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活動ブログ

辺野古問題、動かしたのは「海の力」

2009.12.4

国会ブログ

辺野古問題について、とりあえず年内決着は回避した。
鳩山政権は「地方の自立」そして巨大公共事業から「人への投資」を国民に約束して生まれた政権だ。辺野古をめぐる問題は政権の本質に関わる案件。引き続き腰をすえた議論をしようと、政権が慎重な判断をしたことは評価できると思う。
これを「社民党に配慮した」「内向きの結論だ」などと政局としてとらえる報道ばかり。まったく違う、と私は思う。状況を動かしたのは沖縄の声であり美しい海の力だ。そして合理性に乏しい計画に対する、政権の理性的判断だ。
私は初当選以来、安保委員会などで辺野古問題をとりあげてきた。推進派の自民党政権ですら13年間実現できなかったのは、なぜか。かつての日本軍の基地などを使用してきたこれまでの基地とは違い、戦後初めて米軍基地を「新設」することになるこの計画、あまりに非合理すぎるからではないだろうか。
あの美しい辺野古・大浦湾の海を埋め立てることは、観光を最大の資源にして地域発展をはかろうとする沖縄にとって、取り返しのつかない行為になる可能性が高い。しかも、海上に基地を作ろうとした場合、10トントラックおよそ525万台分の土砂が必要なのだ。とほうもない量の土砂を海に投げ入れて環境負荷がかからないはずがない。それに土砂の多くの部分を沖縄県内で集めようとすれば、当然海岸線の減少につながるなど、連鎖的な環境への影響が予測される。
大浦湾ではつい先日も、少なくとも36種の海洋生物の新種が発見された。WWFジャパンの調査によれば、シャコ類の3新種も確認された。そのほかにも国内最大級といわれるアオサンゴ群集が確認されている。いずれも絶滅危惧種で、この海域の生物の多様性は極めて高い。
そして辺野古には希少動物に指定されたジュゴンが生息しており、生息に必要な藻場も危険にさらされる。たびたび私も紹介してきたが、天然記念物であるジュゴンの生息域への基地建設が米国文化財保護法に違反するという理由で計画の中止・変更を求める「ジュゴン裁判」が、米国内で行われている。原告はジュゴンを含む日米の環境団体だ。
この裁判で昨年1月に連邦政府の行為は米国文化財保護法に違反し、違法であるとする中間判決が出された。結果、判決前にはアメリカ政府は日本政府に対して着工の許可を与えることができず、判決確定後には同法の手続きを遵守することが求められる。そうなれば、辺野古基地建設にあたってはジュゴンに対する配慮が求められることになるのだ。同法が海外で適用されるとすれば初めてのケースになるが、おそらくは一定の手続きが示されると予想されている。その手続きとは「すべての関係団体との協議」である。そこには政府や自治体はもちろん、環境保護団体や研究者なども含まれるため、そこではじめてトータルな検証がなされることになるのだ。
いまの枠組みでの基地建設自体、アメリカ国内であれば法的に実現できないものであり、国外であっても再考すべきものという客観的判断がなされているといえる。
そして沖縄の地元からは、「7割が建設反対」という調査結果がでている。防衛省もこれまでオスプレイの配備などについて、情報隠しを行ってきた。この点ひとつとっても地元の了解が得られないことを知っているからだ。
今日私は翁長那覇市長と副大臣室で面会。「私は保守の立場だが、辺野古移設は反対で硫黄島に持っていくことを提言している」とおっしゃっていた。この問題では保守も革新もない。これだけの大きな声を無視してこの計画を進めることは、長い目で見たら日米関係にとっても決してよい未来をつくることにならないのではないか。
これまでずっと辺野古に関わってきた私は、地元の市民運動やNGOとも連携しながら、これらの情報を鳩山総理はじめ関係閣僚の方々にお伝えするとともに、意見交換をしてきた。
今後の展開はわからないが、13年間自民党政権でもできなかったことを、わずか2ヶ月あまりで踏み切ることは無理がある、ともお伝えしてきた。これまた今後のアメリカ政府と鳩山政権の関係をどう作っていくかに大きく関わってくるのだ。
政権与党の一員として、慎重にこの問題にとりくんでいきたい。