つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

衆議院憲法審査会がはじまりました

2016.11.17

国会ブログ

今日、約1年半ぶりに衆議院憲法審査会がはじまりました。
傍聴席には市民の方々が大勢駆けつけ、初回から立ち見状態。いよいよ正念場を迎えている憲法改正議論のゆくえをしっかりと監視しようという強い意志がみなぎっていました。

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自由討議では、長年この委員会で議論を戦わせてきた中谷元議員や太田昭宏議員が「この場を、政権と切り離してフラットな議論ができる場に」と述べていました。

私は以下のような内容の意見を述べました。

<憲法審査会・発言要旨>             辻元清美
2016年11月17日
●①「憲法公布70にあたり日本国憲法の意義」②「制定経緯程と憲法論議のありかた」について。

●日本国憲法が果たした役割について。
最近、世界中、そして日本で女性の政治リーダーの活動が注目を集めている。
戦前の日本では女性の基本的人権は実質的に制約されてきた。それまでは、女性に投票権すら与えられていなかった。政治は男性のみが投票し男性議員のみによって司られてきた。もし戦前だったら、私はここにいない。

●戦後、日本国憲法が誕生し憲法24条で「個人の尊厳」「両性の本質的平等」が謳われ、このおかげで、女性も自由に発言し活動が出来るようになった。

●憲法9条について。
安倍総理は昨年の安保法制審議の際、「安保法制制定時も戦争に巻き込まれるという批判があったが、現在まで戦争に巻き込まれてこなかったではないか」という認識を示したが、「戦後、戦争に巻き込まれなったのは、憲法九条で集団的自衛権を認めてこなかったから」ではないか。
●集団的自衛権が認められていたら「朝鮮戦争」や「ベトナム戦争」などに参戦していた可能性が高い。
●戦後、71年間、「戦争によって、一人も殺されず、そして殺さなかった」のは憲法9条の歯止めの役割が大きい。

●戦前は言論の自由も制限されていた。

●安倍総理は、日本を「美しい国」にしたいと訴えた。
戦争で300万人以上もの犠牲を出し、言論の自由はなく、男性だけでの政治、女性には婚姻の自由も制限されていた戦前の日本は、とうてい「美しい国」とはいえない。
●戦後、日本国憲法が制定され、男女平等、言論の自由、そして、71年間、銃弾を一発も撃たなかった戦後の日本の方が、はるかに「美しい国」になった。
●日本国憲法が果たした役割は大きい。

●制定過程について。
そろそろ、「押し付け憲法論」という「敗戦コンプレックス」から「思考停止」している「不毛な憲法論議」からの脱却が必要。戦後、すぐに「自主憲法論」を唱えた心情はわからないでもない。
●しかし、時代は変わった。
ニュートラルな憲法論議に各党が足並みをそろえる必要。

●2000年に「憲法調査会」が立ち上がって17年。世界各地の憲法改正の調査も行った。
●憲法改正には「3つの原則」。
①主権在民、「ここを改正してほしい」と多数の声が上がっているかどうか。国会では国民の多数が改正の必要性を感じている論点があるかどうか、この審査会ではまず、国民の声に耳をしっかり傾けることが重要。その上で議論をすること。
②法律で対応できることは法律でまず対応する。
③最後に、国論を二分するような論点は、憲法改正にはなじまない。
政治が不安定になるから。

●例えば、2011年、5年前、イギリスでは「首相解散権の大幅制限」の部分改正が行われた。
●イタリアでは2012年、「均衡予算原則の導入」の改正が行われた。

●丸ごと憲法を書き換える案を出す、世界を見渡しても、そんな国も政党もない。そちらの方が異常。
●政党が自分たちのイデオロギーや考えで「改憲案」をまとめたり、自分たちの考えを国民に押し付ける、これは、立憲主義国の憲法改正の常道を逸脱した「押し付け憲法」ならぬ「押し付け憲法改正」となる。

●反対のための反対というフレーズをよく使うが、改正のための改正になってはならない。

●9月26日の所信表明演説で、憲法改正案について「改憲案を国民に提示するのは、私たち国会議員の責任であります」と発言したが、私たちの責任は、まず、国民から憲法改正の具体的な論点が上がっているのか、国民の声に耳を傾けること。

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私が
“安倍総理は、日本を「美しい国」にしたいと訴えてきましたが、戦争で300万人以上もの犠牲を出し、言論の自由はなく、男性だけでの政治、女性には婚姻の自由も制限されていた戦前の日本は、とうてい「美しい国」とはいえません”と述べたときです。
与党側の議員から「そんなことないよ!」というヤジが飛びました。
命を、人権を、自由を、すべてないがしろにする国にしたいと、本当に思っているようです。

また、“そろそろ「押し付け憲法論」という「敗戦コンプレックス」から「思考停止」している「不毛な憲法論議」からの脱却が必要”と発言した際も、「はいはいはい」という見下したようなヤジを飛ばしながら、隣同士でせせら笑っているのです。

このような感覚で、国の根幹たる憲法の議論の場に臨んでいること自体が、国会や国民を侮辱していると思わざるを得ません。

このような感覚の人たちの都合の良いように憲法を変えさせることは断じてできません。
健全な憲法議論をおこなうべく、頑張っていきます。

 

なお、本審査会に先立ち、与野党の幹事会が開かれました。その席で、衆議院外務委員会における足立康史議員(維新)の発言が問題になりました。

→「(先月27日の衆議院総務委員会で予定されていた質問を放棄した件について)なんで幹事懇が延びたかというと、辻元さんと武正さんの責任ですよ。辻元清美幹事がわあわあわあわあ言うもんだから憲法審査会の幹事懇が延びたんですよ。だから、全ての原因は、民進党と辻元清美議員にあるんですよ」(2016年11月2日)

幹事懇では、各党がそれぞれの立場で議論しており、私だけが主張しているという事実はありません。こうした発言を、しかも他の委員会で行うことは厳に慎むべき、と言われて足立議員は、「その件に関しては反省してお詫びします」と私に対して謝罪しました。

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当日の配布資料はこちらからご覧になれます。

「日本国憲法の制定過程」に関する資料