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2006年6月15日 日本国憲法調査特別委員会

2006.6.15

議事録

164-衆-日本国憲法に関する調査…-13号 2006年06月15日

辻元委員

社会民主党・市民連合の辻元清美です。

先日の六月一日の本会議で、自民党、公明党提出の日本国憲法の改正手続法案と民主党提出の日本国憲法の改正手続及び国民投票法案の両案について問題点を指摘いたしました。これを踏まえ、さらに国民投票法と国会法との関係について本日は問題を掘り下げたいと思います。

今回の両法案とも、国民投票法案の本則の条文の中に国会法の一部改正を規定しております。両者は憲法改正という一連の手続の中に位置づけられ、個別発議に関する条項や広報協議会の設置、構成及び権限に関する事項の存在という点などにおいて密接に関連するので一つの法案にまとめたと両法案提出者は説明しております。

しかし、国民の意思を直接問う手続と、国会内で憲法改正の発議の要件や憲法改正原案の審査機関である憲法審査会の設置とは全く本質が異なります。両法案は、主権者である国民の意思の発現と国会の意思の形成とを同一の法律で処理しようとするもので、これは主権者である国民と立法府である国会との地位を混同するものであって、憲法体系の中で根本的に問題があるのではないかと一貫して社民党は主張してきました。憲法に関する法律については、便宜上の奇策を講じることなく、立法の王道に従った厳格な対応が求められます。両法案提出者には、その原則に立ち戻った対応を強く求めます。

国会法四十五条は、各議院は、その院において特に必要と認めた案件または常任委員会の所管に属しない特定の案件を審査するため、特別委員会を設けることができると定めています。憲法調査特別委員会の目的は、日本国憲法改正国民投票制度に係る議案の審査等及び日本国憲法に関する広範かつ総合的な調査を行うであり、この特別委員会で審議できる議案は、国民投票制度に関するものだけであると考えるのが通常ではないでしょうか。「等」がついているから本特別委員会で国会法の改正まで審議できるというのは、国会運営の常道を踏み外していると考えます。

また、常任委員会の所管に属さない特定の案件を扱う場合に特別委員会が設置できるとなっておりますけれども、国会法の改正は常任委員会である議院運営委員会の所管に属することは明らかな案件ですから、議院運営委員会で審議するのが正当な運営であると考えます。

特に、法案成立の次の国会から憲法改正原案の審査を開始し、閉会中もその審査を継続し、憲法改正原案をつくれる憲法審査会の設置は、憲法改正という重大な事項に関するものであり、各議院の重大な組織変更です。このような組織の是非に関する議論こそ議院運営委員会の最も重要な専管事項です。

憲法改正に関する公正な手続を議論するというのであれば、その法案の構成や委員会審議の取り扱いは、他の案件以上にだれがどこから見ても公正で厳格な取り扱いが求められます。したがって、本委員会は、国会法四十五条に厳格に従った運営がなされるべきであると考えます。両案とも国民投票法と国会法の改正を一つの法案にしているために、国会法四十五条を厳格に適用した場合、どの委員会でも審議ができない法案になってしまっているという指摘を両法案提出者は深刻に受けとめていただきたいと思います。

また、私は六月一日の代表質問で、果たして今のような国会の状況で憲法に関する重要事項を論ずることができるのかと、立法府のあり方に警鐘を鳴らしました。それは、憲法とは国民の権利を侵さぬように国家権力の権力行使を制限する原則を定めたものであるという、憲法の意味を十分理解せぬままに憲法を論ずる、そのような発言をする議員が多数存在しているような立法府のあり方についての問題提起でした。

いみじくも、この代表質問の日の本会議場の姿は、この立法府の深刻な姿を浮き彫りにしたように思います。廃案を求める社民党や共産党に対してだけではなく、法案を提出している民主党の法案提出者にまで自民党席からすさまじいやじが浴びせ続けられました。この姿は、憲法とは何かという認識以前に、国家の基本法である憲法という立法府にとって最も重要な案件を議論しているのだという自覚すらないようなありさまでした。このような状況では、憲法に関する議論が真っ当に進められるとは考えられません。

また、私は、昨年発表された自民党の新憲法草案が、国民が遵守しなければならない責務を国家が規定しているなどの点において近代憲法の原理を逸脱しているという専門家からの指摘について、民主党案提出者の見解を求めました。

民主党案提出者からは、この新憲法草案について批判が展開されました。自民党の新憲法草案は、憲法の定義を全く理解していない論外のものである、国民に対する命令と解される内容が含まれていること、これは憲法のイロハがわかっていない議論である、憲法によって命令を発する主体である国民が同時に命令を受ける客体であるなどというのは一種の論理矛盾であって、そんな論理矛盾のことを堂々と公党が提起されているだなんというのは全く信じられないというような、私から見ますと本質を突いた批判でした。

これに対して、自民党案提出者からは、憲法は国家目標の設定あるいは国民の行動規範としての役割、機能も持ってくるものだという認識が示されました。

両法案提出者の間で、憲法そのものの認識が百八十度違うのではないかということがはっきりいたしました。

再三本委員会でも訴えてまいりましたが、私たちは憲法という最も重要な案件を取り扱おうとしているのであり、憲法とはという最低限の共通認識が築かれないまま議論を進めることは、憲法そのものを冒涜し、主権者をないがしろにすることになると私は考えております。

以上、両法案には国会法との関係で法案構成そのものや審議の取り扱いに問題があるばかりではなく、憲法とは何かという共通認識が両法案提出者の間ですらばらばらであるという現状が明確になった、このような状況のままで審議に入ることはできないのではないかと考えております。

今国会はあと数日で会期末になりますが、この際、両法案とも一たん廃案にして、私たちは立法府を挙げて十分な憲法認識を深める努力をまず行うべきであるということを訴え、私の主張を終わります。