの封鎖であるかもしれないし、武力行使であるかもしれないし、それから偽情報、サイバープロパガンダであるかもしれないし、それはいろいろなケースが考えられると思いますよ。だけれども、それが戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます。」と答弁した(以下「高市内閣総理大臣答弁」という。)。これを踏まえて、以下質問する。

 

一 いわゆる「台湾有事」と内政問題

1 昭和四十七年十一月二日の衆議院予算委員会において、「中国大陸と台湾との間の紛争は、内戦であり内政問題であると日本政府は理解するかどうか」との質疑に対し、大平正芳外務大臣(当時)は、「政治的に見ますと、当然これは内政問題であると思います。」と答弁し、政府の見解を示した。この政府の見解に変更はあるか。

2 1の政府の見解に変更がないのであれば、高市内閣総理大臣が令和七年十一月十日の衆議院予算委員会において答弁したいわゆる「台湾有事」については内政問題であり、高市内閣総理大臣答弁の「どう考えても存立危機事態になり得るケース」とは言えないのではないか。

 

二 台湾の帰属

昭和四十七年十一月二日の衆議院予算委員会における大平外務大臣(当時)の答弁において示された「日中共同声明の第三項に、台湾の領土の帰属について双方の見解が明らかにされております。(中略)中華人民共和国といたしましては、台湾は中国の不可分の領土の一部であるという見解を再確認いたしております。わがほうといたしましては、その中国の立場を理解しかつ尊重いたします。しかし、これを承認するということは書いてありません。わが国の立場は、ポツダム宣言を受諾した立場におきまして、わが国が放棄した領土の帰属について、わが国が独自の判定を下す立場にございませんことは、従来政府が繰り返し述べてきたところでございますが、ポツダム宣言はカイロ宣言を受けまして、台湾は中国に帰属すべきものであるという見解が述べられておりまして、現に帰属しておるというように私どもは理解いたしていないのでございます。これはあくまで法理論としてそうで、そういう立場を私どもはあそこに明らかにとらせていただいたわけでございます。政治的には一つの中国の立場を貫き、台湾に領土的野心を日本は持たないばかりか、台湾の独立運動等に加担をする意思は毛頭ございませんということを鮮明にいたしておりますけれども、純法律的な冷たい論理の展開といたしましては、共同声明三項に、日本政府の立場を明らかにしておるわけでございまして、台湾をめぐる事態は、政治的な面と、そしてそういう法律的な面におきまして、必ずしもしっくり合致していないのが遺憾ながら現実でございます。」及び「日本政府は、一体あれはどこに帰属すべきものであるかと問われるならば、ポツダム宣言を受諾した立場において、これは中国に帰属すべきものであるという見解を表明いたしました宣言を受諾しておるのでございますから、そういう見解でございます」という政府の見解に変更はあるか。

 

三 台湾の国際法上の国家該当性

1 昭和四十九年四月二十六日の衆議院内閣委員会における政府の答弁において示された「七二年九月の日中共同声明第二項によりまして、わが国は中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であるということを承認したわけでございます。これは中国という国を代表する政府として、それまで中華民国政府というものを承認していた、それに取りかわって中華人民共和国政府を承認するという趣旨でございまして、いわゆる国際法上の政府承認を与えたということであると存じております。その結果、わが国といたしましては、中華人民共和国政府を承認いたしました時点以降、台湾においては中国を代表する政府というものはない、またわが国から見ます限り、台湾という地域に、国際法上の主体としての国家あるいはそれを代表する政府の存在というものを認めるものではないということになったわけだと存じております。」という政府の見解及び日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明について「この立場を十分理解し、尊重するということでございますから、台湾地域について中華人民共和国の実効的支配が及んでいないという事実は踏まえながらも、その中華人民共和国政府の立場に異議を唱えたり、あるいは台湾という地域に新しい国家としての承認を与えるというようなことはしないということが、この日中共同声明の第三項というものの解釈から出てきますところの当然の帰結であろうと存じているわけでございます。」という政府の見解に変更はあるか。

2 昭和四十九年三月二十七日の衆議院外務委員会における政府の答弁において示された「未承認国ということばを使います場合には、そこにある国家が存在をしていて、それを承認していないということだと考えるわけでございますが、先ほど申しましたように、日本の法律的な認識の中には、台湾という地域には国家はないということだろうと思います。したがいまして、これを未承認国という形でとらえるということは適当でないと存じます。」という政府の見解に変更はあるか。

