つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2005年10月20日 日本国憲法調査特別委員会

2005.10.20

議事録

163-衆-日本国憲法に関する調査…-4号 平成17年10月20日

辻元委員

社民党の辻元清美です。

きょうはお越しいただきまして、どうもありがとうございました。幾つかの点をお聞きしたいと思います。

まず最初に、吉岡参考人の方から、外国人の運動への参加、議論への参加というお話が出ました。この委員会でも、外国人、特に日本の場合は、アジアからの外国人で長く日本に住んでいらっしゃる方々もいます。そういう中で、外国人がどのように運動に参加できるのか、または投票にどういうふうに影響を及ぼせるのかということは、議論の一つの、意見がちょっと分かれていたところなんですね。もう少しそこを詳しくお考えをお聞きしたいことと、もう一つ、今井参考人には、それでは、諸外国、例えばフランスなどでも在仏外国人はたくさんいると思うんですけれども、移民の方々もいらっしゃると思います。外国での取り扱いがどのようになっているのかということを教えていただきたいと思います。

吉岡参考人

既に、ある意味では、外国では国民投票運動は始まっているんじゃないかというふうに思われることがありますね。例えば、アメリカ政府の高官が、九条を変えないと国連の安保理の常任理事国になれないよといった発言をしているというのは、これはもうある意味では、もしこの制度ができれば国民投票運動に入るだろうと思うんですね。恐らく、憲法を変える変えないということが具体的になってきたときに、そういう発言というのは相次ぐだろうと思うんですね。そういう各国の反応を見るということも私は大事だというふうに思う。しかし、今辻元委員がおっしゃったように、日本に長い間暮らしている在日のアジア人もたくさんいます。その人たちの意見も聞かなくちゃいけない。

それから、私は、今ある現行の日本国憲法というものが持っていた、最初に申し上げましたけれども、歴史性というものがあって、この憲法があるがゆえに日本はサンフランシスコ講和条約の後にもう一回国際社会に復帰できたというか、こういう憲法を持つことによって、ようやく我々は再び国際社会に入っていくことができたと思うんですね。そういう意味では、この運動の中でも、朝鮮半島であるとか、中国であるとか、東南アジアであるとかいう人たちの意見を聞く機会をこの市民社会の側からつくっていかなくちゃいけないだろうというふうに思っているんですね。

それは、現地に行って話を聞くこともあるでしょうし、同時に、どこからか、アメリカからでもアジアからでもヨーロッパからでもお呼びして、この戦後六十年間というものをどう見るのかとか、この戦後史をどう見るのかとか、そして、この憲法が変わることによって日本の国際社会における役割がどう変わっていくのかとか、それによって繁栄して、さらに国際社会それ自体がどう変わっていくのかとかいう議論をやはりきちんとしなければ、私たちの判断ができない。変えるのか変えないのか、何を変えるのか、どう変えるのかについても判断ができない。それは外国人だからやっちゃいけませんよというふうにして排除することは大きな間違いになるというふうに思っています。

今井参考人

ワールドカップのフランスのナショナルチームを見てもオリンピックを見てもわかるように、私は実際に投票所に行って驚いたんですけれども、さまざまな皮膚の色をした人、さまざまな民族の人たちが投票所に来ているわけですね。ワールドカップなんかのフランスのナショナルチームもそうですよね。しかし、その人たちは全部フランス国籍を持っているわけなんですね。

スイスもフランスも、基本的に、国民投票の有権者は十八歳以上の国籍保有者に限られています。それで、在住外国人に投票権はありません。事前に選挙人登録をした人にだけ与えられているというのが原則です。日本人の中にも何人か投票権を持っている人がいて、投票していますが、その人たちは選挙人登録をしている。つまり、現地で結婚をされたり、長らく住んでいて国籍を保有されたり、そういう方々に限られているということです。

