つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

 「野田総理、官邸前の『声』を聞いてください」予算委員会で質問–「子育て世代の負担軽減を」「エネルギー政策は国民のコンセンサスを」

2012.7.9

国会ブログ

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2012年7月9日。野田総理大臣に対し、予算委員会で質問を行いました。
(動画は「衆議院TV」のビデオライブラリーから見ることができます。)
主な質問・主張は下記の通り。
・51名の離党をどう考えるのか。
・マニフェストの検証をして、できたことできなかったことを国民に示すべき。
・消費税では「逆進性への対処」「最高税率の引き上げ」を。子育て世代・現役世代の負担が増えたら本末転倒。負担軽減策を。
・国交副大臣時代にとりくんだ「サービス付高齢者向け住宅」が3年かけて目を出している。同様の「問題解決型経済」を具体的に示すべき。
・避難先での孤立死など「震災関連死」をなくさなくては。
・原発再稼働への抗議活動は「自分たちも決定に参加させて」という国民の「声」であって、「音」ではない。これをよく聞くべきではないか。
・原発事故調における「人災」についてどう思うか。安全神話をつくってきた体質を変えなくてはだめだ。
・エネルギー政策の「3つの選択肢」は、このなかから選ぶのか。また2030年までに原発依存率15%というが、2030年以降はどうするのか。増やすのか減らすのか、そのときに判断するのか。
・中長期のエネルギー政策を決める「国民的議論」は、あまりに時間・回数が少ないのではないか。最低47都道府県でやるべき。
・これまでは既得権益集団の意見を聞いて、富の配分を上手にするのが、政治だった。
「負担の配分」を決める政治の時代には、国民の合意のプロセスが大事なのだ。
●質疑要旨
<マニフェストの検証>
辻元 多くの方々が民主党を離党したことを、総理はどう受け止めているか。
私は、混乱を引き起こしたことを政権与党として国民にお詫びし、そこからの再スタートと考えるがいかがか。
野田総理 国民のみなさまに深くお詫びを申し上げなければならない。
辻元 国民とのコンセンサス作りが信頼回復の第一歩だ。
そのために、マニフェストの検証をして、何ができて、何が、なぜできなかったのかを示し包み隠さず説明する「マニフェストのたな卸し」が必要だ。
野田総理 できたことはいろいろあった。農家の戸別所得補償、高校無償化、NPOなどの新寄付税制など。しかし財源の見通しは甘かった。
辻元 たとえばダムは、83の事業をすべていったん止めて検証した。現在32の検証が終わって、10のダムを中止と判断。八ツ場は継続になってしまったじゃないか、と思われるのか、10も止めたのか、と思ってもらえるかは国民にゆだねるしかない。前政権では1つであっても止めるのは大変だった。
予算の組み替えも、公共事業は32%減、社会保障費は16%増、文教予算は9%増で、国交予算を文教予算がはじめて上回っている。「医療崩壊」といわれる現象にも歯止めがかかっているのだ。
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しかし子ども手当は満額出せなかった。財源の見通しが甘かったのだ。(自民党議員のやじに対し)前回消費税3%から5%にしたときから、借金は451億円も増えている。そのとき政権にいたのは誰かということを考えて議論すべき。非難合戦をしている場合じゃない。
<社会保障と税の一体改革>
辻元 消費税増税に対して、根強い不安や怒りの声がある。政権にその理解度が足りなかったらいい議論はできない。国民はどんな不安を持っていると考えるか。
野田総理 ①家計や経済を心配する声。デフレ脱却は取り組んでいく。②増税先行して社会保険改革をやらないのではという声。これから国民会議で議論していく。③増税の前にやることあるだろうという声。行政・政治改革をやりぬく。
辻元 国民の間にあるのは「生活や小さな商売はやっていけるのか」という不安。「やっぱり、お金持ちから負担してほしいよね」という不公平感。「本当に、社会保障に使ってくれるの?」という疑念。
今週から参議院に審議の場を移すが、総理自身は「逆進性」「最高税率の引き上げ」についてはしっかり対応しなければならないという考えか。「税」は社会連帯のツールなのだ。不公平感が残ると、社会はバラバラになってしまう。
野田総理 低所得者対策しっかりやりぬく。資産課税なども、来年度税制改正である。
辻元 きっちり対応する、と発信してほしい。
総理は「将来の子どもたちにツケを残さないために」とよくいうが、この消費税増税が最も苦しいのは、子育て世代ではないか。子育て、教育、介護。何人も育ち盛りの子どもがいると、さらに苦しい。「将来の子どもたちにツケを残さない」といいながら、現在の現役の子育て世代が苦しくなってしまうようでは、本末転倒。子育て世代を支えるさらなる政策の充実が必要だ。増税分で子育て支援をやるとはいっているが、それ以外でも次世代応援プランを大至急やるべき。
野田総理 人生前半の社会保障に光をあてる。社会を支えている世代に安心を。政策を総動員してやる。