3 政府は「日本の法律的な認識の中には、台湾という地域には国家はない」とするが、平成二十六年五月十六日の衆議院外務委員会において、政府は、「問題は、台湾が、国際法上、国か、外国に当たるのかということでございますが、これも従来から政府は一貫して答弁してきておりますけれども、我が国は、サンフランシスコ平和条約第二条により、台湾に対する全ての権利、権原及び請求権を放棄しているので、台湾の法的地位に対して独自の認定を行う立場にはない。」と答弁している。また、高市内閣総理大臣は、令和七年十一月七日の衆議院予算委員会において「これはやはり他国に、台湾でしたら他の地域と申し上げた方がいいかもしれません」と答弁した。
これらの答弁によれば、台湾の帰属について、我が国が独自の認定を行う立場にはないが、台湾が国際法上の国家か否かについては、台湾は国際法上の国家ではないという立場であると理解してよいか。

 

四 「我が国と密接な関係にある他国」と台湾

1 平成二十七年六月十五日の衆議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会における岸田文雄外務大臣(当時)の答弁において示された「国際法上、自衛権を行使するのは国でありますので、密接な関係にある国というのは国家であります。その国家につきましては、従来、未承認国あるいは分裂国、こういった国も入るという説明をしていたと承知をしております。その範囲内で密接な関係にある他国を考えていくことになると考えます。」という政府の見解に変更はあるか。

2 「我が国と密接な関係にある他国」(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第七十六条第一項第二号。以下同じ。)は、国家であり、地域ではないと理解してよいか。

3 ある国家が「我が国と密接な関係にある他国」の要件に該当するか否かを政府が判断できない場合には、存立危機事態は認定できないと理解してよいか。

4 台湾が「我が国と密接な関係にある他国」に当たり得るかについて、平成二十七年九月四日の参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会において、岸田外務大臣(当時)は、「我が国は、サンフランシスコ平和条約第二条に基づいて、台湾に対する全ての権利、権原、あるいは請求権、これを放棄しております。台湾の法的地位に関して独自の認定を行う立場にはない、これが我が国の立場であり、これは歴代内閣ずっとこうした答弁をさせていただいております。これは現状全く変わっていないと考えます。」と答弁し、政府の見解を示した。この政府の見解に変更はあるか。

5 台湾が「我が国と密接な関係にある他国」に当たり得るかについて、「台湾の法的地位に関して独自の認定を行う立場にはない」のであれば、台湾が「我が国と密接な関係にある他国」の要件に該当するか否かを政府が判断できないこととなり、存立危機事態を認定できないという理解でよいか。

6 政府は「台湾という地域に、国際法上の主体としての国家あるいはそれを代表する政府の存在というものを認めるものではない」としていることから、国際法上の主体としての国家ではない台湾は、「我が国と密接な関係にある他国」に該当しないという理解でよいか。

7 現在、高市内閣は、台湾が「我が国と密接な関係にある他国」に当たり得ると考えているか。

8 「国際法上、自衛権を行使するのは国であ」ることから、我が国から見る限り、「国際法上の主体としての国家」ではない台湾が集団的自衛権を保有し、行使することは認められないという理解でよいか。

9 政府は、平成二十六年五月十六日の衆議院外務委員会において、「我が国は、この問題が関係当事者の話し合いにより平和的に解決することを強く希望しておりまして、それと異なる前提において議論することは適切でない、こういう立場も従来から申し上げておるところでございます。」と答弁した。高市内閣総理大臣は、令和七年十一月七日の衆議院予算委員会において、「例えば、台湾を完全に中国北京政府の支配下に置くようなことのためにどういう手段を使うか。(中略)それが戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます。」と答弁したが、従来の政府の立場では、「それと異なる前提において議論することは適切でない」のではないか。

 

五 いわゆる「台湾有事」と存立危機事態

1 高市内閣総理大臣は、令和七年十一月七日の衆議院予算委員会において、「台湾に対して武力攻撃が発生する。海上封鎖というのも、戦艦で行い、そしてまた他の手段も合わせて対応した場合には武力行使が生じ得る話でございます。例えば、その海上封鎖を解くために米軍が来援をする、それを防ぐために何らかのほかの武力行使が行われる、こういった事態も想定されることでございます」と答弁し、米軍の存在に言及した。しかし、「それが戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースである」とする高市内閣総理大臣答弁では、「それは単なるシーレーンの封鎖であるかもしれないし、武力行使であるかもしれないし、それから偽情報、サイバープロパガンダであるかもしれないし、それはいろいろなケースが考えられると思いますよ。」とするのみで、米軍の存在に言及していない。
高市内閣総理大臣答弁の「どう考えても存立危機事態になり得るケース」において、「我が国と密接な関係にある他国」はどこか。高市内閣総理大臣答弁の「武力の行使」を行った国又は地域はどこか。

2 「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)で示された「武力の行使」の三要件を満たす場合には、被攻撃国からの要請がなくても、被攻撃国から我が国が同意を得て、国際法上の根拠が集団的自衛権となる「武力の行使」を行うことが認められるか。

右質問する。