つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2006年11月30日 憲法改正手続に関する法律案等審査小委員会

2006.11.30

議事録

枝野小委員

先ほど船田先生から御指摘のあった話なんですが、要するに選挙の場合と国民投票の場合で恐らく一つ決定的に違うだろうなと思うのは、選挙の場合は、他事記載みたいな話を認めるといろいろと選挙の不正につながるのではないかというおそれがあって、他事記載を非常に厳格に絞っていますね。ただ、そうはいっても、疑問票だなんという話のときには、例えば私の場合に、「枝野幸男」とフルネームで書いていなくても、恐らく「枝」だけでも有効なんですかね、これはどうなんですかね、多分、そんないろいろなバリエーションがあり得るんだろうと思うんですね。

国民投票の場合は、賛否を問うという話なわけでありますから、例えば基本原則の投票の仕方はきちっと決めなきゃいけないんだろう。例えば、今船田先生の御指摘のあったような投票のあり方であるとすれば、賛成、反対の欄をつくっておいて、賛成の者は賛成欄にマル、反対の者は反対欄にマルという原則をつくっておいて、ただし、その意思が明確に読み取れるものはそれぞれの票として読むということで、賛成にバツをつけていれば反対の意思表示である、反対にバツをつけていれば賛成の意思表示である。あるいは他事記載を、私はこれは認めても構わないと思うので、反対にマルをつけて上に「絶対」とくっつけているとか、あるいは賛成にバツをつけて反対のところに「絶対」とつけているとか、こういうのもちゃんと有効票として数える。全くの白紙か意味不明のこと、あるいは三角とかをつけているみたいなものだけがまさに棄権の意思表示として分母から外す。こういうイメージであるならば、鈴木先生のおっしゃった、混乱とかということなくいくのかどうなのかというふうに思いますので、そういう点ではちょっと検討の余地があるのかなというふうに思っておりますので、船田先生の先ほどの御提起の意味をもう一度聞かせていただければというふうに思います。

それから笠井先生の、私は、憲法改正の国民投票の九十六条のところに最低投票率等について規定がないということの意味は物すごく重くて、ボイコット運動というのは、運動のあり方、政治論としてちょっとひねくれているというか、反対であるならば反対の投票をしましょうということで動かすべきである。まさに棄権する自由というのは、私の一票あるいは私の持っている一票の権利は、つまり、憲法を変える側にも変えない側にもどちらにも使いませんという自由を認めるということなんであって、ボイコット運動を認めるということは、逆に、投票に行かない人が変えないという方向に自分の一票の権利が使われるということになるわけですから、私の申し上げた棄権をする自由ということとむしろ矛盾をすることになるというふうに思います。

その上で、さらに、例えば仮に最低投票率を五〇%としたときに、ボイコット運動を成り立たせない方法はたった一つだけあって、実は最低投票率を五〇%と決めるかわりに賛否どちらかが二五%以上の得票を得ないと成立しないとすればいいわけなんですけれども、まさに明確に憲法九十六条に規定をしない加重要件が加わるということにほかならないわけで、文言解釈上もちょっと無理ではないのかな、こんなふうに思っております。

辻元小委員

今、憲法九十六条の解釈という話が出ました。九十六条には過半数としか書かれていなくて、何の過半数かということが明記されていないわけですね。第二東京弁護士会へ各党の代表者が行った折も、この過半数をどう解釈するか、全有権者の過半数という解釈も成り立つんじゃないかというような発言が出ましたので、私は憲法を初めて学んだときには、素直に読めば全有権者の過半数というように思っていたわけですけれども、ですから、この憲法九十六条の過半数をどう解釈するかということは、先ほどの枝野委員は最低投票率を課すことは九十六条の趣旨からちょっと違うんじゃないかという発言もありましたけれども、そうであるならば、過半数をどう見るかということも明確に規定されていない中で決定しようとしていますので、私は、最低投票率について設定ということは九十六条の範囲を逸脱するものではないというふうに思っております。

ボイコット運動についてですけれども、実態を見ますと、はっきり言ってうまくいっていないと言ったら変なんですけれども、結局、例えば四〇%とか五〇%と課しますと、ボイコットする方も、四一%になったら怖いなと思うわけですよ。ふたをあけてみたら四一%になって、ボイコットをしたのはいいけれども、賛成または反対、自分と違う立場が圧倒的多数だったら怖いから、最終的にはしっかり投票に行って自分の意思をあらわしましょうというように、いろいろな各地での住民投票などでも、最終的にはやはり行きましょうという方向になっているのが現状ではないかというふうに私は見ております。

それからもう一つ、棄権者をどう見るかという発言で、先ほど枝野委員の方からも民主党案としても悩ましいなんという発言もありましたけれども、例えば国会の中で、きょう、防衛庁を防衛省に、昇格法案というので民主党の中で棄権者が出たかどうか私は知りませんけれども、棄権者の意思というのは、反対かまたは現状でええやんかというのが大体棄権者の意思ではないかと思うんですね。変えたいと思う人が、変えたいけれども棄権をするんだということはなかなか考えられない。ということからかんがみますと、変えたいという人が積極的に意思表示をする。民主党案の肩を持つわけではないんですけれども、やはり変えたいという意思表示というのが基本になるのではないかというように、棄権の意味とかボイコットの現状ということについて私は思います。

