つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2006年5月11日 衆議院本会議

2006.5.11

議事録

164-衆-本会議-29号 2006年05月11日

辻元清美君

社会民主党の辻元清美です。

私は、米軍再編について三分間しかいただいておりませんので、小泉総理に早口で十の質問をしたいと思います。(拍手)

一、政府は、普天間飛行場の代替施設ではヘリコプターの訓練を行うと説明してきましたけれども、なぜ、垂直に離発着するヘリコプターの訓練のために千八百メートルもの滑走路が必要なんでしょうか。普天間のたった三機の固定翼機のためだけでしょうか。本当に、オスプレーや戦闘機の配備は未来永劫ないのですか。

二、普天間飛行場には港はありません。普天間のかわりというのなら、港湾施設までつくろうとしているのはおかしいのではないでしょうか。将来は、飛行場と軍港施設をあわせ持った、代替どころか、大規模な出撃基地に変身するのではないですか。

三、座間に移転されるアメリカの陸軍の第一軍団司令部の作戦範囲は、日米安保条約の範囲を超える可能性はありませんか。

四、Xバンドレーダーの青森への配備は、アメリカ本土のミサイル防衛のためではないのでしょうか。関係するアメリカのパトリオットはどこに配備される予定ですか。これらは集団的自衛権の行使に触れないのでしょうか。

五、岩国を含め、全国の反対している人たちの声を尊重すると、ここではっきりと表明をしていただきたいと思います。

六、グアムへの海兵隊の移転にかかる七千億円の日本側の負担の法的根拠は何ですか。安保条約の何条を根拠に負担と考えているのか、お示しください。

七、現在のアメリカの軍事費は約四千六百五十億ドル、年間四十七兆円です。世界百六十カ国の軍事費総額の約半分をアメリカが使っております。このアメリカの軍事費の突出ぶり、軍拡路線をどのようにお考えでしょうか。

八、アメリカは先制攻撃を認めていますが、小泉総理は先制攻撃というアメリカの軍事戦略をお認めになっているのでしょうか。

九、このようなアメリカと軍事的に抜き差しならない関係に突き進む米軍再編は、抑止力をはるかに超えて、日本をアメリカの世界戦略の前線基地、出撃基地に変質させていくと考えられますが、いかがでしょうか。

最後に、徹底的に財政の無駄をなくすと叫んできた小泉総理が、幾らかかるかもはっきりしない膨大な支出を、アメリカの要求であれば出すというのでは矛盾しませんか。総額三兆円という数字は、消費税一%分に当たります。日本は、アメリカの自動現金支払い機ではありません。

米軍再編の推進は、これまでの日米関係をさらに二人三脚の鎖で縛って、演習場の中から戦場を含む世界じゅうに日本が引きずり出されていく、飛び出していくことにつながりかねないと憂慮を表明して、私の質問を終わります。(拍手)

   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

辻元議員に答弁いたします。

普天間飛行場代替施設の滑走路の長さについてですが、普天間飛行場代替施設の滑走路及びオーバーランを含む合計の長さは、千八百メートルとすることが日米間で合意されています。これは、ヘリコプターのほかに、普天間飛行場に所在するものも含め、短距離で離発着できる航空機の運用を可能としたものであります。

オスプレーや戦闘機の配備でございますが、オスプレーについては、将来、現在米海兵隊が使用している輸送ヘリを代替していく予定であるものと承知しておりますが、米国政府から、その配備について何ら具体的な計画を有していないとの回答を得ていると承知しています。

戦闘機については、今般の2プラス2文書に示されているとおり、米国政府は、当該普天間飛行場代替施設から戦闘機を運用する計画を有してはおりません。

普天間飛行場代替施設に併設する港湾施設についてですが、普天間飛行場代替施設に設置される予定の桟橋は、この施設で運用される航空機の燃料補給のためのものであり、事実上の軍港機能をあわせ持つとの御指摘は当たりません。

キャンプ座間の在日米陸軍司令部の改編ですが、キャンプ座間の在日米陸軍司令部は改編されることとされていますが、その中核的な任務は、日本国の防衛及び極東の平和と安全の維持となります。これは、日米安保条約第六条の規定する施設・区域の使用目的に合致したものです。

ミサイル防衛に関連し、米軍のXバンドレーダーやパトリオットPAC3の配備について、またその集団的自衛権の行使との関係についてですが、Xバンドレーダーについては、昨年十月の2プラス2共同文書にあるとおり、日本に向かうミサイルを迎撃する能力及び日本の国民保護や被害対処のための能力を支援するために配備するものです。

米軍のパトリオットPAC3の具体的な展開のあり方については、配備場所も含め、今後、日米間で検討していくこととしております。

集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利であります。本レーダーやパトリオットを我が国に配備したとしても、米軍の能力が我が国防衛のために用いられることにつながりこそすれ、我が国が集団的自衛権を行使する問題は発生しないと考えています。

地元への対応でございますが、米軍再編は、抑止力の維持、地元の負担軽減の観点から、ぜひとも実現すべき事案であります。政府としては、今後とも引き続き、地元の御理解と御協力を得るため、誠心誠意努力してまいります。

海兵隊のグアム移転経費の根拠でございますが、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄負担をなるべく早期に軽減するため、我が国も応分の負担をすることといたしたところであります。

米国の国防費でございますが、各国の国防費は、その国を取り巻く安全保障環境を初めとするさまざまな要素により、それぞれ異なるものと考えます。米国の国防費も、これらの要素により、現状の水準になっているものと理解しております。

米国の先制行動についてですが、米国は、二〇〇二年九月の国家安全保障戦略で明記したとおり、米国が脅威に対して先制的に対処するために必ず武力を行使しているというわけではなく、先制を侵略のための口実としてはならないとの立場であり、この考えは本年三月の国家安全保障戦略でも踏襲されていると承知しています。我が国は、他国の国際法の解釈について有権的な評価をする立場にありませんが、いずれにせよ、米国は国際法上の権利及び義務に合致して行動するものと考えます。

我が国と米国との安全保障面での協力ですが、日米の役割、任務、能力や在日米軍の兵力構成見直しに関する取り組みを進めることは、抑止力の維持と地元の負担の軽減を通じて日米安保体制を一層強化していくとともに、日米両国が安全保障面での協力を強化することを通じ、国際社会の取り組みに、より効果的に貢献していく上で極めて重要なものと考えており、日本が米国の世界戦略の前線司令部になるといった御指摘は当たらないと考えます。

反対している地元への対応ですが、米軍再編は、抑止力の維持、地元の負担軽減の観点から、実現すべき事案であります。政府としては、今後とも引き続き、地元の理解、御協力を得るため、誠心誠意努力してまいります。

再編に伴う経費でございますが、日米同盟は我が国外交の基軸であり、在日米軍の再編は沖縄を初めとする地元の負担軽減と抑止力の維持に資する重要な課題であるので、我が国が負担すべき経費の内容を精査しつつ、しかるべく予算上の措置を講じていく必要があると考えております。(拍手)