つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

予算委員会で質問。東電社長「(虚偽報告に)上司の関与はない」!? 引き続き追及を!

2013.2.12

国会ブログ

いよいよ国会論戦がスタート。安倍総理は、民主党の決めた「2030年代原発ゼロ」を全面的に見直す、と明言しました。そして、自民党政権の復活と時を合わせるように、原発をめぐる不祥事や隠ぺい疑惑が噴出してきたのです。事故原因は本当に「想定外の津波」だったのか!?
<衆議院TVより>
2/7予算委員会質疑:安倍総理などに原発政策を質問
2/12予算委員会質疑:東電社長に虚偽報告問題を質問
衆議院HP 予算委員会会議録はこちら
●安倍政権が犯した「三つの失敗」
私は予算委員会で、まず安倍総理に「株価が上がっても、お金のある人の間でお金が動いているだけではないか。年金生活者、シングルマザー、被災地の方など、弱い立場の人たちによりそった政策に。福島の人たちが納得できる原発政策を目指すべき」と釘をさしました。
実は第一次安倍政権のときに、原発・エネルギー政策をめぐり大きな失敗を三つしています。一つは、今回の事故の原因となった「地震や津波による全電源喪失」という事態に対し、「万全だ」という答弁をしていること。指摘を真剣に受け取っていれば、別の対策が講じられていたはずです。
二つ目は、国際原子力機関(IAEA)から避難の防災基準を「半径8~10キロ圏内」から国際基準の「半径30キロ圏内」に変更すべきと提起されたのに検討すらせず、見直しを見送ったこと。
三つ目は、一時世界のトップだった太陽光パネルのシェアが、安倍政権に移るときに補助金が廃止されたことで、世界に大きく遅れをとったこと。安倍政権後に復活されたがすでに遅く、成長のチャンスを逃したといわれています。
その第一次安倍政権の経産大臣は、当時「原発は100%安全」と言い切っていた甘利経済財政担当大臣。甘利大臣に「何でしがらみができたのか?」と聞くと、「しがらみはなかった」とのこと。原子力ムラの存在をはっきり否定したことに、こちらがびっくり。「癒着していると言われている」という意識そのものがなかった?
原発は、理念ではなく現実の問題。私は政府資料をもとに、いまある原発をひとつひとつチェックしてみました。福島県にあるから事実上廃炉、設備が古くて莫大な修繕コストがかかるので再稼働は困難、活断層の可能性がある……と消去していくと、54基のうち残りはわずか13基。
原発一覧.pdf
民主党や公明党が主張しているように、新増設を認めず40年廃炉を厳格に守れば、その13基のうち2039年時点で動いている可能性があるものは2基だけ。これが、日本の原発が置かれた現状なのです。安倍総理は「民主党のいう2030年代原発ゼロは無責任」といいますが、政権を組む公明党と民主党の政策の明確な違いがどこかは答えられませんでした。
公明党のエネルギー政策.pdf
●東電の虚偽説明問題で、東電社長の謝罪と「全面協力」答弁を引き出す
そして同日、爆発した福島第一原発一号機の現地調査を求めた国会事故調査委員会に、東京電力が嘘の説明をして調査を断念させた、という疑いが発覚しました。当時の担当窓口であった企画部部長は「カバーで覆っているから真っ暗で入れない」と説明したのですが、実際にはカバーは光を通し、照明装置もついていたのです。私はさっそくこの問題を国会に提起し、週明け一二日の予算委員会で東京電力の廣瀬社長の参考人招致が決まりました。そして、私は三日間で二回、テレビ中継入りの予算委員会で質疑に立つことに。夜を徹して質問準備と調査が続く。
「真っ暗」と説明された映像.pdf
「虚偽説明」の経緯.pdf
これは、単に「言った言わない」の問題ではありません。この事件の背景には、二つの大きな問題があります。一つは、この国会事故調は、「日本及びその政府が、国民からの信頼、世界からの信頼を取り戻すために、(中略)事故の当事者や関係者から独立した調査を、国家の三権の一つである国会の下で行うために設置された」(国会事故調報告書より)調査機関であること。国会そして国民自身が愚弄されたということです。
もう一つは、「地震か津波か」という原発事故原因の確信となる調査が妨害されたこと。現在、原子力規制委員会のもとで行われている新しい安全基準づくり、すなわち再稼働に大きな影響を与えるのです。東電社長は謝罪はしたものの深い認識がなく、私が問い詰めると、「社外の専門家を入れて調査する。建屋内の再調査には全面的に協力する」と約束。
●組織的関与の有無は? 事故原因は「地震」なら安全基準はどうなるのか? 引き続き追及へ
問題は、今回の虚偽説明に、組織的な調査妨害であったかどうか。説明した企画部部長は、かつて福島第一原発一号機でも働いていて、国会事故調の窓口になるまでは柏崎刈羽原発の技術総括部長という職務にいた技術者。いわば原発の専門家であることは東電社長も認めました。そんな人が調査もせずに思い込みで、「カバーをかけたら真っ暗になる」という説明を国会の調査機関にした?
実は私の調査で、事故の三カ月後に東電自らが経済産業省に原子炉建屋カバーの図面を提出していたことがわかりました。経済産業省とやりとりした文書でも、建屋内で人が作業できることが前提となっており、照明はもちろんクーラーまで設置されています。技術者である担当者がそれを見誤るはずもないのですが、東電社長は「担当者は『カバーの中は暗い』と思い込んでいた」と答弁。
2011年6月23日、東京電力が経産省に報告した書類(経産省HP)
原子炉建屋カバー図.pdf
これは国会事故調からの調査依頼です。しかも、「地震による影響はなかった」という東電自身の調査結果を揺るがせかねない現地調査の依頼なので、ハイレベルの判断があったと考えるほうが当たり前。どこで検討したのか、という問いに廣瀬社長は「上司の関与はない」と明言。東京電力は、これほど大きな事案を担当窓口に任せていた? しかも設計思想に関わる問題を「思い込み」で「カン違い」してしまう人を担当者につけていた、ということは信じられません。繰り返し東電社長に「国民の代表が行くと言っていることを、担当者だけで、『暗いだろう』『間違えました』と。それが東京電力の、私たち国民の事故調査に対する姿勢だったという認識でいいのか」とただしました。「廣瀬社長、あなたなら自分が決済すべきと考えるか」と詰めると、「社長が関与すべき」と東電社長。これを認めさせたことは、今後の組織的関与を究明するためには大きいと思います。
私は、東電の信頼回復のためにも、独立した中立の調査機関を設けて調査すべき、と提案しました。そして、説明した担当者本人と、説明を受けた国会事故調の委員も参考人として呼ぶよう要請しました。
そして、田中原子力規制委員会委員長にも質問、「規制委員会が権限を行使して調査すべきでは」。委員長は険しい表情で、「国際的に恥ずかしくないような調査をしたい。線量が高い場所だが、できるだけ速やかに調査に取り組む」と答弁。
再調査の結果次第では、地震の影響の有無で、安全基準が変わり、再稼働にも大きな影響を与えます。これからの日本の原発政策が大きく揺るぎます。国際的な日本の信頼も失われかねません。「福島の被災者のみなさんが一番、事故の本当の原因を知りたいと思っている。そして、現場で命がけで働いた東電や関連会社の人たちのためにも真相究明を」と訴え、質問を締めくくりました。
今後もこの問題は追及していきます。