ですから、最低投票率についての議論や、もう少し参考人や、それから、私たちがここで発言しているのは大体いつも同じ人が同じような意見を言っておりますので、この点についてはもう少し広く、専門家だけではなく、一般の人たちが過半数をどう受けとめているのか、主権者がこの過半数というのをどう受けとめているのか。それから、憲法というものを扱うに当たって、投票率との関係でどのように考えているのかという、主権者そのものの意見もしっかり聞いた方がいいというように思います。

いつもここは割かしぐるぐるぐるぐる話がめぐりますし、今、船田委員と枝野委員の話を聞いておりますと、何か修正協議をここでやっているのかなと思うような節もあって、私たちのこの中だけで過半数の定義とか、最低投票率というか、投票率についてどう思うかということを決めることは、私は危険だと思います。主権者がどのように見ているのか、九十六条の過半数をどう見ているのかとか、それから、投票率についてどう思っているのか、憲法についてどういうふうな投票の仕方がいいのかということをまだ一度も聞いておりませんので、まあ、一部参考人の方は呼びましたけれども、そういうこともしっかりと聞くべきではないかというふうに思います。

船田小委員

先ほど枝野委員から私の新たな提案について一定の評価をいただきまして、ありがとうございました。ただ、私の説明が余りうまくなかったなと思いまして、かえって混乱をするということで鈴木委員からは大分きつい御指摘をいただいたことも、大変反省をしております。

もう一度簡単に説明いたしますと、要するに賛成、反対の意思表示については、それぞれ賛成にマル、あるいは反対にマルということで、もうそれだけで原則として提示をする。しかしながら、ここから先は投票者の自由にかかわる部分だと思いますけれども、反対ではないんだけれども積極的に賛成でもない、それから、その逆の人もいるわけですから、そういう方々は、先ほど私が申し上げたような、例えば賛成にバツ、あるいは反対にバツ、そういう意思表示も許容していいんだろうというふうに思っております。いずれのところにも何も書かないというものは、これは確かに、白票といいますか、そういうことで無効と扱うべきだと思っておりますが、いずれにしても、その投票用紙に示された意思がはっきりとわかるものについて、それをできるだけ幅広く拾っていこうという趣旨で申し上げたつもりでございまして、そういうことをやっていけば、いわゆる白票あるいは無効票というものが相当減らすことができる、こういう趣旨でこのようなことを申し上げたつもりでございます。

なお、この表示の仕方が果たして賛成なのか反対なのかよくわからない、これは一般の選挙における疑問票ということでございますが、疑問票をどう評価するかということは、選管であったり立会人が行うということになると思いますけれども、これは、投票した人の意思がどこにあるのかということがはっきりしているものについてはできるだけ幅広く拾っていこう、こういう趣旨でございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

愛知小委員長代理

この項目につきましての討議、三十分以上たちましたので、ここでひとまず……(発言する者あり)後でまたやりますから。次に進みたいと思います。

国民投票に関する訴訟について、まず両案の提出者よりそれぞれ御発言をお願いしたいと存じます。船田元君。

船田議員

国民投票に関する訴訟でございますが、これは私どもと民主党案はほとんど違いがないわけでございますが、まず私の方から、復習も含めまして、概要を簡単に申し上げたいと思います。

この法律案におきまして、国民投票が公正に行われ、その結果が適正に決定されることを確保するために、国民投票無効の訴訟の制度を設けさせていただきました。

まず、出訴期間でございますが、これは立法裁量の問題ではありますが、本法律案におきましては、一つは、出訴の準備に必要な最小限の時間的な余裕は設けなければいけないという要請があります。しかし、もう一つの要請としては、国民投票については、その性質上、その効果を特に早期に確定させるべきだという要請があるとも思っております。その両方の要請を勘案いたしますと、出訴期間については国民投票の結果の告示の日から三十日以内が適当である、こう考えた次第でございます。

また、無効訴訟につきましては、公選法の選挙訴訟と同じように、法律によって特に提起することが認められるいわゆる客観訴訟という考え方で対応したいと思っておりますが、選挙訴訟等とは異なりまして、判例の蓄積による基準の確立が期待できない分野でもありますので、司法が政治的、恣意的に判断することを防止するという観点からも、無効事由というものをあらかじめ明確に規定しておくということが望ましい、こう考えたわけであります。

具体的には三つ考えられます。一つは管理執行機関の手続規定違反、二つ目には多数の投票人が一般にその自由な判断による投票を妨げられたと言える重大な規律違反があるとき、三つ目には投票数確定の誤りがあるとき、この三つに限定をして無効事由として明文規定をしたということであります。

なお、憲法改正の効果が発生した後に事後的に無効とされる場合、法秩序に極めて重大な混乱が生じ得るということも考えられますので、一定の要件に該当する場合に限って、裁判所の決定をもって緊急避難的に必要最小限度の範囲で国民投票の効力の発生を停止する制度、これは行政訴訟法上の執行停止制度を参考にしたわけでありますが、そのような一部効力発生を停止する制度を設けるということもあわせて考えた次第でございます。

以上であります。

愛知小委員長代理

枝野幸男君。