つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2005年10月27日 日本国憲法調査特別委員会

2005.10.27

議事録

163-衆-日本国憲法に関する調査…-5号 平成17年10月27日

辻元委員

社民党の辻元清美です。

きょうはどうもありがとうございました。

きょうのお話は非常に興味深く伺いまして、特に、主権者の立場に立って、先ほどから話が出ております民意の反映をどのような形で国民投票制度の中に反映するのがいいのかということを、多分、研究だけではなくいろいろな住民投票などの現場の活動にも携わってこられて、その中からの御意見だったので、非常に厚みを持った御意見だったなというふうに考えました。

特に、問題点から、その問題点を克服するためにどうすればいいのか、そして、その問題点を突き詰めて考えていくことによってそこからよりよい制度やよりよい仕組みを提起していこうというような御発想というのは、非常に参考になったと思います。

そこで、四つ、問題の抑制という観点から、そして乱用を抑制するフィルターというような御発言もありましたけれども、その部分について、もう少し詳しくまたは深く説明していただきたいところを質問させていただきたいと思います。

まず、不真正な多数という御発言がありまして、先ほどから投票率の問題は出ております。もう一つ、過半数の定義についてどのようにお考えなのかということをお聞きしたいと思います。

福井参考人

憲法における過半数の定義ということだと解釈いたしますが、国民投票の諸外国の運用という観点から見ますと、現実には、例えば憲法改正であるとかあるいはアメリカのイニシアチブとかというのは、投票率にかかわらず実際に効力を持つことになってしまいます。それは非常に問題点になっているわけなんですが、逆に、一つの考え方としては、棄権してしまうのも、それも一つの表現の仕方かなというような評価もあるのかなとは思います。

私は、それは必ずしもそうだとは思いませんが、例えばイタリアの運用などは五〇%ルールをつけておりますので、どちらかというと政府が逆に五〇%を切るように切るようにというような動かし方をしている部分もございます。例えば祝日に国民投票をやったりとかバカンスの近くにやったりとかということをしていますので、そういうこともあるのかなというふうに考えます。

辻元委員

ありがとうございます。

次に二つ目に、マイノリティーの人権侵害について、裁判との関係などで御発言があったんですけれども、具体的にどういうことが問題になった、そのような事例があれば御紹介ください。

福井参考人

アメリカの州の例なんでございますが、これは有名な判決に、コロラド州で、同性愛者の方たちの基本的な社会保障でありますとかそういう権原を実質的に否定してしまうような住民投票が成立したことがございました。もちろんそれについては、いろいろ議論があったんですが、最終的にはアメリカ最高裁において、これはもう幾ら何でも憲法違反であるという形でなったわけでございます。住民投票が、結局、住民の総意であるということで最終的に差別してしまうという例が、例えば黒人に対する差別であるとかという例も幾つか見られております。

辻元委員

そしてもう一点、問題の抑制というところで、先ほどからも出ておりますけれども、提案する側の人気と直結するというような御指摘がありました。これを回避するという御指摘なんですけれども、回避する方法というのはあるんですかね。具体的にそういう仕組みを国民投票の中に組み入れているというような事例はあるんでしょうか。