つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

安倍総理、特定秘密保護法案をなぜ急ぐのか━━「自分は信念を貫いている」と陶酔しているのではないか?

2013.12.5

国会ブログ

国会の外を数千人の人たちが包囲しています。
「強行採決反対」の怒りの声がこだましています。
そして、ついに女優の吉永小百合さんや大竹しのぶさん、映画監督の宮崎駿さんたちも反対の声を上げました。ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんをはじめ、1週間に2000人の学者たちが反対を表明しました。
そんな声を振り切って、12月5日、16時5分、参議院の国家安全保障特別委員会で「特定秘密保護法案」が<凶行>採決されました。
法案の中身も、そして国民の声を切り捨て強行採決を繰り返す手法も「ファシズム的」。私は、ゾッとしました。歴史家でノンフィクション作家の保阪正康さんの「東條英機政権でもこんなことはしなかった」という言葉が頭をよぎります。保坂さんは領土問題に言及したご著書も多数出されている保守派の論客。その保阪さんをしてもそう断言させるという事実。「右」と言われている漫画家の小林よしのりさんも「保守だから賛成なんて言ってる場合じゃない」と反対を表明。
「何が秘密か、それは秘密です」「秘密をいつ解除するか言えません」「秘密を洩らした官僚だけでなく、知ろうとしたジャーナリストや市民までも懲役刑にします」「特定秘密取扱者は官僚も民間人も、親、兄弟、配偶者、配偶者の親、子どもまでも身元調査します」・・・。国連人権高等弁務官からも「表現の自由に対する適切な保護措置を設けず、法整備を急ぐべきではない。秘密の定義が十分明快ではない。問題が多い」と懸念を表明されたのです。修正協議に応じた、維新の会やみんなの党も、今頃、採決を退席するのだったら、なぜ、内容に賛成したのか。無責任です。
衆議院では、福島での公聴会で公述人が全員反対・慎重審議を訴えたのに、その翌日に強行採決。参議院では、12月3日夕方に翌日の埼玉での地方公聴会を与党の強行採決で決定したのです。これでは、国民への傍聴の周知も、公述人の準備もできません。これに対して、「絶叫デモはテロと変わらぬ」とブログに書いた自民党の石破幹事長は「公聴会に対して野党が非協力的なのは、国民の声を聞こうとしていない」と発言。何をいっているのだ。私は激怒しました。国民への傍聴の告知もできない<公聴会>なんて前代未聞です。
なぜ、そんなに急ぐのか。
「反対の声が広がる前に、みんながこの法案の危険性に気付く前に、採決してしまえ」ということでしょう。主権者をないがしろにしています。
祖父の岸信介元総理は「安保反対」と国会を包囲されても信念を貫いたと安倍総理は「自慢」しているようだし、大叔父の佐藤栄作元総理は「沖縄密約」を結んだ張本人。どうやら、安倍総理は、「自分は信念を貫いている」と陶酔しているように見えます。これが、安倍総理の本質です。
そして、国会の規範を無視し、「戦後民主主義」というこの国の基本的な枠組みをぶち壊して、「戦前礼賛」のご自分のイデオロギーで日本を塗り変えようとしているのです。
また、安倍政権はこのタイミングで5兆5000億円の経済対策を閣議決定しました。中身は、東京オリンピックの開催に伴うインフラ整備に1兆4000億円など。これで消費税による経済の落ち込みを防ぎ、雇用を25万人増やすと豪語しています。全部、借金です。
年末に決定されるエネルギー基本計画では、原発を「重要なベース電源」と盛り込む方針を決め、私たちが決めた「原発ゼロ」を転換させようとしています。そして、金儲けのためなら総理大臣自らが「原発」を海外に売りまくるというのです。
安倍総理といい、石破幹事長といい、「多数をとれば何をやっても黙っていろ」と言わんばかり。「反対」と声を上げたら、「テロと同じ」とレッテルをはる。以前の自民党より、「横暴」になっています。
「決められる政治」と多くの人が安倍総理と自民党に喝采を送りました。しかし、問題は「何を決めるか」ではないですか。
「知る権利や報道の自由を奪うことを決めてくれ」「借金がどんどん増えても今儲かる経済を決めてくれ」「原発の再稼働をドンドン決めてくれ」・・・。
そんなことを決める。そんな「決める政治」を、みなさんは望んで自民党を圧勝させたのでしょうか。
子どもの頃、祖父に「なぜ、戦争に反対しなかったの?」と尋ねたら、「知らないうちに、反対が言えなくなった」と聞きました。安倍総理は、さらに、集団的自衛権の行使や憲法九条改正に執念を燃やしています。特定秘密で繰り返される強行採決は初めの一歩です。
今、日本が過去の過ちを繰り返しかねない、そんな危機感を持っています。
「子どもや孫の世代に恥じない政治」を、と肝に銘じて、私は安倍政権と対決しています。