一つやはり考えなければいけないのは、フランスにおける国籍を取得する厳しさと日本において国籍を取得する厳しさがかなり違うということがありますよね。もう一つは、特に私は大阪市生野区に生まれて生野区に育っているわけですけれども、住民の三分の一が在日のコリアンです。その中の一世については、特殊な事情で日本に来たり、あるいは連れてこられたりした人がいます。そういう人たちについてどうするかというようなことについては、国会で議論していただけたらというふうに思っております。

辻元委員

もう一つお伺いしたいのは、先ほどから、主権者が主権を行使する、私もそれは非常に重要なことで、そのためには、憲法についても厳しい議論をして、私たちの将来、どういう形の社会を選択していくのかということをやはり皆逃げずに議論して、みずからが決めようという意思を進めていくということは、民主主義社会にとってはとても大事なことだと思っているんですね。大事なことであるから厳しいわけですよ、それをみずからが行うということ。ですから、この国民投票法についての議論も、それから憲法についての議論も、もっと活発になった方がいいというふうに考えます。

そこで、今井さんにまずお伺いしたいんですけれども、一番最後のページに示されましたアンケートの結果ですね。国民投票という憲法を変えるための手続があるということを知らぬ人が圧倒的に多い。知っていても、間違うてる人の方が多いんですよね。

こういう状況の中で私が危惧するのは、まずやはり、国民投票という方法があるで、憲法を変えるためにはそれは必要やでということをもうちょっと知ってもろてからじゃないと、どんなルールにするんかという議論の俎上にすらなかなかのれないという。ですから、この国会の中で、またはその関係者とかの中では議論は盛り上がっているというか、毎週やっているわけなんですけれども、では、ここでこう決まりましたからいうても、その前提となるところはまだまだ知られていないという、このギャップについてどのようにお考えかということ。

それから、運動を進めていらっしゃいますよね。シンポジウムとかいろいろされているようなんですけれども、運動を進めるに当たって、この乖離というか温度差ということについてどういう取り組みが有効であるというようなことをお考えか、ちょっとお聞きしたいと思います。

今井参考人

正解者がわずか一六・三%、しかし、二年前に比べたら倍になっている。二年前はちょっとひどかったですよね。調査をしたら、大阪で手続について知っている人は五%、東京では一〇%しかいませんでした。当委員会が発足してから飛躍的に理解度が高まったといっても、一六・三%です。

これは、最大の問題はメディアにあると思います。メディアが非常にいいかげんです。自民党と民主党が一緒にやったらもう憲法改正できちゃうからねなんて平気で言うキャスターがいます。そのことについて議論をしているさなかで、議員がそこにいるのに、それは違うでしょう、発議しかできないでしょうと言ったのは浜幸さん一人です。そういうメディアのいいかげんさが国民に誤解を与えているということが一つ。

二つ目は、ようやく最近、護憲派の中で、九条の会の中で鶴見俊輔さんが国民投票について発言されたりしていますが、護憲派は、これを議論すること自体が敵の土俵にのるからよくないということで、残念ながらお触れにならない。これが理解を低めている一つの要因だと思っています。

一度、改憲派の集会の中で、改憲に賛成している人たちがこの手続について何%御存じなのかということを調査していただきたいと思いますけれども、私は、護憲派のある集会で調査をしてもらったことがあります。九条を守ろうという人たちの集会です。ところが、そこでもやはり三割ぐらいの人しか知りませんでした、最終的に国民投票で決着がつくということを。それでも多いですよね、この全国平均から見たら。

だから、やはりここは、今、笠井さんや辻元さんが、国民投票を急ぎ制定する必要はないというお考えを堅持されながらも、最終決着は国民投票で決まるんだよ、幾ら自民や民主や公明が、これは例えばですよ、公明が一緒になられているけれども、一緒になって、議会の中で八割とっても発議しかできないんだよということをきちっと説明していただきたいということを思います。

それから、今さっき辻元さんがおっしゃったみたいに、やはりこれは低過ぎます。だから、改憲案をつくっていく作業をどんどん進めるということだけが盛り上がっているみたいですが、基本は、この手続についてどれだけ国民に理解をさせるか、周知させるかということについてもっとエネルギーを費やしていただかないと困るというふうに考えております。