昨年の12月16日の総選挙からちょうど一年。あれから、圧倒的多数を取った安倍晋三総理は「日本を取り戻す」と叫び、日本を「安倍カラー」に染め上げようとしています。それも、前回1年で倒された安倍政権での「反省」のもと、前よりも「狡猾」に「したたかに」。
●「三本の矢」が被災地復興を後退させる
さて、金融緩和と財政出動と原発輸出による「三本の矢」は、早くもほころびが見え始めています。特に、借金頼みの財政出動の弊害は顕著です。
この1年間で10兆円という公共事業費を全国にばら撒いた結果、東北の被災地復興が遅れる結果になっています。東北に仕事を取りに行くよりも、各業者の地元でも公共事業が溢れている。だから、資材も人も重機もトラックも、東北から全国に逆流し始めているのです。福島の除染や廃炉処理の作業員までもが深刻な人手不足に陥る可能性が大きくなっています。
東京オリンピックでは、7年後までにスタジアムや選手村や道路整備など大型公共事業の大ラッシュになり、人も金も東京にさらに集中していくでしょう。さらに、カジノまで解禁しようとしているのです。
「東北の復興なくして日本の再生なし」というスローガンとは正反対に「東京栄えて地方切り捨て」に歯車は回り始めています。
●バラまきのための消費増税にすり替え
「社会保障プログラム法案」も強行採決されました。安倍政権は、難病患者の負担を増やし、要介護者の一部切り捨てに踏み切りました。介護のために離職する人が増えれば、経済の再生に悪影響が出てきます。
高校の授業料無償化にも所得制限を設けました。ある程度の所得があっても何人もの子どもの教育費を負担している家庭は大変になります。
消費税増税分はすべて社会保障充実のために充当されるはずでした。ところが、難病や高齢者など弱い立場の人たちの切り捨て、一方、公共事業費をガンガン増やす、そのために消費税増税があったのではありません。1000兆円もの借金を作った自民党の「先祖がえり」です。
●小泉さんとの共闘も?!
三本目の矢の成長戦略で、総理大臣が原発を世界に売り歩いています。自分の国の原発事故で汚染水を海に流し続けているのに、「原発を売って儲かればいい」では、日本という国の品格も倫理も問われます。
今や小泉純一郎元総理までもが、最後のご奉公と言わんばかりに「脱原発」を表明しました。かつて、小泉さんは、私の「天敵」と言われましたが、小泉さんがやっと私に近づいてきたようです。この「脱原発」の流れを加速させていかなければなりません。
●政治の潮目は必ず変わる!
次に、安倍総理は集団的自衛権の行使のために憲法解釈の変更を強行してくるでしょう。手始めに、安倍総理は「憲法の番人」=内閣法制局長官を、自分の意のままに動く外務官僚に変えて、憲法をなし崩しにしようとしています。
8月の臨時国会でも、私は質問主意書を出して文書で政府の見解を問いました。政府は、従来の憲法解釈を踏襲するとした一方、安倍総理の私的な懇談会での議論を踏まえると答弁し、各紙が報じました。歴代政府が積み重ねた憲法解釈を、法的根拠のない私的な集まりのお喋りで覆させるわけにはいきません。
さらに、改憲に執念を燃やし続けている安倍総理は、「次なる一手」を打ってくるでしょう。通常国会では、「国家安全保障基本法案」を提出してくる可能性も高いのです。
今後、日本維新の会やみんなの党は特定秘密保護法案の可決に手を貸したように、煎じ詰めれば安倍総理と同じ思想で「アベ応援団」となるはず。
2014年は、激しい「政治闘争」の年になります。
安倍総理の「戦後レジームからの脱却」という野望を打ち砕かなければなりません。
そのために、最大野党の民主党が対峙する姿勢をはっきり打ち出し、同じような理念の議員や市民と党派や立場を超えて連携を強めていきたいと思います。私は、超党派議員連盟「立憲フォーラム」を束ねる幹事長として国会議論の中心的役割を果たしています。民主党内の部会でも、夜討ち朝駆けで論陣を張り、民主党は一致して「特定秘密保護法・反対」で固まりました。
「立憲・リベラル・ハト」、「共生・多様性・非暴力」、旗をしっかり立てます。
「驕れる者久しからず」、政治の潮目は必ず変わります。
私は、負けません。
辻元清美