つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2006年2月27日 安全保障委員会

2006.2.27

議事録

164-衆-安全保障委員会-2号 2006年02月27日

辻元委員

社会民主党・市民連合の辻元清美です。

私は、本日、イランのモッタキ外務大臣が来日されますので、イランの核開発問題について質問をしたいと思います。

先ほど佐藤委員からも同じような質問が出まして、その中での麻生外務大臣の答弁の三つをとらせていただいて、その点についてさらに深く議論をすることで、きょうの夜会談されると聞いておりますけれども、有意義な会談にしていただきたいと思います。

一つ目が、日本は友好国であるということで、敵国からではなく友好国からの説得ということは重い意味を持つという御発言でした。

今回のイランの核開発問題については、いろいろな背景があると思います。一つは、アメリカとの関係をどう考えるか。イランを悪の枢軸国であるというような発言をアメリカのブッシュ大統領がしました。敵視政策をしているように受けとめるわけですね。これについてのやはり反発というものを私たちはどう見るのかというところも、日本はアメリカにも物を言える国ですから、大事だと思います。

そういう中で、麻生外務大臣にお伺いしますけれども、アメリカのイランを悪の枢軸国であると言った発言については、率直にどのような感想をお持ちでしょうか。

麻生国務大臣

私の記憶では、北朝鮮、イラク、イラン、三カ国。イランだけではありませんでしたね、たしか、私の記憶ですけれども。

したがいまして、表現のあれはともかくとして、少なくとも、今は核不拡散という流れにある中にあって、唯一の被爆国ということをよく私どもは使わせてもらっていますけれども、そういった国にとりまして、核というものをさらに拡大する方向で動こうとしたイラク、北朝鮮、そして今イランということになっていることに対して、アメリカは危機意識を非常に持っているという意味だと理解しております。

辻元委員

ここは、中東と日本との関係というのは非常に良好だったわけです。イラクともかつて日本はずっと良好な関係を守ってきたということで、イラク戦争についても、中東の中での日本の今までのきずなというものに傷がついたという指摘もあるわけですね。

そういう中で、私は、このイランの核開発問題に当たるに当たって、アメリカに引っ張られない方がいいと思っています。日本独自の、友好国としての歴史を踏まえた上でイランに当たっていただきたいということをまず最初に申し上げたいと思います。

十二分しか時間がありませんので一つ一つ深くやれないのがちょっと残念なんですが、二つ目の御発言で、パレスチナを含めて中東の安定は我が国にとってもとても大事であるという御発言がありました。これについて深めていきたいと思うんです。

このイランの核開発問題を初め、中東の非核化、安定ということにとげのように突き刺さっているのが、イスラエルの核保有問題です。これを抜きにしては語れないところがあるわけですね。

日本政府は、イスラエルの核保有ということについてはどのような見解でいらっしゃいますか。

麻生国務大臣

イスラエルが核を持っているかいないかということに関しては、これは御存じのように、イスラエル自身が核不拡散条約、通称NPTでしたかに加入しておりませんので、したがって、自国の核兵器保有の確認も否定もしていないという態度なんだと思うんですね、イスラエルに関して言わせていただければ。

したがいまして、日本政府としては、いろいろな機会をつかまえてNPTに入れという話を、私どもはずっと非核兵器国として加入するように働きかけているというのが今の日本側の態度なので、少なくともそういった意味において、私どもとしてはこれまでも、NPT未締約国、イスラエルというのも含めまして、未締約国を含めて、こういった国に無条件でNPTへ入れという話をして、たしか昨年の国連総会では、この法案を提出以来、最多の賛成を、支持を得たんだと思っておりますので、少なくとも、日本がこれまで中東地域におけます非核兵器地帯の創設及び中東における核拡散の危険ということに関しましても日本としては賛成をしておるというのが、イスラエルを含めます中東、そういったものに対して私どもとしては言い続けてきているところだと思っております。

辻元委員

このイスラエルの問題は非常に深刻で、イランの核開発にも少なからずというか、かなり、イスラエルが持っているじゃないかというような認識のもとで、その周辺国への核拡散ということが懸念されていることは常識になっていると思います。

これは日本の防衛白書ではどういう取り扱いになっているか、イスラエルについて。こうなっています。

核保有国であってもこれを放棄して非核兵器国として加入する国もある、NPTにですね。この事例として、南アフリカ、ウクライナ、カザフスタン、ベラルーシを取り上げているんですが、次です。依然として加入を拒んでいる国もある。要するに、この前は、核保有国であっても、依然として加入を拒んでいる国もあるということで、防衛白書の例示は、イスラエル、インド、パキスタンになっています。これは、明らかに核を保有しているということを強く意識して書かれた防衛白書であると思います。

私は、防衛庁の方に聞きました。そうしますと、イスラエルは宣言していないものの、既に核兵器を保有している事実上の核兵器国と言われているという答えをペーパーでいただいているわけです。

そうすると、一方、イスラエルに対しては、NPTにも入っていない。イランはNPTに入っております。イランに言うんだったら、イスラエルにも国際社会でしっかり問題にしていくぞという姿勢が、やはり日本が説得するときに必要だと思うんですね。

これはアメリカのシンクタンク、科学国際安全保障研究所、ここは核については非常に著名なところですけれども、報告書を出しました。これは昨年です。

それで、その報告書によれば、イスラエルは軍事用のプルトニウムを五百六十キロ保有、原爆の百四十五個分ですね。インドは八十個分、パキスタンは七十個分と推定しているわけです。北朝鮮は三個から九個分に当たるんじゃないかと。そんな中で、イランは民生用の高濃縮ウラン七キロだけだったという、これはこの報告ですね。さらに、イスラエルは年間十から二十キロのプルトニウム生産を続けており、核兵器二から五個分ふえているというような報告、これは初めて公表されたものなんですね。

こういうことが背景にある中で、イランの問題が生じてきています。一つは、アメリカとの間での敵視政策みたいなものも背景にあるし、そして、アメリカはイスラエルの核開発については黙認しているわけですよ。国際社会の中でというか、NPTの昨年の会議でも、追加議定書をめぐって、イスラエルがNPTに加盟していないのに、なぜ自分たちばかりに義務ばかり課せられるのか、入っている国のエジプトなどのアラブ諸国とかブラジルなどからもこんな声が上がっているわけですね。

ですから、私は、今晩、外務大臣と交渉されるに当たりまして、日本としては、このイスラエルの核というものについても、しっかりとこれから国際社会の中で問題にしていくぞという構えが必要だと思うんです。先ほど、イランとの二国の間で信頼関係に基づいて説得すると言ってはるんですけれども、私、ちょっと弱いなと思ったんですよ。その背景まで踏み込む覚悟を持って説得しないと、それこそ、日本との間の油田の開発やいろいろかかってきていますからね。

イスラエルの核問題について、当たりさわりのない答弁はもう結構です。今晩の会談に非常に大きな日本のいわゆる国益というものがかかっていると思いますので、私、余り国益という言葉は使わないですが、あえて使えば、イスラエルの核問題、国際社会で問題にしていこうじゃないか。こっちはNPT体制にも入っていないんですよ。それでこれだけ、日本も事実上の核保有国だと言っておるわけです。こっちを放置してイランに対してだけという姿勢ではないというところを日本が見せることは、アメリカは見せないでしょう、見せにくいと思いますよ。そこをはっきりと日本が見せることは、イランを核開発についてソフトランディングさせる大きなポイントだと思いますが、いかがでしょうか。