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朝日新聞にNPO法成立20周年の記事が掲載されました

2018.3.20

お知らせ

3月19日付の朝日新聞朝刊にNPO法成立20年周年の記事が掲載されました。

【よく誤解されるが…経産相の答弁に「全NPOが泣いた」】

20年前、NPO法(特定非営利活動促進法)は市民の要望を受けて議員立法で成立し、「市民立法」とも呼ばれた。いまや政治や経済、介護、地域づくりなど様々な分野でNPOの存在感が高まってきた。NPOとどう向き合うのか、政治が問われている。

NPO関係者の間で最近話題になった国会質疑がある。

1月31日、参院予算委員会。山本香苗氏(公明)が、中小企業のIT投資などを支援する経済産業省のものづくり補助金について「NPO法人や一般社団法人、財団法人など非営利法人がなぜ対象外になっているのか」と質問した。

答弁に立った世耕弘成経産相は「設備投資の促進などを通じて収益力向上を図る目的なので、非営利活動を前提とする法人は対象としない……、という答弁を読んでくださいと(事務方から)レクを受けたが、これだと誤解を与えると思う」と応じ、こう続けた。

「よく誤解されるが、NPOも利益を上げて、雇用を広げたり投資してサービスのレベルを上げたりしてまったく構わない。障害児者を雇用してものづくりに取り組むNPOもあり、補助金の対象にできないか、よく検討してみたい」

この質疑は、病児保育などを手がけるNPO「フローレンス」の駒崎弘樹代表理事が「全NPOが泣いた!」と題して「法人格が違うというどうでも良い理由で隔てられていた機会の壁を、打ち破れるかもしれない」などとブログやSNSで紹介。1万8千件の「いいね!」がついた。

世耕氏は取材に、「かつては(政治家も)NPOを全然分かっていなかった。20年の間に政治家の世代交代が進み、NPOの存在感が高まった」と指摘する。

一方、山本氏はこう指摘する。「NPOはまだいろんな支援策から漏れたまま。NPOの活動をまだボランティアや奉仕と捉えている人もいる。行政の連携パートナーと位置づけていくにも正確な理解が必要だ」

「官」の中に「民」の人 新しい公共の考え方実践
NPO法の成立後、情報公開法や地方分権一括法などが相次いで成立し、市民の活動の場が広がった。2007年には「社会起業家」という言葉も話題に。そうしたなか、NPOが政治の「外」から「内」に入ったこともある。

09年秋。行政以外の組織に公的な活動を担ってもらう「新しい公共」を掲げていた民主党の鳩山由紀夫政権は、政治家に学生インターンを派遣するNPO「ドットジェイピー」の佐藤大吾理事長や「フローレンス」の駒崎氏らを非常勤国家公務員に任用した。

官房副長官だった松井孝治・慶応大教授は「『官』の中に『民』の人に入ってもらい、新しい公共の考え方を実践しようと思った」。一方、佐藤氏は「官僚が審議会の委員に発言などを振り付けることがあるように、NPOが政策を振り付ける側にならないと」と任用当時を振り返る。

鳩山首相から「新しい公共の目玉政策は何か」と尋ねられると、佐藤氏は「寄付税制です」と答えたという。NPOにとっては活動資金をいかに確保するかが課題だった。寄付が盛んな欧米と違い日本には寄付文化がないという指摘もあったが、「文化のせいにするのではなく、米英のように寄付額の一部を所得税などから還付する税額控除を拡充するべきだ」と訴えた。

税額控除の拡充を盛り込んだ寄付税制をいかにして実現するか。首相を交えた打ち合わせで財務省幹部からアイデアが出てきたという。「12月の税制改正大綱にすぐに盛り込むのは難しい。会議体を作って回している間に制度設計をしてはどうでしょうか」

提案を踏まえて「新しい公共」円卓会議が発足。佐藤氏や駒崎氏らはイギリスを視察して制度設計を手伝った。最終的に寄付額の半分近くが納めた税金から返ってくる寄付税制ができあがったのは菅直人政権になってからだが、「首相がリーダーシップを発揮すると大きいと実感した」と佐藤氏は振り返る。

当時野党だった自民党議員らの根回しを担った駒崎氏はいま、障害児の保育や赤ちゃんの養子縁組といった次なる社会課題に、与野党の議員とともに取り組む。「鳩山政権は短命に終わり、一度は政治に絶望したけれど、権力の中枢を間近にみて政策はどう決まるのかを学び、人脈が広がったことは今も生きている」

協力してくれる政治家と与野党問わず組む時代
12年に再び政権交代が起きると「揺り戻し」も出てきた。

「新しくいきなり『新しい公共』という考え方が出てきた。そもそも日本には地域、地域に助け合いの組織があった」

安倍晋三首相は13年の衆院予算委員会で消防団を例にこう「違和感」を口にした。年末の与党税制改正大綱では「寄付税制」について、「対象範囲などを主要国の制度も参考に検討」と一時縮小も検討された。

一方で、NPOとの関わりを深めようという動きは続く。超党派のNPO議連はいま、中谷元氏(自民党)と辻元清美氏(立憲民主党)の共同代表が切り盛り。自民のNPO特別委員会は一時途絶えていたNPOとの対話を再開した。

立憲はNPOや市民団体と政策づくりなどに取り組む「つながる本部」を立ち上げた。

昨年、神奈川県座間市のアパートで9人の遺体が見つかった事件が起きた際では、自殺問題や若者支援などに取り組むNPO関係者の協力を得て、再発防止に向けた提言をまとめた。福山哲郎幹事長は今月15日、NPO代表者らを集めた会合で呼びかけた。「立憲民主党を応援してというせこいことは言わない。政党とコミュニケーションして何を具現化していくか、新しい挑戦をしていきたい」

次なる20年は――。佐藤氏はこう指摘する。「NPOに理解がある政治家は与野党を問わず増えた。NPO側も自分たちのイシューを通すために協力してくれる政治家なら、与野党問わず組む時代だ」