辻元 そして、国民に負担をお願いするなら、同時に経済再生に力を入れて、収入をあげることを両輪に。
「問題解決型経済」を。3年前の国交副大臣時代に種をまいた「サービス付き高齢者向け住宅」は「中所得者向け」の賃貸住宅で、昨年10月からはじめて半年ちょっとで5万6千件。今、週1千戸ずつ増えている。
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芽が出るのに3年かかったが、これがあたっている。
入居時に高額の一時金が必要という高額所得者向けの住宅か、低所得者向け公営住宅が多く、その中間がほとんどない。どの層が困っているかとターゲットを絞って政策をたて、厚生労働省と一緒に制度設計した。一戸建てに住んでいる一人暮らしの高齢者が、子育てカップルに家を安く貸すという循環も起きている。このように問題を解決する力で新しい産業を生み出すことが大事だ。NPOも参入していければいいし、これからはゼロエネルギー住宅をやりたい。
目的を絞って、ピンポイントの「問題解決型プラン」で例えば10の問題をあげて、その解決方法をマーケットに結びつけるというのはどうか。
<震災復興問題>
辻元 孤立死など「震災関連死」が出ている。現在までに、震災関連で亡くなった方はな何人いるのか。
平野復興大臣 1632人。心のケアチームもできた。
辻元 昨年6月12日、大震災から三カ月目に仙台で行われた「孤立死防止のための会議」に出席したときからすでに大きな問題として予想されていた。復興には「社会の絆の復興」と「心の復興」が必要。「町や仕事」の復興は進捗状況が分かるが、「絆と心」の復興は見えないのだ。ひとりの命も落とすことがないよう対応してほしい。この人数を聞いてどう思うか。
野田総理 重く受け止める。心と絆の回復は大事な視点。
みなし仮設や6万人にのぼる福島からの県外避難者への対応が手薄なのではないか。とくに対応をお願いしたい。この問題を政府と行政だけで対応するのは難しい。NPOやボランティアの力を借りることが必要なのだ。
<原発事故とエネルギー問題>
辻元 毎週金曜日、官邸の回りを多くの方々が集まっている。これは原発に対するひとつの国民の気持ちのあらわれだ。総理は、この声を、どのように受け止めているのか。
野田総理 十分承知している。今後の選択は国民的議論を踏まえながら対応していく。
辻元 これは「自分たちも決定に参加させろ」「将来ビジョンを示すのが先。それから再稼働の順番だ」という声。
また国会の事故調査委員会の最終報告書が発表されたが、「人災」という部分についてはどのように考えるか。
野田総理 安全神話があった。規制と利用が一体の組織だった。
辻元 昨年秋に、政策提言型仕分けの仕分け人を務めたとき、経済産業省の官僚が「(除染や事故対応などの研究を行ってこなかったのは)原発が事故が起こって危ないと認めることになるから」と答弁した。こうした体質が問題なのだ。安全対策は目に見える一方、はる人は同じという構図がある。今後どうやって体質改善をしていくのか。
細野原発担当大臣 体質を変えるのは並大抵ではない。事業者もふくめ、思考停止してきた。原発はリスクがあると正面から認めてコントロールするものとしなくては。
辻元 どういう人がどういう体制を担うのか、そこを間違うと政権交代の意味が亡くなりかねない。そういう気持ちでやってもらいたい。
エネルギー政策の工程表が示されないことが、国民の間に疑念を呼んでいる。「エネルギー・環境会議」が提示した「三つの選択肢」があるが、この三つの中から選ぶという三択なのか。また2030年に原発依存率を15パーセントにするという案だが、それ以降はどうなるのか。
枝野経産大臣 集約するにあたって議論を整理しやすくするもので、機械的なものではない。2030年以降については、国民の議論をふまえて決めていく。
「2025年までのできるだけ早い時期に原発をゼロにする」というロードマップの第一次提言をまとめ、先日、藤村官房長官と枝野経産大臣に届けた。しっかり参考にしてほしい。
辻元 それでは私にもわからない。それで国民的議論ができるのか。
これから、国民的議論を展開するとされているが、わずか3週間で11回の会合を開くという。これはいかにも少ないのではないか。「社会保障と税の一体改革」は63回会合が開かれているが、これでも国民からは不十分と思われているのだ。47都道府県でやるのが当たり前ではないのか。
古川国家戦略担当大臣 わかりやすいデータベースもつくったので家族でも、各地でも議論してほしい。
辻元 国民の意見を参考にして決める、というのはコンセンサスではない。
今までは、既得権益集団の意見を聞いて、富の配分を上手にするのが、政治だった。
負担の配分の時代になっているのに、まだ、既得権益集団の方を向いている政治にNOを突きつけたのが、政権交代だった。「負担の配分」を決める政治の時代には、負担に対する国民のコンセンサスにもとづく納得感が必要になる。
民主党の原点「市民が主役」に戻って、政権交代の意義を忘れないようにしなければ。国民とともに悩み乗り越えるプロセスを共有したい、そう思って私は民主党に合流した。国民コンセンサスあっての政治生命。そこをふまえてほしい。