つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

私が「社会保障・税一体改革関連法案」に賛成した理由

2012.6.29

国会ブログ

誰でも増税など、したくありません。
税金を上げずに済む「妙案」があるのなら、今すぐ示して欲しい。
私は、小沢一郎さんが国会の委員会質疑に立って、国民が見ている前で、ご自分の政策の中身を示し野田首相と議論をすればどうか、と言ってきました。
解決策の具体的な中身を示さず「けしからん」と言っているだけでは、説得力がないからです。
<平均寿命66歳から80歳の時代へ━━社会保障費の膨張>
今、消費税のことが議論されていますが、前回、消費税法案が提出された1994年度の政府債務残高は207兆円。現在は960兆円で、18年間で国の借金は753兆円も増えています。
なぜ、こんなに「国の借金」が増えたのか?
「ムダな公共事業」も大きな原因です。
しかし、大きな理由は、医療の高度化で長生き時代になったため、一人一人の年金を受け取る期間が長くなり、年金財源からの支出がどんどん膨らんでいることなのです。
もともと国民年金制度ができた1961年には、男性の平均寿命は66歳、女性が71歳でした。
初めて消費税が導入された1989年は男性76歳、女性82歳。
しかし2010年には男性80歳、女性が86歳になり、寿命はどんどん延びています。
また、医療の高度化による医療費の増大も一因です。
現在、社会保障費(税+社会保険料)の支払いは約100兆円。
その内、約半分の53.6兆円が年金、医療33.6兆円、介護7.9兆円、子育て5.2兆円。
国民に支払われた社会保障に関わるお金は、1961年には対国民所得比で5%だったのが、現在では30%を超えています。
「月々の年金額は少ない」という声も聞きますが、年金を受け取る期間が長くなっているのです。今では30年間、年金で暮らしているという人も珍しくありません。
長生きは良い事です。しかし今後、さらに医療が進歩し長寿社会になると、社会保障費はさらに膨らみます。また最も人口比率の多い団塊の世代が年金生活に入ると、財政状況はいっそう深刻になります。
<低成長時代の、「国民幸せ度」優先の経済・社会へ>
一方、経済は低成長時代に入っています。
日本だけではなく、欧米も含めての共通した現象で、先進国はどこも苦戦しています。
経済のグローバル化と中国やロシアなどの旧社会主義国や新興国の市場入りで、世界の経済構造が変わったのです。
その結果、世界的に格差が広っています。
派遣労働などで賃金が低く、夫婦共働きでやりくりをしているカップルが増えています。
いま急務なのは、現役世代が子育てしながら働きやすくするための環境整備で、保育所などを増やすこと。
現役世代は、働き、税金を納め、高齢者を含む社会全体を支えています。そして、子どもは未来の社会を支えるのです。
しかし現在、子育て支援などの費用は年金の10分の1で、まったく充分とはいえません。
「景気回復を優先しろ」との声は、いつの時代にもありました。
しかし、今までのようにお金をつぎ込んでのバブル待望では、百害あって一利なしではないでしょうか。
「身の丈に合った経済」で「持続可能な社会」に転換しなければなりません。
とにかくGDP(国民総生産)を上げるという発想よりも、支えあって安心して暮らせる「国民幸せ度」優先の経済・社会に変えるのです。だからこそ、私は「新しい公共」や「社会的包摂」の政策を進めているのです。
私は、今がその転換期だと考えています。
今の苦しみは、この構造転換への「産みの苦しみ」にしなければならないと思うのです。
<国交予算を文科予算が上回る!>
さて、増え続ける社会保障費や次世代のための財源をどこから捻出するのか。これがいま、問われているのです。
まず、無駄遣いの削減はいうまでもありません。
政権交代後、私は「コンクリートから人へ」のコンクリートの牙城といわれた国土交通省に副大臣として入りました。予算を組み替えて財源を捻出する最前線で働いたわけです。
私は国交副大臣の時代に国交省の予算の1.3兆円=2割を削るという大ナタをふるいました。
そして高校授業料無償化などを実現してきました。その後も削り続け、国交省だけで現在までに2・5兆円の財源を生み出しています。
例えばダム予算。つくりかけの83の全国のダムをいったん止めて、必要かどうか再点検。すでに32ダムの再点検を行い、八ツ場ダムは継続となりましたが、10ダムの建設を中止し、2212億円の財源を生み出しました。これからも、中止のダムが出てくると思います。
そして、ついに2011年度、史上初めて国土交通予算を文部科学予算が上回りました。
また、政権交代前に比べて公共事業費は30%削減する一方、医療予算は13.5%増という劇的な予算改革でした。「コンクリートから人」のために努力してきました。
しかし、無駄を削っても削っても財源が足りない現実の壁にぶちあたりました。
特に年金財源探しは、毎年、火の車。
