つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

<更新>予算委員会質疑:日本の法律の数もいえない小松内閣法制局長官、「(憲法解釈の変更は)私の責任において判断する」と答弁。いったん変えた憲法解釈を次の総理が元に戻すと言えば、それに従うとも明言。

2014.2.26

国会ブログ

本日、予算委員会第一分科会で、小松内閣法制局長官・菅官房長官と、集団的自衛権の行使について議論しました。その結果、以下の答弁があり、新たな事実が判明しました。
・集団的自衛権の行使についての憲法解釈の変更について、内閣法制局内で内々に検討が進められている。しかし安保法制懇でトータルに検討中であるため、それを待たないと法制局としての見解を示さない。したがって、集団的自衛権の行使の憲法解釈については、現時点で法制局は自らのものさしを持っていないことになる。
・憲法解釈の範囲を超えるか超えないかを誰が判断するのか、については「最終的には私の責任において判断する」と小松長官が発言。
・集団的自衛権の行使を「認める」と閣議決定して憲法解釈を変えた場合、次に総理大臣が変わってまた解釈を元に戻すことは可能である、と小松長官が発言。したがって、政権が変わるたびに閣議決定で集団的自衛権の行使についての憲法解釈は変更できるという認識である。これでは社会は安定しない。
・内閣法制局長官に任命された理由は、「総理と考え方が同じ」だからである、と小松長官が発言。
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内閣法制局長官は「憲法解釈」ばかりが注目されているが、日常業務として膨大な量の法制執務を行っている。
そこで最低限の知識として、現在日本に法令は何本あるか、と小松長官に問うた。すると小松長官は「質問通告がなかったので答えられない」と答弁。これには驚いた。だいたいでいいですから、と聞くと、これも答えられない。
正解は、法律・政令どちらも約2000本。これだけの数の法令を扱い、現行法令のなかで矛盾のないようにするのが内閣法制局長官の職責だ、と言おうとしたのだが・・・。
これまでは、最低でも15年ほど厳しい実務を通して訓練をつんだ「省庁の法律エリート」が法制局長官になってきた。
小松長官は、「就任した8月以来勉強している」と答弁。それでつとまる仕事ではないのではないか、と問うと「私は内閣法制局を統括する立場。最終的には責任を負うということ。法制局の仕事は技術的な仕事だが、他の省庁も専門的なことはある。大臣が専門性の高い部局と同じ精度を求められるなら、大臣は必要ない。法制局も同じ」つまり、法制局のトップは細かいことをわかる必要はない、と開き直った。これが法治国家のトップである日本の内閣法制局長官の認識か。まるで自分は大臣かのような発言だが、大臣は政治判断をするから、省庁の細かい仕事まで知っている必要はないかもしれない。しかし、内閣法制局長官の判断が重いのは、日本の法体系を体現する存在であるからだ。
集団的自衛権の行使について、これが憲法解釈の範囲を超えるか超えないかを誰が判断するのか、と問うと、「最終的には私の責任において判断する」と長官。でも、法令の数もご存じなく、法令執務は部下にまかせていると胸をはる人に、もっとも重要な憲法解釈を安心して任せられるはずがない。
肝心の集団的自衛権の行使についても、驚くべき答弁が続く。
例えばアフガン戦争のケースで、NATO軍が集団的自衛権を行使して行った場合に、自衛隊がそこまでいくのは憲法解釈の変更における限界を超えるか? など具体的な質問をすると、「現在安保法制懇で検討段階にあるため、意見を申し上げる立場にない」「法制局でも内々で議論しているが、まだ申し上げられない」とのこと。つまり、何が憲法解釈の変更における限界かという見解を、現在の法制局はもっていないことになるのではないか。安倍さんがなんというかを待たないと、ひとことも言えないことになる。
そして、もしも集団的自衛権の行使を「認める」と閣議決定して憲法解釈を変えた場合、次に総理大臣が変わってまた解釈を元に戻すというのであれば、あなたは内閣法制局長官として従う(元に戻す)という見解か。内閣が変わるたびにころころ憲法解釈が変わる国というのは、信頼もされないし、社会も政治も安定しないのではないか、と問うた。
「法制局長官は特別職の公務員なので、まったく反対の考えの総理大臣が出てきたときに、私がそのままこの職にとどまっているかどうかは悲観的に考えざるを得ないが」と前置きした上で、「不可能ということはない」と答弁。一国の形を左右する超重大な憲法解釈が、政権が変わるたびにコロコロ変えられることを認めてしまった。それでは内閣法制局は操り人形ではないか。
そして小松長官の答弁に従えば、「総理と考え方が同じ」だから現在の職に就いていることになる。そもそも内閣法制局長官の仕事は、内閣がやろうとしていることに対して、それが法律上できるかできないかを示すことではなかったのか。
今日は2月26日。2・26事件が起きた日だ。集団的自衛権の憲法解釈変更「専用」の内閣法制局長官を据えたということは、法治国家である立憲主義の国家であるこの日本で、武力を使わないクーデターに等しいのではないか、と私は菅官房長官に問うて質疑を終えた。引き続き、小松長官とは議論をしていく。