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活動ブログ

つじとも通信 VOL.19:ボチボチ社会へ。そのために全ての力を注ぎたい。

2010.9.5

巻頭言

つじとも通信 VOL.19
2010.9.5
ボチボチ社会へ。そのために全ての力を注ぎたい。
政党が政権をめざす時代へ
政権交代してちょうど一年が経ちました。この一年の政治のありようは「混乱」なのか「変化の過程」なのか。私は「政治の地殻変動」だと考えています。
まず、私は選挙による政権交代が初めて実現し、国民のみなさんの政治や政党への見方が変わったように思うのです。
自民党の長期政権に対し社会党を中心にした反対勢力としての野党が政権・与党の追及をしていくという政治のあり方が長く続いてきました。
しかし、政権交代を経た現在は、すべての政党が政権を目指す時代に入ったのではないでしょうか。野党に対しては政権・与党に反対するだけではなく、「政権を取ったらどうするのか」、自分たちの政策を主張するだけではなく「どのように実現するのか」「どのように政権を取るのか」道筋を示さない限り国民のみなさんの支持が得られないように変化したと思うのです。与野党固定化の時代は終わった—-そんな現実から目をそらすことはできない、と私は考えています。
そして政権を倒すには大きなエネルギーが必要ですが、政権を取った後、政権を運営していくにはそれ以上に凄まじい力と忍耐、そして発想力が必要だとも実感しました。
歴史的に見てもアパルトヘイトと闘ったマンデラさんや民主化運動の先頭に立った金大中さんが大統領になりましたが、統治する側に身を置いたら全く別の苦労をされたようです。
しかし、いくら何でも一年も経たないうちに鳩山政権が崩壊し、菅さんと小沢さんが民主党代表選挙で総理大臣の座を争っているというのは「混乱」では、とうんざりの人も多いのではないでしょうか。しかし、私はこの対決は必然かも知れないと思うのです。政権交代後、田中角栄元総理仕込みの小沢さん的な政権維持の仕方と、市民運動出身の菅さん的なやり方が混在していると私は感じていました。政権交代後には政権維持の方法を巡る激突は避けて通れなかったとも言えるのです。
だから「菅VS小沢」の政策や政治手法の議論は大いにやっていただきたい。それが日本の政治を前に進めることにつながるのではないかと思うからです。
権力は怖い、だから市民化が必要
このように私は、政権交代後の政治とどのように向き合えばよいか、国土交通副大臣として現場で働きながら考え続けてきました。
結局、政権離脱、参議院選挙を経て、社民党から離れる決断をしました。政権交代後の政治や政党のあり方の違いの溝を埋められなかったからです。
「社民党の辻元清美」としてご支援いただいたみなさんには本当に申し訳なく思うのですが、政治というものに向き合う自分の考えや気持ちに忠実にありたいとの一大決心です。
多くの方々からハガキ、手紙、メールなどで賛否両論のご意見をいただきました。私はすべて拝読しています。今後の進路を決めていくに当たって本当に参考になります。ありがとうございます。
「副大臣の椅子の座り心地がそんなによかったのか」というご意見も頂くので、いろんな角度から自分を検証してみるのですが、座り心地はよいどころか、「シンドかった」が正直なところです。いざ、自分たちでやってみろとなると百点満点は望めないし、八方から批判される立場に立つのですから。
「総理、総理」と鋭いツッコミをツジモトに期待していたのに、との声も聞こえてきます。しかし、私が追及をしてきたのは、自民党政権を倒し自分の目指す政策を実行するため。今回の政権は、いわば足許から自分たちで作り上げた政権です。政権を取った後は、矛盾と格闘し調整をかけ黙々と政策実現に邁進していました。万年野党で「総理、総理」と叫んでいる役割をいつまでも続けるつもりはありませんでした。政治家であるからには、いつかは自分が「総理、総理」と追及される立場に立つという覚悟も必要であると考えてもいます。
私は辞職・逮捕・裁判という経験もしました。権力の怖さも知った私が権力をもつ側に立ったわけですから、権力の行使は抑制的に、そして権力の市民化が必要だとも考えてきました。そのために政策決定の過程に市民が直接参加する回路をつくる試みにもチャレンジしてきました。
私はマニフェスト政治はカタログ政治になっているのではないかと懸念を持っています。選挙の時に各党の政策カタログを見比べて投票し、選挙後、「注文した商品が届かない」と国民は文句を言うだけ。政党もマニフェストに縛られて身動き取れなくなる。公約は必要なのですが、本来の市民参加の政治のあり方を考え直さなければならない時期ではないでしょうか。
リベラルのネットワークづくり
さて、「最近は何をしているの?」というご質問もいただきます。先週は韓国に行ってきました。旧知のユ・インチョン文化体育観光長官やシン・ガクス外交通商部第一次官との会談を行いました。
昨年、日・中・韓の観光大臣会合で「東アジアの観光交流の活性化」を決め、私は観光立国推進本部の事務局長として中国からの個人観光客のビザ取得要件緩和をまとめました。七月一日から施行、中国人渡航者が増えているとユ長官に報告したのですが、韓国では法務部の抵抗などで実現していないとのこと。日本でも法務省や警察庁は渋っていましたが、財政出動を伴わない経済対策としてまさしく政治の意思で決めました。日本で美味しいものを食べて友だちを作って帰ってもらう。自然な交流の積み重ねが東アジアの緊張を解きほぐす特効薬になるはずです。憲法九条の理念の体現になるし、内需の拡大にもなるし、雇用も生まれます。そう考えて力を入れて進めた政策です。理念をいかに具体化し、実現していくかが政治なのです。
シン・ガクス外交通商部第一次官は国連本部時代ピースボートとも接点があったようで外交でのNGOの重要性を的確に認識されていました。
超党派のNPO議員連盟の仕切り直しや年越し派遣村で活動し現在内閣参与の湯浅誠さんとセーフティーネット実現にむけての作戦を練ったりもしています。
日本の政治ではリベラル勢力の力が弱くなっていると感じる議員もたくさんいます。そんな人たちとの緩やかなネットワークづくりを始めたいと思っています。
みんなのために、仕事がしたい
私は今年で五〇歳、これからの一〇年間が一番政治家として仕事ができるときです。私の人生はみなさんに再生させてもらった人生。だからみんなのために、仕事をしたい。誰もが活き活き働いて、年とってもボチボチやれる。そんな社会に変えていくために、すべての力を注ぎたいのです。
これからも、みなさんといっしょに歩んでいきたい。思いを同じくしていただければと願っています。
辻元清美