つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2006年11月30日 憲法改正手続に関する法律案等審査小委員会

2006.11.30

議事録

枝野議員

今詳細については船田先生から御指摘があった話と、この部分は民主党案、与党案が一致しておりますので、具体的に加えることはございませんが、憲法改正が具体的に実施をされるときというのは、発議においては国権の最高機関である国会の民主的手続によって発議をされ、主権者である国民が直接投票をするというプロセスの中で進められますので、それが司法審査の対象になるということ自体が基本的には想定されないものである、まさに政治的行為であるというふうに私は思っています。

例えば、憲法改正限界などという審査を十五人の最高裁判事が判断をして、国民の圧倒的多数が憲法改正限界を超える憲法改正、つまり革命をするんだ、無血革命をするんだという国民の意思表示をしているのに、革命前の最高裁判所がそれは違憲であるだなんて判決を出すことは余り意味のないことであるというふうに思いますので、基本的には司法審査には適さない性質のものである。

ただ、それは日本が六十年間曲がりなりにも民主主義が確立をしてきたからそう思っているだけでありまして、例えば、国民投票のときに、銃を持った人たちが投票所を取り囲んで、賛成なら賛成、反対なら反対の投票をしそうな人たちを銃で追っ払うみたいな話のことは、世界各国で、幾つかの国で時として行われることはありますし、それこそ選挙管理委員会が大規模、組織的な不正をして、数の数え違いをするとかということが万が一にもないとは言えないという場合には、それは司法的手続において、そうしたことは民主的なプロセスを経ていませんねということの余地をつくっておく必要があるだろうというふうに思いますが、さすがに、今想定される日本においてこれが発動するということは、私は想定されないと思ってはおりますが、万が一のためにそういったことも用意をしておくということだろうと。

あくまでもこれは民主的なプロセスによる手続ということで、最高裁判所の、司法の違憲審査権よりも優越する唯一例外的なプロセスが憲法改正の手続だろうというふうに私は理解をしております。

愛知小委員長代理

それでは、各小委員の方々から御発言をいただきたいと思います。御発言を希望される方は、ネームプレートをお立てください。

辻元小委員

きょうは発言の少ない小委員会かなと思いますけれども、一つは、憲法は主権者のものであるということで、裁判を起こす場合に、今のところ東京高裁ということに限られているかと思いますけれども、やはり各地で行えるようにした方がいいのではないのかということを我が党では議論して、そういう社民党の意見です。

それと、今の憲法の改正の限界については、私たちは、改正限界についても、この憲法についてはおかしいじゃないかということを裁判の対象として主権者が異議申し立てをすることができる道を断たない方がいいという意見です。

先ほど枝野さんがおっしゃったこともわかります。ただ、日本もよかった時代ばかりではなくて、歴史上軍国主義の時代からいろいろなことを経てきておりますので、やはり憲法の改正の限界ということについてはどのように取り扱うのかというのは議論されるべき問題であると思います。

ドイツなどでははっきりと憲法に明記しているわけです、これとこれとこれは改正の限界でできないとか。それから海外調査でも、オーストリアでは、その議論が出た折に、全面改正というような、いわゆる改正の限界につながるような質問が出たわけですけれども、そんなことを考えられるのは民主制を君主制に戻すとか、地方分権を中央集権に戻すとか、何かそういうときしか考えられないよねということで、やはり改正の限界というのは非常に意識されていたと思うんです。

国会の発議の段階でこの改正の限界ということをきちんと踏まえて発議ということが、通常、国会の良識として考えられるというような御主張をされた方もいらっしゃるかと思うんですけれども、恐縮ですが、私は、今の自民党の新憲法草案を見ておりますと、何回も申し上げておりますけれども、そもそも憲法観から始まって、改正の限界に疑義ありというように思っておりますので、実際に改正の限界についての主権者からの異議申し立てというものをどのようにしていくのかということは議論に値するのではないかと思っておりますので、問題提起をしておきます。また、これは本委員会での質疑のときにそれぞれの提出者の御意見を伺った方がいいと思うんです。ここでは、きょうは小委員会ですので、問題提起にとどめた方がいいのではないかと思います。

笠井小委員

今、辻元委員からあって、重なる部分があるんですが、一つは船田委員から言われた、国民投票に関する訴訟で三つの事由に限定しているということに関連してなんですが、その限定とあわせて、やはり訴訟の対象も、例えば広報協議会なんかは含まれていないということがあると思います。しかし、当委員会の議論の中でも、まさに憲法改正には限界があるという問題については、法案提出者からもそういう限界はあるということも述べられたわけで、そのことからすれば、国会が発議した改憲案が改正の限界を超えたものなのかどうか、司法審査の対象になるような制度が検討されたのかどうかというのは、ちょっとこれは疑問だということを非常に感じている点が一つです。

それからもう一つは、提訴期間三十日間とした理由ですけれども、速やかにということで先ほど説明がありましたが、例えば公選法の場合に、公選による公務員の地位は他のいかなる場合よりも早急に確定させるのが望ましいということがあって特に期間を短く定めているという理屈はあると思うんですけれども、憲法の場合には、改憲の確定の期間が長引いたとしてもそのことによって政治の空白が直ちに生まれるわけではないので、そういう点では明らかに違う問題があるだろうと思います。

それから、一般の行政事件の訴訟を扱う行政事件訴訟法では国民にやや酷であるという批判があって、たしか二〇〇四年にそれまでの出訴期間三カ月を六カ月に延長するということがあったと思うんですけれども、いわんや憲法改正という重大な問題について言えば、一般の行政事件訴訟よりも短くていいという理屈はないんじゃないかということを非常に強く感じているというのが二つ目です。

それから最後は、東京高裁に限定している問題で、辻元委員からありましたが、私はとにかく限定している理由がよくわからぬというのが、一言で言って感じている点であります。

以上です。

保岡小委員

先ほど辻元先生から触れられた管轄裁判所のことでございますが、これを一に限定するということは、国民投票無効の訴訟が複数提起される場合もあるわけで、そういう場合の併合の便宜等を考慮したものということでございます。例えば、複数の開票区の無効事由があわさって初めて国民投票の結果に異動を及ぼすおそれがあるケース、それらの訴訟が併合されなかったために敗訴となってしまう不都合も生じます。

したがって、管轄を高等裁判所の専属管轄とするか各高等裁判所に管轄を認めるかという問題もありますけれども、迅速かつ統一的な判断の必要性の観点と国民の裁判所へのアクセシビリティーの観点等から検討を要する問題ということでもあります。特に迅速な審理、判決が求められ、判決結果の大きいことを考えれば、東京高等裁判所の専属管轄とすることが望ましいものと考えました。

それから、笠井先生からお触れになりました、辻元先生もちょっとお触れになりましたが、憲法改正の限界を超えているか否かというのが無効事由になるかという問題です。それは先ほど枝野先生からもお話がありましたとおり、手続上本質的に無効とせざるを得ない、そういうものに限定したものであって、超えているか否かを含めて憲法改正の内容の是非を判断できるのは、第一義的には発議する国会であり、また最終的には主権者である国民のみであるということであろうと考えます。