かつては3分の1が税金で補填されていたのが間に合わなくなって、2分の1相当の税金を入れることになりました。ところが、この3分の1と2分の1の差額の1年分=2.5兆円の恒久財源が無いのです。
国交省の鉄道関係の特別会計からも年金財源に回すという綱渡りをすることになりましたが、1年限りのその場しのぎ。今度は復興予算が足りないとなり、結局、国交省から回したこの年金財源を復興に回さざるをえなくなったのです。結果、年金の補填分は、また、国債=借金=将来のツケで凌ぐことに。
「カンナ削り」のようにムダを省き続け、日本の深刻な財政状況と実際に「格闘」し、背筋が寒くなる思いを何回もしました。
<勇気を持って、あやまろう>
私は、民主党は、必死で予算のつけかえをしてきたけれど、マニフェストで約束したような財源までは出せなかったこと、見通しが甘かったことを、まず、国民のみなさんにお詫びしなければならないと考えています。
そして、その上で、こんな厳しい財政のやりくりの実態を、包み隠さず、国民の前に明らかにすべきだと思います。
今日に至るまで、さらに財源を見つけることができなかったのですから、小沢さんも含め同じ責任を負っている、一緒にお詫びしなければならない立場なのではないでしょうか。
<不毛な非難合戦のツケを負うのは国民だ>
「民主党は情けない」と非難されると、「こんなツケをつくったのは自民党や!」と言いたくなる時もあります。
しかし、不毛な非難合戦にエネルギーを使っている余裕は、もう、ありません。
「なぜ、もっと早くに手を打ってこなかったのか」と怒りの声も聞こえてきます。しかし、戦後の長い間、「ツケ回しの政治」を選挙で選択してきたのは国民のみなさんでもある、ということも事実なのです。
だからこそ、一緒に考えて欲しいのです。
今こそ、「先送りの政治」から決別しようという「志」の議員が、党派を超えて知恵と力を出し合わなければなりません。
私は、身をもって「日本の財政危機の深さ」を知ってしまった者として、苦渋の選択で、今回は「賛成」をしたのです。
<これからが勝負! 低所得者のセーフティネットを勝ち取る>
今回は、年金の不足分の補填、掛け金を支払う年月の短縮(25年から10年)、7000億円は子育て関係に使うなど、決まったこともありました。
しかし、先送りされた事項は、これからの参議院の審議と、法律が成立した後は、「社会保障改革国民会議」での議論に舞台を移します。
年金制度改革などは、政治に振り回されないように専門家などを中心にした会議で議論するやり方はスウェーデンをはじめ、海外でもとられています。国民が納得するバランスの取れた人選にしなければなりません。
私は、ここからが勝負だと思っています。
まず、消費税の前に、「高額所得者」や「多額の相続」、「株取引」への増税がなされるように力をつくします。民主党と公明党はこの点を強く主張したのですが、自民党が反発をしました。しかし、自民党だけが反対する訳にはいかなくなると思っています。
そして、「複数税率」や低所得者への増分に見合う還付などのセーフティネットを勝ち取りたいと思っています。
もともと私は野党時代から、「消費税議論から逃げるべきではない」と主張してきました。
しかし、その場合は北欧などの福祉国家のように、セーフティネットがセットで埋め込まれ、低所得者にやさしい税制にするべきだと主張してきました。「ぜいたく品は税率を高くして、食品などは低い税率を」というしくみです。
また今後日本が外国人観光客の誘致などを進めて内需拡大をめざす上で、外国人観光客の方々からもしっかり「税金」を払っていただこう、とも提案してきました。
そして、払われた消費税が年金の安定や子育て支援や格差対策などに、きっちり回されるようにチェックしていきます。
「反対」を声高に叫び、席を蹴ることもできます。
しかし私は、しんどくても議論にコミットし続け、低所得者への負担がこれ以上増えないように努力する道を選びました。
<立法府の責任で「脱原発基本法」を>
いま、私は、日々解決していかねばならない山積みの課題と格闘中です。
特に、現役世代を応援する「子育て支援」、「脱原発ロードマップ」作り、さらに自然エネルギーによる「グリーン経済」での日本再生に力を入れています。
特に、もう一つの「将来へのツケ」である「核のゴミ」問題にも同時に取り組まなければなりません。
本日、2025年までのできるだけ早い時期(ドイツは2022年まで)に脱原発を達成するためのロードマップを官房長官に届け、意見交換をしました。 
そして、私たちは、立法府にしかできない役割を果そうと「脱原発基本法案」をつくる活動をスタートします。
誰が政権をとってもこの社会が脱原発へと向かうしくみ=法律を、NPO法を作った経験を活かし、市民と一緒に議員立法で作り上げたいと考えています。
与党も野党も経験した私たちは、現実政治と向き合いながら、持続可能な未来をどう作るか、という大きな責任を担っています。
諦めずに、コツコツ仕事をしていきます。